第5世代THS搭載のカローラクロス姉妹車「フロントランダー」を発表

 2022年12月30日より開催された広州モーターショー2022にて、トヨタは「カローラクロス」の中国向け姉妹車「フロントランダー」のマイナーチェンジモデルを発表しました。

トヨタ新型「フロントランダー」がマイナーチェンジして新たに発表された!

 カローラクロスは2020年7月にタイで初めて公開され、その後、2021年9月に日本でも発表、発売されました。

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 カローラシリーズ初めてのSUVということで実用性を重視した設計となっており、日本でも納車まで長い時間を要する大人気モデルとなっています。

 そして中国ではカローラクロスに加え、姉妹車の「フロントランダー(中国語名:峰蘭達)」が展開されています。

 日本の自動車メーカーが中国にて合弁会社をふたつ以上有する場合は、それぞれの合弁会社から同じ車種をデザインが少し異なる姉妹車としてリリースする傾向にあります。

 カローラクロスの場合、本家カローラクロスは第一汽車との合弁「一汽トヨタ」、フロントランダーは広州汽車との合弁「広汽トヨタ」がそれぞれ製造・販売を担当しています。

 これ以外にも、「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「グランビア/シエナ」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」などが、それぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開されています。

 中国向けのカローラクロス/フロントランダーにおいては初めに広汽トヨタのフロントランダーが2021年11月に発表されました。

 フロントランダーのデザインは日本でもお馴染みの上部グリルが埋まっているフロントマスクを採用する一方、遅れて登場した一汽トヨタのカローラクロスは東南アジア向けや欧州向け、北米向けの「L」「LE」「XLE」グレードで採用されている大きめのグリルとなります。

 カローラクロスは2022年10月に欧州市場でマイナーチェンジが発表され、トヨタが開発する最新ハイブリッドシステムの「第5世代THS」を搭載しました。

 トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)は1997年のプリウス登場以来、世代を増すごとに進化を遂げてきており、現行の第5世代目は2022年1月登場のノア/ヴォクシーで初搭載。

 新たに「トヨタシリーズパラレルハイブリッド」と改称されたこのシステムは、パワーコントロールユニット(PCU)などの電動モジュールを刷新し、29%の損失低減を実現させました。

 また、搭載バッテリーもニッケル水素電池からリチウムイオン電池へと置き換え34%の小型化や44%の軽量化に成功。

 モーターとエンジンを合わせた総合出力においては、1.8リッターモデルで12%、2リッターモデルで6%の向上となります。

 広州モーターショー2022ではこのフロントランダーに加え、レビン(カローラの姉妹車)、そしてレビンGT(レビンのロングホイールベース版)も第5世代THS搭載モデルが発表されました。

 そして2023年までに順次シエナ、ヴェンザ(ハリアーの姉妹車)、ワイルドランダー(RAV4の姉妹車)、C-HR、カムリ、ハイランダーに搭載し、全部で9車種に増やしていくことも発表されています。

刷新された「フロントランダー」の若者狙った特徴とは

 現在、日本で展開されている第5世代THS搭載車種は、ノア/ヴォクシー、カローラシリーズ(カローラクロス除く)、そして2022年11月に発表されたばかりの新型プリウスとなります。

 第5世代THS搭載のカローラクロスが欧州に次いで中国でも発表されたとのことなので、日本での登場ももう間もなくとなるでしょう。

 また、日本でも展開されているカムリやC-HR、ハリアー、RAV4も中国では第5世代THSを搭載することが予告されているので、日本でもそれら車種の第5世代THS搭載はおこなわれることが予想出来ます。

 また、パワートレイン刷新以外にも、コネクテッド機能の強化もマイナーチェンジモデルでは盛り込まれています。

 中国の若い消費者層は自動車を選ぶ際、スマートフォンやインターネットとの連携「コネクテッド」を重視する傾向にあります。

 新たに発表された3車種では新たに「T-PILOT」と呼ばれるシステムを搭載、2023年中に3回のOTA(over-the-air、インターネットを介するプログラムの更新)アップデートを用いた機能の向上を予定。

 衝突回避システムはより多くのシチュエーションへ対応し、フロントカメラとレーダーを用いた支援システムは4倍もの広い領域を検出するようになりました。

 ドライバーの状態を検知する「ドライバーモニタリングシステム」も新たに搭載し、疲労の検知だけでなく、意識を失った際に自動で車両を減速、停車させる緊急時のシステムも盛り込まれています。

 さらに、より日常使いに近い領域「T-LINK」機能ではデジタルデバイスを用いたエンジンの始動や鍵の開施錠、自動駐車機能などの遠隔制御が可能です。

 そのほか、中国でもっとも多く用いられているチャットアプリ「WeChat(微信)」の友達に自動車のデジタルキーを共有し、同じように自動車を操縦できる機能も盛り込まれました。

 このように、中国独自のコネクテッド機能を新たに投入することで、さらなる競争力の強化につなげていく狙いです。

新たに「T-PILOT」と呼ばれるシステムを搭載

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 新パワートレインと充実の新機能でアップデートされた新モデルたちは2023年上半期には販売開始となるでしょう。

 これ以外にも、広州汽車と合同で新たな電気自動車をbZシリーズから投入予定としたり、中国市場での燃料電池車の普及に向けた新たなプランを打ち出したりと、盛りだくさんの発表となりました。

 電動化にコネクテッド技術と、各社はこぞって市場へのアピールをおこなっています。

 競争が激化する中国市場において、トヨタがどのように存在感を発揮していけるのか、注目です。