トイレ付きキャンピングカーの意外な問題点とは?

 昨今ではキャンピングカー市場が年々右肩上がりとなっています。高価格帯のキャンピングカーのなかには「トイレ付き」のモデルもありますが、気になるのは後処理です。
 
 実際にキャンピングカーのトイレはどのように後処理するのでしょうか。また実際にトイレを使う際の問題点なども解説していきます。

トイレ付きのキャンピングカーでは、後処理はどうしているの? 気になる…。

 部屋ごと移動するような感覚で、キャンピングカーに一度は憧れた人は多いのではないでしょうか。

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 10年ほど前からキャンピングカー市場は着実に成長しており、緩やかなながら今も需要は拡大しています。

 ここ数年はコロナ禍の影響で納期が長期化しており、かつては1年ほどだったのが2年になっているといいます。

 それでも、一向に需要が衰えることのないキャンピングカー。車内で調理できて、寝られ、旅できるという非日常性は、単なる車中泊ではなかなか体験できないものがあります。

 キャンピングカーには「バンコンバージョン(バンコン)」や「キャブコンバージョン(キャブコン)」などさまざまなタイプがあります。

 どれもベッドやダイネット(ダイニングのような空間)、キッチンを備えているのが一般的です。

 ただ国産モデルの場合、海外製と違ってシャワールームやトイレがないことが多くなっています。

 国産モデルは海外モデルに比べると、ボディサイズが小さいということが主要な要因であることは間違いないのですが、そこには日本ならではの理由も存在。

 例えばシャワールームですが、日本には温泉などの入浴施設が全国にあり、わざわざ狭いキャンピングカーのシャワールームを使う必要があまりないのです。

 使用後の清掃を考えれば、日帰り入浴施設を使ったほうがラクという理由もあります。

 トイレも同じ理由があります。

 キャピングカーのトイレには「ポータブルトイレ」「カセット式トイレ」「マリン式トイレ」があります。

 カセット式トイレとマリン式トイレは便器が常設されており、家庭用と同じ感覚で使える一方で、設置空間に一定の広さが必要になります。

 ポータブルトイレは便器と汚物タンクが一体となった携行式で、どこにでも持ち運ぶことができ、車外でも使えます。

キャンピングカーのトイレ問題…処理はどうするのか?

 問題なのは使用後の後始末です。

 ポータブルトイレとカセット式トイレは、汚物タンクのみを取り外せるので、家庭で処理することが可能です。

 一方、マリン式トイレは、キャンピングカー専用宿泊施設の「RVパーク」やオートキャンプ場などのダンプステーション、ウォーターフックアップと呼ばれる処理施設に行き、ホースを繋いで排出しなければなりません。

 こうした処理施設は国内では希有で、この方式はあまり日本では定着していません。

 さらにいえば、キャンピングカー自体でトイレの使用があまりされていないという実情があります。

 オートキャンプ場で出会った都内在住のキャブコンユーザーは次のように話します。

「ウチのクルマにはトイレスペースがあるのですが、実際には使っていませんね。

 まずトイレを使うと帰宅してからの清掃が大変です。

 トイレ空間ももちろんのこと、ポータブルトイレも消毒をしなければなりません。

 またポータブルトイレは家族4人で使うと、結構すぐにタンクがいっぱいになってしまうんですが、汚物を処理できる場所がありません。

 道の駅などの公衆トイレに捨てることはつまりなどに繋がるため、マナー違反として社会的な問題になっています。

 できたとしても、汚物を処理するのはイヤですよね」

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 キャンピングカー販売店に聞いてみると、「小さな子どもやシルバーエイジを除いて、ほとんどの人が公衆トイレやキャンプ場のトイレを使っている」といいます。

 そのため、最近のキャンピングカーはトイレルームではなく「マルチスペース」という名前の空間が設置されていることがほとんどです。

 マルチスペースには、ポータブルトイレを置くこともできますが、基本的に収納として活用されることがほとんどだといいます。

 日本では使わない人が多いキャンピングカーのトイレですが、海外モデルやキャンピングトレーラーのそれを見ると「豪華!」という印象を受けます。

 豪華なダイネットやキッチンもいいのですが、やはり夜中や雨の日に愛車の中で用を済ませられることもまた、快適性の一環。

 高齢化も進むことですし、処理施設の拡充を期待したいところです。