この記事をまとめると
■公道で電動キックボードに乗り、検挙されたというニュースを耳にすることがある
■電動キックボードのために生まれた新区分はまだ施行されていない
■現状、電動キックボードは道路交通法では「車両」に分類される
電動キックボード向けの新区分は未施行
電動キックボードと呼ばれる、小型の電動モビリティ関連の報道を見かける機会が増えていると感じる昨今です。それだけ話題となるほど普及してきているのでしょう。
電動キックボードを運転中に転倒して亡くなってしまったという残念なニュースもあれば、電動キックボード向けの新区分「特定小型原動機付自転車」に向けた法改正がなされ、16歳以上なら免許不要、ヘルメットの義務はなしで乗れるようになるという報道もあります。
こうした法改正に関する影響なのか、電動キックボードを公道で利用して、検挙されたという記事を見かけることも増えてきたような気がします。
重要なことを整理すると、特定小型原動機付自転車という、実質的に電動キックボードのために生まれた新区分は、まだ施行されていません。現状では、電動キックボードは道路交通法では「車両」に分類されます。
電動キックボードを公道で乗るためには、従来の区分に収まるようなカタチでナンバーを取得しないといけないのです。具体的には、多くの電動キックボードのモーター出力は600W以下となっていますので、公道を走るには原動機付自転車(原付一種)としてナンバーを取得しなければなりません。
もし、モーターの定格出力が600W超1000W以下であれば原付二種となりますし、それ以上であれば軽二輪や小型二輪としてナンバーを取得する必要があります。
いずれにしても、ナンバーなしのキックボードを公道で走らせることは違法行為になります。まして、無免許運転であれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という厳しい罰が待っています。
そして、運転する人には二輪のルールに則って、ヘルメットの着用が義務付けられます。自賠責保険への加入も義務となります。ちなみに無保険運行の罰則は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、こちらも厳しいものとなっています。
ただし、すべての電動キックボードが容易にナンバーを取得できるわけではありません。
ナンバーの取得にはブレーキ、ヘッドライト、バックミラーが必須
原付としてナンバーをつけるには、道路運送車両法に基づいた保安部品が必要です。具体的には、制動装置(ブレーキ)、後写鏡(バックミラー)、各種灯火類(ヘッドライトなど)が備わっていなければなりません。
保安基準を満たした状態にできない電動キックボードは、ナンバーをつけることはできないのです。公道走行を考慮していない電動キックボードに保安部品をきちんと装着することはかなり難しいといえるでしょう。
ナンバーをつけた電動キックボードは、いわゆる原付バイクとなりますから歩道を走ることはNGです。車道を、原付のルール(制限速度30km/h、二段階右折など)に則って走る必要があります。
ちなみに歩道を正々堂々と電動モビリティで移動したいというのであれば、電動キックボードの法改正を待つよりも、電動カートなどと呼ばれる乗り物を入手することをおすすめします。
世の中的には「セニアカー」と呼ばれることが多い乗り物のことです。余談ですが、セニアカーというのはスズキの登録商標であって、電動カートやシニアカーといった呼び方が一般的です。国土交通省などは「ハンドル形電動車椅子」といった呼び名も使っています。
ちなみに、ボディサイズは、長さ120cm・幅70cm・高さ109cmと道路交通法によって規定され、最高速度も6km/h以下と制限されています。原動機も電動であることが明文化されています。
あくまでも車椅子という扱いですから運転するのに免許は不要です。日本では足腰の弱った高齢者の乗り物というイメージですが、アメリカなどでは肥満により歩行が困難な人も日常の足として使っているパーソナルモビリティなのです。
当然ながら、電動車椅子ということで歩行者と同じ扱いになりますから車道を走るのはNGとなります。自転車は車道走行が基本という報道を見て誤解したのか、電動カートで車道を走っている高齢者を見かけることもありますが、非常に危険な行為だということを自覚していただきたいと思うばかりです。
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