マンションの畳の下から現れた炉壇(ろだん)がSNS上で大きな注目を集めている。

【写真】炉を見たゴギナシュヴィリさんは屋上にワインセラーを造った居住者がいたことを連想

「借りているマンションの和室で畳を剥がしたら、炉壇らしきものが出てきました。灰もそのまま残っていますが、そもそも普通の集合住宅ではあり得る話でしょうか?」

とその模様を紹介したのはジョージア出身で国際政治学者のダヴィド・ゴギナシュヴィリさん(@DavidGogina)。

一軒家ならまだしも賃貸マンションに炉壇が備わっているのは極めて稀。しかも灰や五徳もそのままに畳でふさがれていたというのは不思議だ。ゴギナシュヴィリの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「賃貸マンションでは普通はあり得ないですが、大家さんの承認を取っていたのでしょうね。築浅物件だと消防署の認可が下りなかったりします。貴重な物件ですね」
「炉が切ってあるなんて羨ましい!今度はぜひかぎ畳を入れて活用してみては?」
「灰もですが五徳もありますね。茶道用だからお釜が乗せられる様に上下逆です。普通の集合住宅に住んでる身としては羨ましいです。炉用に畳と炉縁等が必要ですが是非茶道なさってみてください。」
「通りすがりの畳職人の娘です。これは、一般的な囲炉裏のサイズではないので、他の方も仰っている通り、茶道で使われていたものだと思われます。あと蛇足ですが周りに散らばっている畳み表の切れ端、これは畳の合わせ目の凸凹を微調整するために職人が足裏の感覚で敷き込むものでゴミではありません。」

など数々の驚きの声が寄せられている。

ゴギナシュヴィリさんにお話を聞いた。

ーー炉壇を発見された時のご感想をお聞かせください。

ゴギナシュヴィリ:最初は好奇心と不信感が相まって一瞬戸惑いましたが、よく見ると明らかに炉壇だと解りました。中を確認すると灰もそのまま残っていました。前の居住者が茶道に使っていたのを想像できますが、そもそも集合住宅の部屋の中で火を起こしても良いのか、何で灰をそのまま残した上に畳を敷いたのかと疑問だらけでした。

もしかしたら、急いで引っ越したからせいで炉の掃除ができなかったのかもしれません。また、畳を一時的に敷いて寒くなったらまた炉を使おうと思われたが、その間に亡くなられて、炉は畳の下で隠れたままに残ってしまったのかもしれない……というように想像が膨らみ、集合住宅の部屋で茶道をされていた前住人について調べたくなりました。

ーーその後、炉壇があった理由は判明したのでしょうか?

ゴギナシュヴィリ:いまだに謎のままです。管理会社や不動産の方に聞きましたが、どちらも驚いていました。オーナーさんなら把握されているかもしれませんが、直接のコンタクトがなくて確認できませんでした。

ーー今後、炉壇はどうされるご予定ですか?

ゴギナシュヴィリ:実は、炉壇を発見したのは引っ越す直前のことであり、もうあそこには住んでおりません。あの炉は使えないかもしれませんが、縁を感じたこともあり久しぶりに茶道を体験しようと思いました。

再開発の計画があってあの建物は壊されると聞きましたが、新しくたつタワーマンションの中にもこういった炉を使った茶道ができるような部屋が設けられると個人的に嬉しいです。集合住宅の中で切ってあったあの炉は、時代の変化に屈せず茶道の伝統を大切にしつづけている日本人の心性を語るものではないかと思いました。

母国のジョージアでも茶道と例えられる「スプラ」という宴会の文化がありまして、共感を覚えました。日本で建築物の変化によって茶道を続けるのが難しくなったのと同様、ジョージアでは侵略者がワインを禁止したり、スプラを制限したりする時代がありました。いかなる状況下でも守られ続いている茶道やスプラのような伝統がこれからも継続されてほしいと心から願います。

ーー今回の反響へのご感想をお聞かせください。

ゴギナシュヴィリ:「そもそも普通の集合住宅ではあり得る話でしょうか?」という質問への回答を期待しておりましたが、日本人の暮らしにおける茶室の役割や、畳の下でただ散らかっていると思って畳の切れ端の重要性まで色々と説明していただけて大変感謝しております。

日本人が茶道の文化をいかに大切に思っているかということを再認識できて嬉しかったです。

◇ ◇

なぜあるのか真相はわからなかったが、SNSを通して日本人にとっての茶道文化の重要性を多くの人に知らしめたゴギナシュヴィリさん旧宅の炉壇。読者のみなさんは最近、茶道文化に触れることはあるだろうか。

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)