初めてレクサス車を購入する人向けの抽選販売とは?

 レクサスの高級SUV「RX」がフルモデルチェンジし、2022年11月8日に発売されました。

 新型RXのウェブサイトにアクセスすると、右下に「新型RX抽選販売のご案内」という記載があります。この部分をクリックすると「全国のレクサス販売店にて抽選申込を受け付け」と書かれています。

初めてレクサス車を購入する人向けに抽選販売がおこなわれる新型「RX」

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 この部分だけを見ると、新型RXは抽選で販売されると受け取れますが、その下には「抽選販売枠500台のほかに一般販売も行います」とも記載されています。つまり、メーカーの抽選と販売店での一般販売という2種類の売り方があるわけです。

 さらに抽選販売枠の場合、販売店の一般販売とは異なる「お申込み条件」が記載され、その内容は以下の通りです。

1.レクサス車を現在所有していないこと、または、過去に所有したことがないこと
2.レクサス車以外の自動車を本車両に対する下取りに入れていただけること
3.下記に指定するいずれかの方法でご購入していただけること。
*残価設定ローンや定額制カーリースのKINTOなど
4.個人名義で抽選申し込みをしていただけること
5.上記項目に合致することを誓約する書面を販売店にご提出いただくこと

 分かりにくい販売方法なので、レクサスインターナショナルにいくつか質問を投げかけました。

Q:なぜ抽選販売をおこなうのですか。その際に「レクサス車を現在も過去も所有しことがない」「レクサス車以外を下取りに入れる」という条件を付帯した理由も教えてください。

A:限られた供給状況のなかで、今までレクサスにお乗りいただいたことのないお客さまに購入していただける機会を提供したく、一般販売に加え「抽選枠」もご用意しました。

 なお、いままでレクサスにお乗りいただいたことのないお客さまが、通常の一般販売でご購入いただくことももちろん可能です。

Q:なぜメーカーの抽選販売では、購入方法が現金購入以外の残価設定ローンなどに限られるのですか。

A:新型RXに長期間お乗り頂ける個人のお客さまにご購入いただく機会とさせていただくためです。

Q:メーカーの抽選販売には、レクサス車以外を下取りに入れるなど、一般販売とは異なる制約があります。そうなるとメーカーの抽選販売に申し込んだ場合、納期が短いなど、一般販売とは違うメリットがあるのですか。

A:一般販売と比較し、商品や納期に大きな差異はありませんが、抽選販売枠の新型RXは、開発に込められた想い・魅力を最大限感じていただくべく、仕様を厳選し、一部メーカーオプション品を標準装備に設定しました。

 ただし、一般販売のお客さまも、メーカーオプションをご選択いただければ同じ仕様にしていただけます。

※ ※ ※

 この抽選販売について、販売店ではどのように見ているのでしょうか。

「新型コロナウイルスの影響もあり、新型RXは供給台数が少ないです。そのためにメーカーは納期の透明性を重視しており、販売店でも抽選によって(一般)販売をおこなっています。

 車両供給が困難な状況で、販売店とは別に、メーカー側がお客さまを募る方法を採用したのには驚きました。先代RXのお客さまには、新型への乗り替えを希望している方がとても多いのに、メーカーの受注によって十分に行き渡らないことが考えられます。

 以前からレクサスに乗っていただいているお客さまをお待たせして、メーカー枠を設けたことには疑問を感じます。販売については、すべてを販売会社と販売店に任せて欲しいです」

 また別の店舗では、次のような話も聞かれました。

「今までレクサスを所有した経験がなく、異なるブランドの車種を下取りに入れて購入される場合は、メーカーの抽選販売に申し込んでいただきます。

 レクサス車を所有した経験があったり、下取り車がないときは、販売店の抽選になります」

 レクサスインターナショナルでは「今までレクサスにお乗りいただいたことのないお客さまが、通常の一般販売でご購入いただくことももちろん可能です」という返答でしたが、実際の販売現場では異なる対応となっているようです。

抽選販売では現金一括で購入できない!? なぜ?

 新型RXでは、販売に混乱が生じています。問題は販売店の指摘のように、メーカー側の抽選販売にあります。

 メーカー側の抽選販売で設定された「レクサス車を所有したことがなく、レクサス車以外を下取りに入れていただける」という条件の目的は、レクサスインターナショナルによれば「今までレクサスにお乗りいただいたことのないお客さまにも購入していただける機会を提供すること」ですが、これまでレクサスが他ブランドからの乗り替えを規制していたわけではありません。

 つまり「メルセデス・ベンツやBMWなど、ほかのブランドからの乗り替えを促進させるため、レクサス車を所有したことがなくレクサス車以外を下取りに入れていただけるお客様に販売する」と読み換えられます。

レクサス新型「RX」

 ちなみにレクサスの北米開業は1989年ですが、日本国内は2005年開業と16年遅れてブランド展開がおこなわれたのですが、これは北米と日本では、レクサスの目的が異なるからとされています。

 1980年代の北米におけるトヨタ車のイメージは「安くて壊れない」ことで、高価格車には馴染みませんでした。そこでトヨタとは別の高級ブランドとしてレクサスを立ち上げました。レクサスは海外の高級車市場を攻めるブランドだったのです。

 しかし日本では事情が違います。2000年代に入るとメルセデス・ベンツやBMW、アウディなどが高級車市場のシェアを広げ始めました。この輸入ブランドに対抗すべく、レクサスを日本で開業したのです。つまり日本のレクサスは、日本の高級車市場を守るためのブランドというわけです。

 従って日本のレクサスでは、メルセデス・ベンツなどドイツのプレミアムブランドからユーザーを奪うことが悲願で、今回も「レクサス車を所有したことがなく、レクサス車以外を下取りに入れていただける」ユーザーを募りました。

 これについて販売店では、「上質な店舗設計を含めて、以前からメルセデス・ベンツなどのお客さまを意識してレクサスの販売促進をおこなってきました」といいます。

 納期が長引いた今になって、メーカーがレクサスの既存顧客を差し置き、レクサス車以外の顧客枠を設けたのでは販売店が難色を示すのも当然でしょう。こういった販売店の不満は、商談を通じてユーザーにも伝わります。

 また「上記項目に合致することを誓約する書面を販売店にご提出いただく」という項目も注目されます。

 一般的に誓約書は、仕事の依頼主が雇用される側に対して、機密保持の誓約をさせたりするものです。

 販売店やメーカーが、お客さまに対して「レクサス車を所有したことがなく、レクサス車以外を下取りに入れる」趣旨の誓約書を提出させるのはいかがなものでしょうか。

 このほか残価設定ローンや定額制カーリースのKINTOなどの利用を義務付けていることを、レクサスインターナショナルでは「長期間お乗り頂ける」ことが理由としています。

 新型RXを購入後に転売されないようにする対策とも受け取られますが、将来の支払い能力に依存しない現金購入は、顧客と売る側の両方にとってもっとも安全な購入方法です。これを排除するのも良心的とはいえません。

 新車の納期遅延は、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻によるところが多く、メーカーを責めることはできません。

 ただしそれを理由にメーカーが販売に干渉すると、ユーザーとしては「どのように買えば良いのか」「特定の顧客を対象にするのは不公平ではないのか」といった疑問や不満が生じます。

 クルマにユーザーの立場で、分かりやすく納得のできる売り方をするのは当然のこと。クルマの販売は顧客目線で公平におこなうべきです。