左太もも裏痛のためコスタリカ戦とスペイン戦の出場を回避した日本代表DF酒井宏樹(浦和)が5日の決勝トーナメント1回戦・クロアチア戦で復帰することが濃厚となった。

 クロアチア戦の前日練習後に取材に応じ、「自分としては試合に出られるところまで回復した。割とちゃんとしたケガをしていたので、ここまで早く戻ってこれると思わなかった。治すのに際して力を注いでくれた方々に感謝したい」とコメント。3試合ぶりの復帰を見据えた。

 右サイドバックで先発したグループリーグ初戦のドイツ戦で左太もも裏を痛め、後半途中でベンチに下がった。翌日から数日間は室内で別調整。スペイン戦の前日に部分合流を果たしたが、「日にちが足りなかった。スペイン戦はどう考えても戦力にならなかった」と語った。ベンチで勝利を祈りながら仲間を鼓舞。日本は2-1の逆転勝利をおさめ、グループ1位で決勝トーナメント進出を決めた。

「本当に感動的でした。勝つ確率はかなり少ない戦いだったと思う。もちろん勝つつもりで準備していたけど、負ける可能性は高いという現実的なことも考えていた。奇跡的な試合だった」と仲間に感謝した。

 スペイン戦から中3日でクロアチア戦を迎えるのに際し、クロアチア戦2日前の練習から完全合流を果たしたことを明かした。「今度はちゃんと26人、(板倉)滉は出場停止ですが、25人の中にしっかり入れた感じです」と表情に安堵感も漂った。

 クロアチアの左サイドハーフで攻撃のキーマンの一人であるMFイバン・ペリシッチ(トッテナム)とは、酒井がマルセイユ、ペリシッチがバイエルンに所属していた20-21シーズンのチャンピオンズリーグで対戦している。酒井がハノーファーに在籍した時期にも対峙したことがあると言い、「素晴らしい選手。ただ特徴は頭に入っている。そこはしっかり準備したい」とマッチアップのイメージを膨らませた。

「ここからはグループリーグと違う戦いになる。90分を通して、120分を通して、クレバーな戦いが求められる。ピッチ内、ピッチ外の情報を26人で共有していかなければいけない。途中から入る選手の役割や、中に伝える作業も大事になる。スタメン、途中から出る選手、出ない選手、みんなが必要になる」

 クロアチアに関してはドイツやスペインのような明確なスタイルがない分、不気味さがあるというが、「勝つのは日本だと信じている」と言葉に力を込める。「もう1試合チャンスをくれたチームメイトには感謝しかない。これが1試合と言わず、まだまだ戦いが続くことを祈っていますし、それをみんなで成し遂げたい」。静かな口調の奥に意気込みをにじませた。

(取材・文 矢内由美子)