アルファード」から派生し誕生した「ヴェルファイア」

 トヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」は、すでにデビューから8年近くが過ぎようとしていますが、同社を代表する高級ミニバンの兄弟車としていまなお根強い人気を誇っています。
 
 迫力マスクも凛々しい“アルヴェル”兄弟が誕生した背景とその役割分担について解説します。

共に切磋琢磨し合い販売を伸ばしてきた「アルヴェル」兄弟だったが…[(左)トヨタ「アルファード」/(右)トヨタ「ヴェルファイア」(ともに現行型・主力人気のエアログレード)]

 アルファードが初登場したのは2002年のこと。

【画像】「どう違う!?」 豪華すぎる兄弟車「アルファード」「ヴェルファイア」を写真で見る(55枚)

 1997年にデビューし、当時勢力を伸ばしていた日産の高級ミニバン「エルグランド」と真っ向勝負すべく、フルモデルチェンジした2代目エルグランド発表の翌日という挑戦的なタイミングで誕生しました。

 対抗心むき出しで現れた初代アルファードですが、きめ細かいグレード設定や堂々たる内外装デザインに加え、ライバルのエルグランドが当初、税金の高い3.5リッターV型6気筒ガソリンという大排気量モデルのみを設定したのに対し、2.4リッター直列4気筒ガソリン(のちにハイブリッドも追加)と3リッターV型6気筒ガソリンという、ユーザーニーズに応えるラインナップとしたことから、勢力を拡大させることに成功しました。

 当初は「アルファードG」と「アルファードV」の2モデルが設定されていましたが、これは“G”がトヨペット店扱い、“V”がビスタ店(のちにネッツ店に統合)扱いという差で、バッジが異なる程度の違いでした。

 2008年、2代目にフルモデルチェンジしたアルファードでは、ネッツ店向けの兄弟車となるヴェルファイアを新設しています。

 アルファードは「上品」「洗練」、ヴェルファイアは「力強さ」「先進性」を外観上の特徴とし、異なるデザインのフロントマスクなどを採用。

 コンパクトカー「ヴィッツ」(当時)を主力車種とし、主に若いユーザー層への訴求を図っていたネッツ店で、ヴェルファイアはフラッグシップモデルとなり、販売シェアではアルファードを超える人気を集めました。

 そして2015年に3代目アルファードと2代目ヴェルファイアに刷新。この2モデルが2022年12月現在も現行型としてラインナップを続けています。

 3代目アルファードの外観テーマ「豪華・勇壮」に対し、2代目ヴェルファイアは「大胆・不敵」を掲げデザインされました。

 アルファードはデビュー直後の2015年の1年間で4万4366台を販売(数値はすべて一般社団法人 日本自動車販売協会連合会調べ)。

 対する兄弟車のヴェルファイアは、2015年に5万4180台とアルファード超えを記録し、2モデルを合わせれば9万8546台と、年間10万台に迫る好調ぶりを示しています。

 このように、兄弟車のアルファードとヴェルファイアが切磋琢磨しながら販売を伸ばし続ける状況に、変化が訪れたのは、2017年12月末に実施(発売は翌2018年1月)されたマイナーチェンジ後のことでした。

アルファード/ヴェルファイア兄弟に「運命の分かれ道」!?

 2017年12月末に実施されたアルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジでは、先進運転支援機能をアップデートし、さらにフロントマスクを中心とした各モデルのデザインが変更されました。

 新型アルファードは、人気の高いエアログレードに手が入り、精悍さをアップ。豪華・勇壮なフロントグリルの形状自体は大きく変えず、正常進化しています。

 対する新型ヴェルファイアは攻めの姿勢を強化。なかでも人気のエアログレードはメッキパーツ部を増やし、派手さを増しています。

トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」年間販売台数推移 [2015年〜2021年/一般社団法人 日本自動車販売協会連合会調べ]

 翌年2018年、ヴェルファイアの販売台数は4万3130台。対するアルファードは5万8806台を記録し、兄弟車のシェアが逆転しました。

 マイナーチェンジのデザイン変更が販売台数にも影響を与えたのは、誰の目にも明らかでした。

 そしてトヨタは2020年5月、これまで4つあった販売店チャンネル(トヨタ店/トヨペット店/カローラ店/ネッツ店)を事実上統合し、トヨタの全店舗で全トヨタ車が購入できるよう改めました。

 アルファードとヴェルファイアが担っていた当初の役割は消滅し、ヴェルファイア専売だった旧ネッツ店でも、アルファードの販売が可能に。

 ヴェルファイアは、販売チャンネル統合前の2019年に3万6649台を販売したのに対し、2020年は1万8004台に半減してしまいました。

 対するアルファードは、2019年の6万8705台に対し、2020年には9万748台まで伸ばしています。約4万4000台だった2015年から比べると倍増の伸びを示しています。

 そんななかトヨタは、2021年4月の一部改良でヴェルファイアの大リストラを敢行。

 これまでアルファードと同等の数が揃っていた各グレードを大胆に全廃止し、2020年に設定された特別仕様車を「GOLDEN EYES II(ゴールデンアイズツー)」としてレギュラーグレード化したのです。

 その結果、2021年のヴェルファイア販売台数が6509台(月平均542台)へ激減。対する2021年のアルファードは9万5049台を販売と、猛烈な販売格差を生むことになっています。

 その後2022年4月の一部改良で仕様向上を図り「ヴェルファイア GOLDEN EYES III」にアップグレードされながら、2022年12月上旬現在も、単一グレードとしてひっそりと残っている状態にあります。

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 アルヴェルの下位には、ミディアムクラスミニバン「ノア」と「ヴォクシー」の兄弟モデルが存在しています。

 ヴォクシーもかつて、ヴェルファイア同様にネッツ店の専売モデルでした。2022年1月のフルモデルチェンジ前には、ヴォクシーが消滅するとの噂もまことしやかにあがっていましたが、結果的にキャラクターの異なる別モデルとして存続し、販売台数もほぼ同等で推移しています。

 デビューから間もなく丸8年を迎え、近年はフルモデルチェンジの噂が絶えないアルファードですが、ヴェルファイアは現在1グレードのみに縮小されたこともあり「このままモデル消滅か」との声が聞かれます。

 しかし一方で、ヴォクシーのように次期ヴェルファイアも存続するのでは、との説も根強く残ります。

 2022年12月上旬現在、トヨタからの公式発表はありませんが、タイミングから推測してもフルモデルチェンジが近いのは間違いなく、人気ミニバン アルヴェルの今後の動向はますます見逃せないところです。