海外で流行した懐かしのアクセサリー

一昔前、折りたたみ式の携帯電話を「デコる」ように、クルマにアクセサリーを何個もつけて楽しむ人がたくさんいた。カーアクセサリーは、今でもさまざまなアイテムが販売されているが、スマートフォンにふわふわのストラップを付ける人が減った(少なくとも個人的にはそう感じる)のと同じように、おしゃれのトレンドも移り変わっている。

【画像】新しいけどどこか懐かしい!【レトロな雰囲気が味わえるクルマ5台を写真で見る】 全99枚

今回は若かりし頃を思い出し、最近ではすっかり見かけなくなったカーアクセサリーを振り返りたい。


数十年前に海外で人気を集めたアイテムを紹介。日本では今も現役のものも……。

サイコロ

バックミラーにぶら下げるサイコロは、海外では「ファジーダイス(Fuzzy dice)」などと呼ばれている。第二次世界大戦中、米軍のパイロットが幸運を祈ってコックピットにぶら下げていたのが始まりとされている。また、「死との戦い」を象徴するものという解釈もある。

戦後、地上に戻ったパイロットたちは、愛車のバックミラーにサイコロをぶら下げて習慣を守り続けた。あるいは、違法なストリートレースに参加するためかもしれないが。このトレンドは1980年代まで続き、その後すっかり影を潜めたが、今ではかえって、レトロなおしゃれアイテムにも見える。


サイコロ

うなずく犬

英語では「Nodding dog(ノッディングドッグ)」、ドイツ語では「Wackeldackel(ヴァッケルダッケル)」と呼ばれる首振り犬。調べてみると、うなずくように首を振るダックスフンドが初めて製造されたのは、1970年代のドイツだそうだ。

首振り犬は1970年代から1980年代にかけて人気を博し、1990年代後半にドイツのガソリンスタンドチェーンが広告に使用したことで、新たな息吹を吹き込まれた。英国でも有名な保険会社のコマーシャルで使われ、「Yes, yes」とうなづく様子が広く知られている。うんうん。


うなずく犬

ヘッドライトのアイライン

1990年代、ヘッドライトの一部を隠すアイライン(または、まぶた)はすごい人気だった。フォルクスワーゲン・ゴルフ3などは50ポンド(約8000円)で目を細めることができたのだ。BMWのE36型3シリーズでも似たようなことができたが、『怪傑ゾロ』の仮面のようになってしまうこともあった。キャサリン・ゼタ・ジョーンズは感心しなかっただろう。


ヘッドライトのアイライン

ファッションウェア

クルマとお揃いの服を買うことは今でも可能だが、ファッションは年々変化していることは確かである。ポルシェ928にお乗りの方なら、この写真のようなコーディネートはどうだろう?

フォードのRSコスワースが裏面にプリントされた米国空軍のボンバージャケットや、胸に「GTE 16V」と書かれたヴォグゾールのクルーシャツなんかもある。イタリアンブランドにこだわりがあるなら、スパルコのアンダーウェアがいいかもしれない。


ファッションウェア

名前入りサンシェード

フロントガラスのサンシェードに名前を入れるというのは、なんとも個性的なアイデアだ。クルマ版タトゥーと言えるかもしれない。海外では一時期、愛する人の名前を貼り付けて愛情を示すのが流行ったらしいが、タトゥーと違って永久的なものではない。気取った男性の中には、助手席側に「YOUR NAME HERE(あなたの名前はここに)」と書く人もいたに違いない。


名前入りサンシェード

ふわふわのシートカバー

毛布のようにふわふわのシートカバーは、今でも購入することができる。でも、かつてほどの人気はないような気がする。

読みづらいが、写真の広告では「ラムスキンの柔らかな弾力性が体重を吸収し、100%本物のウールが汗を吸収して、いかにドライバーの疲れを和らげるかを体験してください」と書かれている。汗を吸収するのはいいが、洗えるんだろうか。


ふわふわのシートカバー

ルーバー付リアウインドウ

ルーバー付きのリアウインドウはもともと、きちんとした目的があってデザインされたものだ。始まりは1965年のランボルギーニ・ミウラで、樹脂製ガラスの代わりに6本のスラットを採用した。その目的は、熱と騒音を逃がしながらエンジンを保護し、後方視界も確保すること。フォードも同様に、マスタング・ボス302とマッハ1に「スポーツラット」を採用している。

ランボルギーニのウラッコ、ディアブロ、ムルシエラゴなどにもスラットが採用され、他社もこれに追随。写真のフォード・カプリのようにアクセサリーオプションとして設定されたものもあれば、デロリアンDMC-12のように標準装備されたものもある。


ルーバー付リアウインドウ

ガーフィールド

1978年に新聞で連載が始まった米国の漫画『ガーフィールド(原題:Garfield)』は、2000年代に入ってからも映画化されるほどの人気作品。太ったトラ猫のガーフィールドを主人公に、世界で数億人のファンを持つとも言われている。

1980年代後半の一時期、ガーフィールドのぬいぐるみ(通称、Garfield Stuck on You)は、BBCの番組『Top Gear』のオープニング・クレジットにも登場するなど、どこにでもあるような存在となっていた。


ガーフィールド

このぬいぐるみはもともと、ガーフィールドの足にマジックテープを貼り、部屋のカーテンに吊るすというアイデアから生まれた商品だ。しかし、偶然にもマジックテープではなく吸盤がつけられることになった。作者のジム・デイビスは当時を振り返り、こう語っている。

「(試作品が)吸盤付きの失敗作として戻ってきたので、とりあえず窓に貼り付けて、『2日後にまだ残っていたら、これを売り出そう』と言ったんです。クルマに貼られるなんて、思いもよりませんでした」

ワイルドなグラフィック

ラッピングが普及する以前は、カーステッカーが世界的な流行だった。ティミー・マレットのシャツが地味に見えるほどの派手な色使いで、「趣味のいい」グラフィックをボディに貼り付けることができたのだ。WILD THING、HOT HOT、CRUSIN’、NO WORRIES、TOPLESSなど、大文字や斜体で書かれている。

一部のメーカーも積極的で、特にスズキは、ステッカーからサイドストライプまで、あらゆるものを用意していた。


ワイルドなグラフィック

グリルガード

まだ歩行者の安全性が今ほど重視されていなかった時代、映画『マッドマックス』に出てくるようなグリルガード(ブルバーやカンガルーバーとも呼ばれる)を装備したクルマが数多く販売されていた。大型動物との衝突時に車体への損傷を抑えるためのものだが、単なるドレスアップパーツとしても人気が高い。

現在、安全基準を満たした製品であれば装着しても問題ないが、2000年代に入ってから各国で規制が厳しくなり、見かけることは少なくなった。


グリルガード

プラスチック製ボディキット

1990年代、DIYでクルマを改造する人たちに向けたプラスチック製のエアロパーツやアクセサリーが爆発的に増加した。カスタム系の自動車・バイク雑誌に触発された若者を中心に、ありとあらゆるキットが売れまくった。

実際に走行性能を高めるアイテムもあれば、見た目だけのものもある。ちょっと粗悪なものもあって、後付けのリアウィングが雨漏りの原因となることもしばしば。ボンネットに貼るフェイクのエアダクトなども人気だった。「なんで金を払ってそんなものを付けるんだ」と思われる方もいるかもしれないが、最近の自動車メーカーだってフェイクのマフラーを堂々と装備しているのだ。


プラスチック製ボディキット

タックスディスク・ホルダー

タックスディスク(Tax disc)とは、英国の道路税支払証明書のことで、丸い形をした納税証明書である。英国ではクルマのフロントガラスに貼り付ける必要があるのだが、そのためのアイテムがタックスディスク・ホルダーだ。

クルマを購入するとホルダーもついてくるのだが、2.5ポンド(約400円)でプレイボーイ仕様にすることができた。あるいは、フォード・フィエスタ1.1L用のRSコスワース特製ホルダーなんかもある。また、写真のジャガーのように、もっと華やかなものも売られている。


タックスディスク・ホルダー

自動車電話

現在、ほとんどのクルマでBluetooth、アップル・カープレイ、アンドロイド・オートなどを使ってスマートフォンとペアリングすることが可能だ。昔の自動車電話が懐かしいとは言わないが(それほど素晴らしいものではなかったため)、成功のシンボルとも言えるアイテムだった。

黒電話、公衆電話、折りたたみ式携帯電話はすべてスマートフォンに取って代わられたようだ。


自動車電話

クロームのフェンダートリム

ホイールフェンダーに貼るクロームパーツは、見た目はいいとしても、水が溜まるし、注意しないと錆びかねない。ローライダーなどで見かけることはあるが、近年はクロームパーツそのものが新型車から遠のきつつあるように感じられる。


クロームのフェンダートリム

ミックステープ

自分好みの楽曲を自由にまとめたミックステープ。その制作にどれだけの時間と労力が費やされたかを、今の子供たちは知らない。ソロドライブや恋人とのロマンチックなお出かけのために用意された、お気に入りのセレクション。

Spotifyのプレイリストをシャッフルして聴くのとはわけが違う。ロマンはどこへ消えたのやら。カセットテープを巻き戻すための鉛筆も、もう持ち歩くことはない。


ミックステープ

ゴーファスター・ストライプ

このストライプの歴史は、1960年代のレースコンストラクター、ブリッグス・カニンガムに遡る。当初は「カニンガム・ストライプ」と呼ばれていたが、今では「ゴーファスター・ストライプ」などと呼ばれている。レーシングカーだけでなく、あらゆるタイプのクルマに使用され、スピード感を演出してきた。


ゴーファスター・ストライプ

ビニールルーフ

コンバーチブルに乗っているように見せかけるためのもの。開くことはない。1970年代には米国を中心に人気が高まり、人々の憧れの的となった。ビニールルーフのフォード・コルティナに乗っていたら、それだけで仕事が上手くいっている証になる。そろそろビニールルーフが復活してもいいのでは?


ビニールルーフ

ヘッケブレンデ

これはまた流行りそうなカーアクセサリーだ。ヘッケブレンデ(Heckblende)は、2つのリアライトをつなぐ赤い反射板で、あたかも1つのライトユニットのように見せるものだ。1980年代から90年代にかけて、フォルクスワーゲン・ゴルフ、アウディ・クーペ、サーブ9000などに装着され、人気を博した。

後付けのアフターマーケットパーツも販売されており、リアの印象をがらりと変えることができる。


ヘッケブレンデ

CBラジオ

カーアクセサリーの中には、流行の変化や新しい技術によって時代遅れになってしまうものもある。CB(Citizen’s Band)ラジオは後者にあたり、携帯電話の登場によってほとんど廃れてしまった。米国などでは、今でも長距離トラック運転手の良き相棒となっている。


CBラジオ

スピードカメラ探知機

スピードカメラ探知機やレーダー探知機は今でも販売されている一般的な商品だが、車載ナビやスマートフォン向けアプリによって淘汰される可能性がある。いずれにせよ、国によっては違法とされている。欧州では多くの国で禁止されており、中には所持しているだけで罰金となることもあるようだ。


スピードカメラ探知機