1日午後、お笑いタレント「霜降り明星」のせいや(30)と所属事務所「吉本興業」が、「文春オンライン」で配信された記事でプライバシーが侵害されたなどとして、配信元の文藝春秋などにあわせて約7500万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。地裁は文春らに330万円の賠償を命じる判決を言い渡した。謝罪広告の掲載は認められなかった。

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衝撃的だった写真

 20年6月に「文春オンライン」が配信したせいやの“スキャンダル”はネット上をざわつかせた。

 タイトルは〈お笑い第7世代『霜降り明星』せいやが面識ナシの一般女性に“ZOOMセクハラ”〉。20年5月ごろ、せいやがオンライン飲みをしている最中、「突然、ズボンを脱いで卑猥なことをしてきた」と訴える女性からの告発であった。

せいや

 衝撃的だったのは写真である。文春は女性から提供を受けたZoomのキャプチャー画像も数十枚配信。そこにはモザイク入りで、せいやが卑猥なことをしている最中のものまで含まれていた。

 当初、せいやのイメージダウンにつながりかねないと思われた記事だったが、大きな影響は出なかったという。

「というのも、ネット上では“女性のハニートラップにかかっただけじゃないか”という見方が大勢だったからです。セクハラと主張している女性に対してもまったく同情する声は起きなかった。そう思ったならば、画面を消せばいいだけのことだろって」(民放関係者)

担当デスクまで訴えたせいや

 それどころか、テレビではせいやの“鉄板ネタ”の一つにすらなっていたのだ。

「しばらくは、バラエティ番組でのトーク中に先輩芸人から“で、それはzoomでやったの?”などとよくいじられていました。相方の粗品も『CM3本飛んだ』って」(同)

 だが、実はせいやは心の中ではまったく笑っていなかった。記事掲載直後に、プライバシー侵害を理由に記事の削除を求める仮処分申請を地裁に申し立てた。10月18日に記事が削除されると(文春のホームページによると、「本件記事は吉本興業の求めや仮処分を受けて取り下げたのではなく、弊社の内規に従って予定通り公開を終了したもの」)
、すぐに今回の訴訟を起こした。

 業界内では「せいやがブチ切れている」とウワサにもなっていた。

「せいやが配信元の文藝春秋だけでなく、取材を担当した記者二人、さらには担当デスクまで訴えたからです。実際、親しい知人には『いくら芸能人とはいえプライバシー侵害も甚だしいだろう』と怒りをブチまけていたようです」(同)

「告発した女性と連絡が取れなくなってしまった」

 文春は訴えられると、ホームページ上で〈訴状が届き次第精査しますが、記事には十分自信を持っています〉〈本件記事は、せいやさんが一面識もなかった一般女性に対し、ZOOM飲み会をしようと持ちかけ、ファンとしてこれを快諾した女性に対してZOOM上で性的な行為を行った事実を報じたものです〉などと見解を公表。裁判でも徹底抗戦の構えだった。

 だが、「文春の旗色が悪い」というウワサも流れていた。

「取材の担当記者が告発した女性と連絡が取れなくなってしまったからです。結果として、文春側は女性を証人として出すことはおろか陳述書すら出せなかった」(同)

 そして、提訴から2年を経て判決が下ったのである。判決を受けて文春オンラインは下記のコメントを出した。

〈当該女性は性的被害を訴えて情報提供したものであり、『セクハラなどと評されるような深刻なものではない』との判決は承服しかねます。直ちに控訴します〉(文春オンライン編集部)

 吉本興業のコメントについては届き次第、追記する。

追記1:本稿配信後、文春オンライン編集部から、記事中で民放関係者が「取材の担当記者が告発した女性と連絡が取れなくなってしまったからです。結果として、文春側は女性を証人として出すことはおろか陳述書すら出せなかった」と語っている箇所について、

〈セクハラ被害を訴える女性が、身元が露見することを恐れたため、取材源を守る目的で陳述書を提出しませんでした。当該女性とは今もコンタクトを取り続けています〉

 と訂正を求める抗議文が届いた。

追記2:1日午後7時過ぎ、吉本興業はホームページ上で下記のコメントを発表した。

〈当社所属 霜降り明星 せいやが、2020年6月18日に文春オンラインに掲載されました「面識ナシの一般女性にZOOMセクハラ」等と題する記事について、せいやのプライバシーを侵害し、また名誉を著しく毀損したとして、株式会社文藝春秋及び同誌編集長らを被告として損害賠償請求訴訟を提起しておりましたが、本日12月1日、東京地方裁判所において、被告に対し、せいやに330万円の支払いを命じる勝訴判決が言い渡されましたのでご報告いたします。

 同記事は、せいやが一般女性に対してオンライン会議ツール上の飲み会等において、女性の意思に反して下半身を見せるなどの行為をしたという内容でしたが、裁判所は、女性の意思に反してこのような行為に至ったということは真実とは認められず、ハラスメントとも評価できないと認定し、また、その行為の際のキャプチャ画像や言動を掲載した点についても、せいやの性的羞恥心を強く害したものであり、プライバシーを違法に侵害する、との判断を示しました。

 せいや及び霜降り明星を支えてくださっているファンの皆様及び関係各位には、大変ご心配をおかけしましたが、引き続きご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。〉

デイリー新潮編集部