最多安打獲得の中日・岡林は441%アップの年俸4000万円に

 プロ野球は契約更改の時期を迎え、今季活躍を収めた選手は“大幅昇給”を勝ち取っている。中日では、最多安打のタイトルを獲得した高卒3年目の岡林勇希外野手が441%アップの年俸4000万円でサイン。“夢あるプロ野球”を体現した。一気に手にする大金。同じように衝撃アップを経験した選手は「無意識に金銭感覚はバグった」と振り返る。

 成果を残せば、報酬になって返ってくる世界。もちろん逆もしかりで、シビアな判断が下される。「やっぱり夢あるなぁとは思いましたね」。そう語るのは、元中日で、今季は独立リーグ・ルートインBCリーグの福島レッドホープスでコーチ兼任でプレーした若松駿太投手。2012年ドラフト7位の無名右腕は、未勝利で迎えた高卒3年目の2015年に突如10勝を挙げ、“爆上がり”を経験した。

 550万円だった年俸は、一気に3600万円に555%アップ。自身は2桁勝利を挙げたものの、チームは5位と低迷しただけに、周囲からは「いって3000(万円)じゃないか?」と言われていた。球団から金額を提示され「びっくりと喜びが半々くらいでした」と振り返る。ただ、その場ではなかなか実感は湧かず、腰を抜かしたのは翌年になってからだった。

 預金通帳に印字された金額に、目を疑う。「『ええ、こんなにいいの?』って感じでした。もう、ビビるどころじゃないというか……」と笑って振り返る。ひとつ桁が違う額は、貯金分を別にしても当時20歳の青年には余りあった。

「(何かを買う時に)ここまで手を出せるんだという感じでした。たいていのものは値段は見なくなりましたね」

年俸2500万円から独立リーガーへ「スーパーで値段を見るように」

 周囲からは「派手になった」「変わった」と言われることもあったが、成績で成り上がった身としては、成績で答えを出すべきだと思った。翌2016年は黒星がひとつ先行したが、チームトップタイの7勝と意地は見せた。ただ、以降は右肩痛などにも苦しめられ、2018年限りで戦力外に。一転して、年俸数百万円の独立リーガーとなった。

 戦力外になった年の年俸は2500万円。一気に収入ダウンに直面したが「税金のことを考えてその分は貯金していました」と動じず、好きな野球を継続。独立リーグでは「スーパーで値段を見るようになりました」と、意外にもすんなり環境に順応できた。

 たった数年でも味わえた“プロ野球ドリーム”。「本当に夢のある世界だと思います。お金のためにやっているわけではないですが、プロ野球選手になったからには華やかな面を見たかった」。もちろん上には上がいるし、花開かないまま引退していく選手もいる。毎年訪れる契約更改には、人生が凝縮されている。(小西亮 / Ryo Konishi)