子どもが親の不倫を知ってしまったら? 夫に不倫された体験をもとに、大手探偵事務所の相談員となったコマさん。多くの依頼者に寄り添ってきた経験をもとにしたコミックエッセイ『サレ妻になり今は浮気探偵やってます2』で描かれるのは、妻より先に高校生の息子が父親の不倫に気づいてしまったという衝撃的な内容だ。デジタルネイティブ世代の子どもたちが親の不貞行為を知ってしまう現代的事情について、コマさんに話を聞いた。

【漫画】「助けてください!」父の不倫に気づいた兄弟、母親に打ち明ける? 家族に見せた気づかい

■親のスマホで不倫を発見、中高生や小学生からも…SNSのDMで寄せられる悩み

──子どもから「親が不倫している」という相談が届くんですね。

【コマさん】とくに最近は増えています。私は過去に探偵事務所で働いていて、今はSNSで様々な情報を発信しているのですが、今の子たちはDMからの相談が増えています。DMは、心理的ハードルも下がるのでしょう。中高生は本当に多いですし、小学4年生の子から相談されたこともあります。

──そんな小さな子まで?

【コマさん】子どもだって、ネットやSNSでかつてないほど多くの情報に触れていますし、芸能ニュースなどで「浮気」や「不倫」といったワードもよく知っています。男女の関係性の深いところまではわからない幼い子でも、「許せないことだ」という感覚はあるようですね。

──具体的に、どうやって親の不倫を知るのでしょうか?

【コマさん】最も多いのが、親のスマホで気づくケースです。不倫している側も、配偶者には絶対にスマホを見られないようガードを固めるのですが、子どもに対してはワキが甘くなると言いますか…。子どもから「ゲームしたい」「動画を見たい」と言われ、ロックを外して貸してしまうのは「あるある」みたいです。

──親のスマホを借りて操作しているうちに、浮気相手のメッセージを見てしまう?

【コマさん】そうですね。あるいは親の後ろを通ったときに、ママorパパとは違うアイコンの人とメッセージのやりとりをしているのを見て、「おかしいな」と思ったのが最初に気づいたきっかけだったという子もいました。

■“当事者”ではない子どもたち、「信頼できる大人に繋いで」話を聞くことしかできないもどかしさ

──子どもからの相談を、どう対応するのですか?

【コマさん】これが本当に苦しいところなんです。夫や妻など当事者からの相談であれば、具体的な解決法をアドバイスできるのですが、お子さんの場合は話を聞くことしかできないんです。「できれば信頼のできる大人に繋いでほしい」と伝えてはいますが、そもそも誰にも相談できないから私にたどり着いてくれたわけで…、もどかしいです。

──本作では、父親の浮気に気づいた高校生の息子がコマさんに相談し、それから母親に打ち明けるエピソードが描かれます。

【コマさん】身バレを防ぐために脚色をしていますが、実際にあった出来事です。とてもしっかりとした頼もしい息子さんで、「どんな決断をするにしてもお母さんの味方だ」と話していました。一方で、父親に対しての嫌悪感はすさまじかったですね。「気持ち悪い」と、完全に拒否反応を示していました。

──離婚するかもしれないという不安を感じる子もいるでしょうね。

【コマさん】本作の高校生は母親に決断を委ねていましたが、「家族が離れ離れになりたくない、仲直りしてほしい」という中立タイプのお子さんもいます。でも結局は、それまでに築いてきた親子関係なのだと思います。この息子さんは本当に母親思いで、「母さんの苦しむ顔を見たくない」と、離婚についても背中を押している様子でした。親なら誰しも子どもの幸せを願いますが、子どもも親の幸せを願っているんだなと思いました。

──親の浮気を知ってしまった子どもは、どう振る舞うものなのでしょうか。

【コマさん】これもケースバイケースで、思春期の子が家にいるのがイヤで非行に走ったり、逆に引きこもりがちになってしまった子もいたりしました。本作の高校生も、とても頼もしくてしっかりしていましたが、内心はものすごく傷ついていました。

──不倫は夫婦関係を壊すだけでなく、子どもも深く傷つけてしまうんですね。シリーズ1作目『サレ妻になり今は浮気探偵やってます1』は、コマさんの実体験がもとになっています。

【コマさん】私も、元夫に不倫された体験がありますからね。当時、娘はまだ未就学でしたが、父親のおかしな行動によって、一時は食欲がなくなったり、情緒不安定になったりしました。自分が不倫されたことよりも、娘の心を傷つけたことが一番許せませんでした。

──子どもがいながらパートナーの不倫に悩む人に向けて、どんなことを伝えたいですか。

【コマさん】離婚と再構築、どちらが正解かは夫婦関係によりますが、いずれにしても子どものために早期解決に向けて行動していただきたいです。それ以前に、不倫している側や予備軍には、「子どもの将来にまで影響を与えかねない、罪深いもの」ということを、肝に銘じてほしいですね。