子どもに恵まれて、これから家族3人の幸せな未来を描いていたのに…。

【マンガを読む】『今日から別居します』(画像96枚)

子どもが生まれる前の理想と現実のギャップに悩まされている人は少なくありませんよね。特に、夫婦のどちらかが一人で家事や育児をこなす「ワンオペ育児」の大変さを理解してもらえないと、不安や孤独を感じてしまうことも…。

そんなワンオペ育児の苦悩を描いたのが、ママ向け育児メディア「ninaruポッケ」での人気連載『今日から別居します 産んだら夫を嫌いになりました』。

夫は子どもが生まれても何も変わらず、自分優先で家事や育児に非協力的。助けを求めても、まったく届かない…。そろそろ限界です!

実体験をもとに描かれ、多くの読者の共感を呼んだ本作。電子書籍化も果たした注目作の著者・おかめさんにお話を伺いました。

■著者・おかめさんインタビュー

──本作を描こうと思ったきっかけを教えてください。

おかめさん「当時経験した夫との別居を漫画にしたいと思っていて、それをツイートしたところ、『ninaruポッケ』の担当さんが声をかけてくださったのがきっかけです」

──「産んだら夫を嫌いになりました」というサブタイトルは、多くのママが他人事ではないと感じると思います。子どもが生まれた後に夫婦の関係性が変わってしまったり、考えのズレが生じたりするのはなぜだと思いますか?

おかめさん「私はむしろ、子どもが生まれた後は夫婦の関係性は変わるべきだと思います。当時は私も夫に対して『出産する前のままの生活なんてもう一生できないんだから、早く変わってくれよ!』と思っていました。産後は今までやれていたことはやれなくなるし、ホルモンが大暴れして別人みたいになるし、出産の時の傷は痛いし…!そういうことについてきちんと夫婦で話し合えずに問題が放置されていくと、どんどん良くない方向にいくのかなぁと」

──主人公さくらの夫であるたくやは、育児や家事に非協力的なだけでなく、お金や女性関係など、さまざまな問題を起こします。タイトルにもあるように、「別居」することになる2人ですが、さくらが葛藤しながらも別居を決意した一番の理由はなんだったのでしょうか?

おかめさん「当時は夫であり父親であるたくやですが、あまりに自分勝手でどちらの役割もしてくれないのに、妻であり母親であることを当然のように求められることに耐えられなくなっちゃったんだと思います」

──「ninaruポッケ」の連載版では、自分たちの夫婦の形を模索しながら再スタートを切るところで完結していますが、電子書籍では衝撃の結末となっていますね。その理由は?

おかめさん「連載版では、失敗するたびに夫婦で話し合って、自分たちらしい関係性を模索しながら方向修正していく…という、夫婦の理想とする形で完結しています。だけど、『やっぱり現実はそうじゃないこともあるよね』『現実の形は結局こうなるよね』という部分を描けたらなと思ったので、書籍版はリアルな夫婦像を意識しました。登場人物の名前も変えていて、これにはただの愚痴漫画にならないよう、客観的にひとつの夫婦を描けるようにという狙いがあります!」

──この作品を通して、夫婦の形・関係性は、本当にそれぞれなんだなと考えさせられます。おかめさんご自身の経験を通して、自分達らしい夫婦の形をきずいていくために大切なことは何だと思いますか?

おかめさん「お互いの理想像を早めに捨てることでしょうか(笑)。どうしても『こうしてほしい!』『こうであってほしい!』と思ってしまうんですけど、あくまで目の前の人とどう夫婦を営んでいくかなので。あとは、ちゃんと話し合いができる夫婦でいることだと思います。どんな問題も、結局は話し合って解決していくしかないので、話し合いが成立するというのは大事だなぁと感じます」

取材・文=松田支信