秋季キャンプも不参加、既に来季“構想外”か

 プロ野球楽天のオコエ瑠偉外野手(25)が11月25日の契約更改交渉で来季契約を結んだ。本人の希望により、年俸は非公表で取材対応はなかったという。契約更改時の選手の“お勤め”を果たさない異例の事態に、球界関係者の間では「現役ドラフト(12月9日)にかかることが決まっているのではないか」との観測が浮上している。

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 オコエはナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、俊足、強肩という恵まれた身体能力で東京・関東一高校時代に甲子園大会を沸かせた。2016年にドラフト1位で楽天入りすると、1年目は51試合に出場し、本塁打も記録した。だが、その後は1軍定着がままならず、今季までの7年間で236試合の出場にとどまっている。今年は8月に6試合に1軍に出ただけで、2週間足らずで2軍に逆戻り。

25歳になったオコエ。迫力は抜群だが……

「これまでオコエは年俸以上に高価な車を買い換えたとか、グラウンド外で話題を呼んできた。GMを兼任する石井(一久)監督は(1軍出場がなかった)20年のオフに契約更改した際には『考えが甘い。そろそろ出てこないと、野球人生が苦しくなってくる。ここが正念場。自己評価が少し高い感じがする』などと崖っぷちに立たされていることを公言している。それでも、本人は自覚が足りていたとは言えず、今季は1軍で見切りをつけられたように映り、オフには秋季キャンプに参加しなかったこともあり、来季契約を結ぶ前から既に戦力構想から外れているとの見方もされていた」(遊軍記者)

 楽天の外野陣は島内宏明、辰己涼介らに加え、今季は西川遥輝が日本ハムから移籍と球界屈指の層の厚さを誇る。打線で手薄だった右打者では、中日から阿部寿樹内野手をトレードで獲得した。右打ちの外野手であるオコエの居場所はなくなりつつあり、さるセ・リーグ球団編成担当者は「楽天はこれまでもトレードを検討してきた。しかし、今オフまとまらず、現役ドラフトにかけることにしたのではないか。この方針は本人が同意済みの可能性がある。それで今回の契約更改での不可解な対応の辻褄が合う」と指摘する。

楽天とは打ち合わせ済み?

 現役ドラフトは今オフ、初開催となる。選手の「飼い殺し」を防止し、球界を活性化させることを目指す新機軸だ。各球団は2人以上候補者を供出した上で、必ず他球団から1人は獲得しなければならない。一方で指名がないことも起こる。どの選手を現役ドラフトにかけたか公表はせず、厳格に秘密保持が義務付けられている。

「現役ドラフトにかけるということは、その球団では戦力には考えていないと判断したことを意味する。にもかかわらず、次のシーズンもプレーすることになれば本人も周囲もやりづらくなるからだ」(前出の編成担当者)

 その一方で年俸は契約更改で非公表にしたとしても、獲得に際しては重要な判断材料になるため、事前に全球団に通達されることがルール化されている。ならばオコエはなぜ、年俸を非公表としたのか。

「今季年俸は1000万円と言われてきた。来季は(楽天の担当記者が)推定で算出したように850万円程度が妥当な線だが、現役ドラフトにかける代わりに、この水準は維持するなどといった温情のようなものが球団からあったのではないか。ただし、これを公表すると、成績に比べると金額が多いことに違和感を残し、現役ドラフト要員であることを勘付かせてしまう。また指名されず、オコエが現役ドラフト要員であったことが表面化しなかったケースになったとしても、事前に公表し、例えばそれが今季と同水準なら評価は過大となり、残留した楽天で他選手とのバランスを欠くケースなど問題が出てくる。だからオコエの来季年俸は伏せられたのではないか」(同)

プロ入り時は「外れ1位」でも……

 さらに、取材対応がなかったこともオコエが現役ドラフト要員である根拠を強化しているという。

「水面下では現役ドラフトにかけられることが決まっているのに、記者から質問を受け、年俸の増減をはぐらかすことや来季に向けた意気込みなどを答えるのは難しい。球団にも、それをオコエに強いるのは酷だという配慮があったのではないか」

 現役ドラフトにかけることを、当該の選手に伝えるかどうかは所属球団に委ねられている。楽天の場合はオコエに通達済みで、球団とオコエが移籍、残留どちらに転んでもいいように穏便に事を運ぼうとしているというのが前出のセ球団編成担当者の見立てである。

 オコエが現役ドラフトとなれば、複数球団が関心を抱く「目玉」になるだろう。25歳と若く、環境を変えれば花開くと分析している球団は少なからずあるという。

「日本ハムは新庄(剛志)監督が興味を持っていると言われている。阪神からトレードで獲得した江越(大賀外野手)や再生に興味を示していた藤浪(晋太郎投手)もそうだが、身体能力が高い選手が好み。他球団で埋もれている素材は、監督として自身の力を示したい新庄監督にはうってつけ。オコエなら開花しなくても移籍直後にキャンプで話題を呼んで一定のメリットがあるだけに、年俸1000万円程度なら、その他の球団でも人気は高くなると予想される」(同)

 プロ入りした時は楽天で平沢大河内野手(ロッテ)の外れ1位だった。現役ドラフトでは競合そのものがないものの、いの一番での指名で球史に名を残すことになるかもしれない。

デイリー新潮編集部