大阪府内にあるJR阪和線の堺市駅コンコースが、熱狂的な「カニ推し」になっている。壁の両側には、「蟹」の文字が180個印刷された紙と、カニの写真30枚がそれぞれに貼られ、真っ赤に。ちょっぴり狂気じみた文言も相まって、異様な雰囲気を醸し出している。ねえ、何でそんなにカニ推しなん?

【写真】コンコースの壁面が「蟹」の漢字だらけ!「季節感を感じてほしい」と駅員さんは言うけれど…

 掲示物は、JR堺市駅2番のりばの階段を上った先にある。「蟹」の文字で埋め尽くされた装飾には「この蟹をみつめて下さい。何の文字か分からなくなってきたでしょう。そうこれが『ゲシュタルト崩壊です』」。実がたっぷり詰まったカニの写真30枚の横には「この蟹をみつめて下さい。だんだん食べたくなってきたでしょう。そうこれが『かにカニ』です」と書かれている。そばを通った親子連れは、写真を眺めて「怖いな」とぽつり。そう、何だか怖いんです!

駅員がゲシュタルト崩壊を体感

 JR西日本によると、日本旅行と毎年冬に企画する旅行ツアー「かにカニ日帰りエクスプレス」の一環。掲示物は企画を盛り上げようと、堺市駅の駅員たちが2017年から独自に始めたという。毎年ユニークなため、SNSでは「JR堺市駅のデザインセンスが凄い」「蟹に支配されし駅、JR堺市」とひそかな話題を呼んでいる。

 現在、掲示物は駅員の小嶋和幸さん(35)ら5人ほどが担当。今年は10月末にアイデア出しの雑談をしていた。すると、紙に書いた漢字の「蟹」複数個をじーっと眺めていていた小嶋さんの目に異変が起きた。「蟹」という漢字が「角」「牛」「刀」「虫」とばらけるように見えてきた。パーツをばらばらに認識する知覚現象「ゲシュタルト崩壊」を体感したのだった。

 「蟹の漢字の中に『牛』とかおんねんなって思うようになりました」と小嶋さん。メンバーに伝えると面白がってもらい、体感したことを掲示にすることで意気投合。「蟹」の漢字を6個入れたA4用紙を30枚印刷してつなげ、180個の「蟹」を見れるようにしてラミネート加工した。同じく、カニの写真も30枚印刷してくっつけた。写真は「駅員の一人がツアーで家族旅行に行った際の実物です。ゲシュタルト崩壊と同様のパターンにしてPRできればと考えました。本当においしかったそうなので」と話す。

 驚きなのは、掲示を作る速さだ。「(装飾づくりの)機動力が高い」と太鼓判を押す駅員らのおかげで、掲示はアイデア出しをした夜に完成。翌朝出勤した小嶋さんは「自分でもびっくりするくらい壁が真っ赤で、おののきました」と笑う。

 掲示は3月末までの予定。JR堺市駅、まだまだカニ推しで突き進みます。

(まいどなニュース・山脇 未菜美)