<かわぴー♫>と歌うほのぼのとした曲に合わせて、ヒザの上に乗せた犬の両前脚を、犬の両頬にぎゅっと押し当てる「#かわぴー」というポーズが、TikTokInstagramを中心に流行している。

【Twitter】「犬のかわぴーダンスは危険」と実際に投稿された一連のツイートを見る

しかし、この「かわぴー」ポーズの前に、飼い主たちが愛犬にさせる「かわぴーダンス」が犬にとって危険だという、注意喚起のツイートが話題だ。

「これ絶対に止めてください」という注意喚起をTwitterに投稿したのは、犬と旅するテレビ番組『ポチたま』に出演し、動物に関する多くの資格を持つ犬のプロ、松本秀樹(@macha_daichi)さん。「かわぴーダンス」の危険性やその理由を投稿した松本秀樹さんに聞いた。

「知らなかった!」「TikTok怖い」

松本さんの投稿によると、問題なのは「かわぴー」ポーズではなく、犬の「両前脚」を左右に大きく広げる「かわぴーダンス」。実はこれ、犬の身体構造上、危険な行為なのだという。

※以下、松本さんの一連のツイートから抜粋。

「犬には鎖骨がなく、前脚は前後にしか動かせないんです(我々人間が肩をグルグル回せるのは鎖骨があるから)」

「犬の前脚を開く行為は、人間でいうと股を割いているのと変わらない痛みがあります。その上、もし、この肩周りと首をつなぐ筋肉を痛めると、犬は前脚の2本で、自分の体重の3分の2を支えているので、歩いたり走ったりができなくなる可能性や…」

「肩を脱臼しやすくなってしまいます。また、犬が高齢になり筋肉量が落ちてきた際に、前脚の靭帯がゆるくなっていると、前脚が開き気味になり、寝てる姿勢から立つ、歩くという普通のことができなくなってしまいます」

「『知らなかった』というのは、我々犬のプロがお伝えし切れなかった部分もありますが、知らなかったことでも、愛犬が怪我をした場合、その痛みや後遺症はなかったことにはなりません」

「散歩の後に足を拭く時、服を脱ぎ着させる時、犬の前脚は左右ではなく、前後方向に持ち上げるようにしてください。お願いします」

この松本さんの一連のツイートに、多くの驚きのリプライが寄せられた。

「知らなかった!やってなくてよかった。勉強になります…!」
「ぬいぐるみのように扱ってはダメですね」
「TikTokほんとうに怖いです」
「世の中には調べず飼われている方の方が多いのかもしれませんね」

犬にとって危険な「かわぴーダンス」について、注意喚起のツイートを投稿した犬のプロ、松本秀樹さんに詳しくお話を伺った。

犬の前脚を「左右に大きく開かせる」のが問題

ーー「鎖骨」がない犬にとって、前脚を左右に広げる動作は危険なのですね。前脚を上下に動かして頬に押し当てる「かわぴー」ポーズ自体は問題ないのでしょうか?

「はい。犬の前脚を犬自身の頬に当てたり、上にあげる動作はいいのですが、犬の前脚を左右に大きく開かせる、ということが問題なんです」

ーー歌に合わせて犬に何かさせたいなら、どんな動きやポーズなら安全ですか?

「犬の身体を飼い主さんが持って動かすようなダンスではなく、コマンドやおやつなどで誘導して、犬自身が自らやる行動を”ダンス風”に見せるなら安全かと思います」

ーーちなみに、犬と人間が共に競技をする「ドッグダンス」は安全ですか?

「はい。『ドッグダンス』は犬自身も楽しそうにしていますし、安全です。そもそも『ドッグダンス』は、人間が犬をコントロールして、犬自身が能動的にその行動を選択するようにしているもの。つまり、犬が自身で行動するので、犬にとって不可能な動きはできないですよね」

「信頼関係」が崩れる→「異常行動」

ーー「かわぴーダンス」以外にも、犬にとって危険だと感じる行為はありますか?

「正確な名称がわからないのですが、海外のSNSから流行した『すべての動物が怖がる動き』を、愛犬や愛猫に試す飼い主さんがいらっしゃるのを見かけます。信頼関係を壊すことになりますので、いざというときに、『待て』や『おいで』といった、ペットの命を守る行動ができなくなります。

それ以外にも、犬がごはんを食べている最中に、わざと近づいて怒らせ、その顔を撮影して投稿している方もいらっしゃいます。これを続けると、ごはんやおやつに過剰に執着する『フードアグレッシブ』という異常行動に繋がります。犬は食べるために生きています。ごはんの時間は、誰にも食事を取られる不安などなく、集中して食べられる環境を作ってあげていただきたいです」

ーー松本さんは、「愛玩動物飼養管理士1級」「小動物飼養販売管理士」「愛玩動物救命士」「犬と住まいるコーディネーター」「ホリスティックケアカウンセラー」と、動物に関するたくさんの資格をお持ちだそうですね。松本さんの考える「犬という動物との理想的な暮らし方」とは…?

「犬という異種動物を人間社会に連れてきた責任として、犬の生態を知り、人間社会でその犬という存在を守ること、そして、犬が苦手だったり嫌い…という方の生活と笑顔も守るために、犬を能動的にコントロールすることが『犬と暮らす』ということ、というのが松本秀樹の定義です」

◇ ◇

飼い主にとって、愛犬や愛猫は大切な「家族」。しかし、感情や意思の共有はできても、「人間」とは身体構造や性質が大きく異なることを、きちんと理解しておくことが重要だ。

犬のプロフェッショナルである松本秀樹さんは、松本さん自身が出演していたテレビ番組『ポチたま』で、3代目旅犬としても活躍した10歳になるラブラドールレトリーバーの男の子、「まさはるくん」と暮らすドッグオーナーでもある。

TwitterやInstagramを通して「犬と暮らす」上でのさまざまな情報を発信すると共に、「犬を従える時代から犬と暮らす時代へ」をモットーにした『松本秀樹にまかせ隊』を運営。犬を飼う人たちが抱える課題や悩みに寄り添っている。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)