2024年卒を対象にした「就職ブランドランキング調査・早期」では、伊藤忠商事が1位になりました(撮影:梅谷秀司)

大学生の就職活動は早期化が進んでいる。政府が要請するスケジュールでは、企業の採用広報の解禁は3月、採用面接の解禁は6月としているが、実際はそれよりも前から学生の就職活動は始まる。インターンシップ(就業体験)への参加がその後の選考に実質的に影響するケースもあり、大学3年生の早期から就職活動に動き出す学生は少なくない。

こうした中、政府は6月に「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」を発表。従来の文部科学省・厚生労働省・経済産業省による合意文書では、「企業は学生のインターン情報を採用選考活動に使用できない」としていたルールを変更した。

一定の基準に準拠して実施したインターンシップで得た学生の情報を、企業は採用活動に使用できるようになる。2025年3月に卒業する学部生の場合、2023年度に参加するインターンシップからこのルール変更が適用される。選考におけるインターシップの重要性が増す中、就職活動の開始時期が後ろ倒しになることはしばらくなさそうだ。

就活先行組」に選ばれている企業は?

インターシップでメインとなるのは夏休みの期間を利用したもの。「大学3年の夏は事実上の就職活動の開始時期」とも言われ、早期に動き出す学生は4〜6月に開催されるインターンシップの説明会やオンラインイベントに参加する。


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いち早く動き出す「就活先行組」の学生たちは、どのような企業に関心を持っているのか? 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施する「就職ブランドランキング調査・早期」の結果から明らかになった。同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録する、2024年春卒業予定の大学生や大学院生を対象に調査したもので、今回は8472人から回答を得ている。

1位になったのは総合商社の伊藤忠商事だ。昨年実施した2023年速報版では三菱商事に抜かれ2位だったが、首位に返り咲いた。同社は20時以降の残業原則禁止や朝型勤務推進など積極的な働き方改革で知られる。ほかにも全社員対象の在宅勤務導入、出産後1年以内の復職者に対する支援金といった取り組みが評価されているようだ。なお、属性別で見ると、伊藤忠商事は男性・女性・文系でトップ、理系でも2位に入った。三菱商事はランクダウンしたものの、2位に入っており根強い商社人気がうかがえる。

金融は例年上位にランクインする傾向にあり、3位は日本生命保険、4位は大和証券グループとなった。5位は広告代理店国内2位の博報堂/博報堂DYメディアパートナーズが入った。

6位はソフトウエア開発やSI(システムインテグレーション)事業を展開するIT企業、Skyが昨年10位からさらに順位を上げた。積極投入しているテレビCMで知られるほか、採用サイトでは事業内容などについて漫画で親しみやすく紹介。こうした取り組みが結果に表れているのかもしれない。

以下、7位東京海上日動火災保険、8位損害保険ジャパン、9位丸紅、10位バンダイと続く。




就職活動「早期」 就職ブランドランキング調査について
調査主体:文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所
調査対象:2024年春入社希望の「ブンナビ!」会員(現大学3年生、現大学院1年生)
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙・アプリアンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌&デジタルブック内QRコードアンケート
*投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式

調査期間:2022年4月1日〜2022年9月30日
回答数:8472 (うち男子4577・女子3895/文系6955・理系1517)
総得票数:2万7608票
男女比を1:1にするため、男子得票数に0.850994101を掛けたポイント制

「就職」を重視する学生は「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下で、ランキングを算出。
就職者誘引度は、学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度5、仕事イメージのみで投票した場合は95とし、得票平均値を就職者誘引度としている。
総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。
社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。社名変更等で調査時の社名と異なる場合がある。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記。

(小島 和紘 : 東洋経済 記者)