カナダ戦から一夜明けた18日、森保一監督が町野修斗を起用しなかった理由について語った。

中山雄太の負傷により招集された町野は日本代表としての経験が圧倒的に少ない。7月のE-1選手権に初招集されて3試合に起用されたものの、当時のメンバーは国内組のみ。ヨーロッパ組も入った日本代表でプレーしたのは9月23日にデュッセルドルフで開催されたアメリカ戦の後半だけとなる。

チームプレーの理解と確認、コンビネーションの構築のためにはワールドカップ前の最後の試合であったカナダ戦に起用するほかなかったはず。それなのにピッチに立たせなかったのは、森保監督が町野を「秘密兵器」として使おうと隠したのか、あるいは召集したものの、起用を諦めたのか——。

森保監督は「秘密兵器」説を「デュッセルドルフでの試合で使っているからすでに(ドイツには)見られています」と一笑に付すと、カナダ戦で起用しなかった理由を明らかにした。

「最後に使う選択肢も持ってた中で、最後のチョイスをどうしたらいいのかを考え、『人を試す』か『戦い方を試す』かということで、戦い方を選択し、吉田麻也を起用しました。もう少し早い時間帯で(町野を投入するやり方も)あったかなとは思いますけど。そこは考えた上で利用しませんでした」

だが町野には見切りをつけたのか、というとそうではないようだ。

「ただしこの試合に起用しなかったからといって、彼を戦力としてのこと(価値)が何か失われるということはないと思います。彼がここに来てる理由は、Jリーグで一番点を取っている、湘南のプレーがよかった、そしてE-1選手権や9月の活動の中でも我々の戦力になるということでここに来てもらっています」

そうは言ってもワールドカップというレベルの高い戦いの中での起用はあるのか。

「ワールドカップの本番でも、普段やってることをそのまま生かしてもらえるよう、クリアにプレーできるように指示して、役割などもチームで共有し、普段の力を発揮してもらえれば自然と戦力になると思います」

森保監督はそう言うものの、町野はやはりこのチームの中では未知数。使うにしてもワンポイントになるだろうが、相手チームはデータの少なさに困りそうだ。

【文:森雅史@ドーハ/日本蹴球合同会社】