明治時代から続く鎌倉の銘菓「鳩サブレー」。鎌倉にある菓子メーカーの豊島屋による超ロングセラー商品で、その味とかわいい見た目から地元だけでなく関東圏を代表する銘菓として広く知られています。

【写真】モチーフはなぜ「鳩」、鎌倉殿の13人でもおなじみの八幡宮への思いから

この「鳩サブレー」、歴史が長いだけあってさまざまな伝説がありますが、そのうちのいくつかを販売元・豊島屋の担当者の解説も交えてご紹介します。

「鳩サブレー」はかつて「鳩三郎」と呼ばれていた!?

「鳩サブレー」誕生のきっかけになったのは豊島屋が店を始めて間もない明治30年頃のこと。ある日のこと、店にやってきた外国人から、見たことがない大きな楕円形のお菓子をもらった初代店主。さっそく口にすると、その美味しさに感動し、「これから日本の子どもたちに喜ばれるお菓子はこれだ!」と確信し、その日から後のサブレーとなるお菓子の開発を始めました。

試行錯誤を経て試作したお菓子を、欧州航路から帰国したばかりの友人の船長に食べてもらったところ「これは、かの国で食べたサブレーというお菓子に似ている」と言われます。店主はここで始めて「サブレー」という言葉を知りますが、どことなく「三郎(サブロー)」という響きに似ていたことから親しみを覚えました。

「当初から『鳩サブレー』という商品名でしたが、このエピソードから初代だけは親しみを込めて『鳩三郎』と呼んでいました」(豊島屋・担当者)

現在、「鳩サブレー」にまつわるグッズの中には、このエピソードからのシャレで「鳩三郎」と表記したものがあり、「かつて『鳩サブレー』は『鳩三郎』という商品名だった?」という説もまことしやかに語られることがありますが、これは誤りで、あくまでも初代だけが呼んでいた呼称でした。

「鳩」がモチーフになった理由と「食べる順序」は?

「鳩サブレー」が何故鳩だったのかと言うと、地元の鶴岡八幡宮を崇拝していた初代が、かねてから八幡さまにちなんだお菓子をつくりたいという思いがあったことに由来します。

「鶴岡八幡宮の本殿の掲額は『八』の字が鳩の抱き合わせとなっていること、また、その『鳩』が神の使いだったこと、さらに、境内によくいる鳩が子どもたちに親しまれていたことから、お菓子の形を鳩形にすることにし、『鳩サブレー』になりました」(豊島屋・担当者)

ちなみに当初の「鳩サブレー」から今日まで原料はいっさい変わっておらず小麦、砂糖、卵、バター、ベーキングパウダーを使ったシンプルな味わいが守られ続けています。

また、よく聞く「『鳩サブレー』がかわいすぎて、どこから食べるべきか」についても豊島屋の担当者は答えてくれました。

「食べる順序は特に決まりはありません。お好きな場所からお召し上がりください」(豊島屋・担当者)

パンの製造に加え、「鳩サブレー」以外のお菓子が100種以上も!?

ところで、豊島屋は「鳩サブレー」の販売元として有名ですが、「鳩サブレー」以外のお菓子も数多く販売しており、その数は季節商品を含め100種以上もあり、さらにには鎌倉駅前扉店ではパンの製造も行っています。言い換えれば、豊島屋は代表的商品「鳩サブレー」ファン以外の商品の支持も厚いということでもあります。

こういった「鳩サブレー」以外の商材で、若い世代に人気なのが「わっふる」で、今年、鎌倉小町通りに専門店を開店しました。

「バリエーション豊かな味を選べる焼きたての『わっふる』や季節ごとのお干菓子などを販売する店『瀬戸小路』をオープンしました。『鳩サブレー』のバラ売りも行っていますので、鎌倉を観光される際はぜひお立ち寄りいただければ幸いです。

また、鎌倉駅周辺には本店を含む4店舗を展開しており、各店ともコンセプトが異なり、販売しているものも異なります。こちらもぜひお立ち寄りいただければ幸いです」(豊島屋・担当者)

地元・鎌倉だけでなく、関東圏を代表するロングセラー銘菓「鳩サブレー」。最後に担当者にメッセージをもらいました。

「弊社の売り上げの半分以上を占める『鳩サブレー』は、バター風味のサクサク食感が特徴です。今後も多くの方にご愛顧いただけることを願っております。今後とも鎌倉名物の『鳩サブレー』をお召し上がりいただければ幸いです」(豊島屋・担当者)

(まいどなニュース特約・松田 義人)