女性VTuberの音楽事務所「RIOT MUSIC」を運営する「SuperYellow」(東京都港区)は2022年11月17日、所属アーティストの芦澤サキさんについて、同日をもって契約を解除したと公式サイトで発表した。

無断で別名義のVTuber活動を実施するなど、重大な契約違反があったためだという。

「あってはならない信頼を裏切る行為」

Vtuberの芦澤さんはカバー歌唱動画を中心に人気を博す。YouTubeのチャンネル登録者は27万超を誇り、17日夕時点で最も視聴された動画の再生回数は851万回にのぼる。

芦澤さんを担当するキャスト(A氏)との契約を解除した理由について、同社は発表で「重大な契約違反に該当する行為が確認された」として下記3点を挙げている。

・当社に無断で別名義でのVTuber活動を実施
・その別名義でのVTuber活動内で芦澤サキの担当キャストであると類推される行為をしていた
・その別名義でのVTuber活動内で当社が制作したカラオケ音源を無断で使用していた

発表によると、契約に「無断で別名義でのVTuberとしての活動およびそれに類する活動を行ってはならない」と明記されているにもかかわらず、A氏は遅くとも8月時点で別名義での活動を開始していた。

同社は、この活動が契約違反行為に加えて同社の権利・財産を害すると指摘し、「何より、ファンの皆様および当社に対する、あってはならない信頼を裏切る行為と言わざるを得ません」ともいう。

A氏にはA氏代理人弁護士を通じてアカウントの削除を求めており、法的措置も進める予定だとする。YouTubeチャンネルをはじめとする芦澤サキ名義の各公式SNSは更新を停止し、12月31日をもって全て削除・非公開にすると伝えた。

元々、契約解除はA氏から申し出ていた

芦澤さんをめぐっては、A氏から9月上旬に、同月末をもって契約解除と引退をしたい旨の申し入れがあったとも明かされた。併せてA氏は、契約書に定められている競業避止義務を契約終了後に取り消すよう求めてきたという。

契約終了後の競業避止義務が法的に有効とする同社と、違法とするA氏で主張が食い違うも、同社は緩和に向けた代替案の交渉を続けてきたとする。懸念点は情報などの流出で、仮に競合事務所に移籍することになっても活動を妨げる意思はないーーと主張する。

騒動の最中には他にも、11月21日に誕生日を迎える芦澤さんの「誕生日ライブ」をめぐって見解が割れた。10月末ごろに実施の確約を求めたA氏と、契約解除の合意に至るまで確約はできないとした同社だ。

これを受けてA氏は主張を一転させ、実施の取り下げを希望。一方で芦澤さんとしての配信において、ライブを実施しないことを同社の問題だとする発言を繰り返し、ほかのメンバーへの批判も見られるようになったという。

同社は実施を視野に準備を進めていたとし、「これまで、芦澤サキ、ひいてはA氏の名誉、信用を守るべく静観を続けて参りましたが、この点で、上記A氏の発言は完全に事実と異なりますので、ここで明確に否定させていただきます」と訴えている。

このような状況で先述したA氏の違反が発覚し、契約解除にいたったと説明している。

発表にツイッターでは、ファンから「歌動画好きで聴いてたけど、この終わり方は残念」「ちょくちょく聴いてたから悲しい」「めちゃくちゃ人気あったのに勿体ないなぁ」といった反応があがっている。