南アフリカ・ヨハネスブルグのO・R・タンボ国際空港で11月11日夜、2機の飛行機が衝突した。地上で起こった事故だったため人的被害はなかったが、目撃者によると飛行機を牽引する運転手の居眠り運転の可能性が出てきた。『The South African』などが伝えている。

現地時間11日夜、南アフリカのO・R・タンボ国際空港で、国営航空会社「南アフリカ航空(SAA)」の飛行機が南アフリカの格安航空会社「フライサファイア(FlySaFair)」の機体に衝突した。事故当時、フライサファイアのボーイング機は駐機しており、南アフリカ航空のエアバスA320は駐機場まで牽引され、フライサファイア機の隣に駐機しようとしているところだった。その牽引中、南アフリカ航空機の左翼端がフライサファイア機の尾翼の下にあるテールコーンに接触した。接触とはいえ、機体同士の事故はダメージが大きい。南アフリカ航空機の翼の先端は損傷しており、主翼構造の動作確認テストが必要とのこと。一方、フライサファイア機の尾翼下は補助動力装置の周りのファイバーグラスカバーが引きちぎられていた。

この事故で両機とも運航不可能となり、南アフリカ航空はヨハネスブルグ―ケープタウン間のフライトをキャンセル、搭乗予定だった乗客は他のルートで移動することを余儀なくされた。ただでさえ経営が苦しく、たった7機で運航している南アフリカ航空にとって、1機の損失は大きい。

フライサファイアの最高マーケティング責任者(CMO)であるカービー・ゴードンさん(Kirby Gordon)は、すでにこの事故について民間航空局に報告し「機体の損傷個所を正確に把握するよう努めている」と述べ、「フライサファイアは起こり得る問題に対策を立てているためフライトに支障を出ることは想定していない」と強気の発表をした。今回の事故機はモーリシャスへのフライトに使用されている2機のうちの1機だったが、予定通りモーリシャスに飛ぶはずであったもう1機も12日朝、技術的な問題のためヨハネスブルグに引き返している。

事故原因については今も調査中とのことだが、空港の情報筋が情報誌『Rapport』に語った内容によると、南アフリカ航空機を牽引していた際に牽引棒が緩み、飛行機が約150メートルにわたって制御不明で前方に移動した可能性と、牽引車の運転手が旋回する際に運転ミスをした可能性があるとのことだ。しかし事故を目撃したという別の飛行機のパイロットが「牽引車の技術者が寝ているか、牽引中に注意を払っていないのを見た」と捜査当局に語っているそうで、居眠り運転の可能性も出てきた。どちらにしても事故当時、両機に乗客がいなかったこと、両機とも地上にいたことは不幸中の幸いだった。

画像は『The South African 2022年11月13日付「SAA technician accused of ‘sleeping’ during OR Tambo collision」(Photo: Supplied)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)