画面を折り曲げることのできる折りたたみスマートフォンは価格が高い。
このことが手の出しにくい製品ともなっている。

日本で売られているサムスンのモデルも高価格だ。
・Galaxy Z Fold4:24万9700円
・Galaxy Z Flip4:15万9500円
※どちらもドコモ、税込み価格

しかし海外では約10万円のモデルが登場し始めた。
まだ割高感はあるものの、この価格であれは既存のスマートフォンと比較して購入を検討できるだろう。

ファーウェイが中国で発売した「Pocket S」は、Galaxy Z Flip4と同じ、縦に折りたたむ形状のスマートフォン。
価格は5998元、日本円にすると約11万7000円だ。
最近の円安の為替レートではなく今年頭のレートで計算するともう少し安くなり約10万7000円となる。


ファーウェイの10万円折りたたみスマホ「Pocket S」


Pocket SはチップセットにSnapdragon 778G 4Gを採用するミドルハイレンジクラスのモデルである。
カメラは4000万画素と1300万画素(超広角)の2つを搭載しており高画質。
バッテリーも4000mAhを内蔵し、たたむと手の中に収まるほど小さなサイズとしては高容量といえる。しかも40Wの急速充電にも対応しており、20分間で約50%の充電が可能だ。

本体はパステル調のカラーで明るく爽やかな色合いに仕上げ、ファッショナブルなデザインでもありスマートフォンをアクセサリ感覚で使うこともできるだろう。
そして折りたたむと87.3 x 75.5 x 15.2mmのほぼ正方形サイズとなるので持ちやすい。
重量は190gだ。

縦折りデザインの折りたたみスマートフォンは、スマートフォンのコストの大半を占める折りたたみディスプレイの面積が、横折式スマートフォンよりも小さい。
そのため価格も折りたたみモデルとしては若干割安だ。
それでもGalaxy Z Flip4の価格は日本以外の国でも15万円前後であり、一般的なスマートフォンと比べてもだいぶ高い。

しかしこの価格が10万円まで落ちてくれば購入の敷居は低くなるだろう。

実はモトローラが今年8月、ファーウェイよりも先に価格を下げた折りたたみスマートフォン「razr 2022」を発売している。
現在は中国のみでの販売となるが、価格はPocket Sとほぼ変わらぬ5999元だ。


モトローラからも10万円モデル「razr 2022」が販売されている


モトローラの折りたたみモデルrazrシリーズは、前のモデル「razr 5G」が日本でも販売されたが価格は17万9800円、中国では1万2499元(発売時のレートで約20万円)だった。

razr 5Gは2020年に発売されたが、当時は折りたたみスマートフォンの開発コストが高かったこともあり、高級モデルとして価格もかなり高く設定された。
しかし悪く言えば「たためる」以外に特徴のない製品にこれだけのお金を払って購入する人は多くなかった。

先進性をアピールするために出したモデルでも、価格が高すぎてはメーカーの思いは消費者に伝わらない。razr 2022はその反省も込めて価格を大きく引き下げたのだろう。

一方、横折りスタイルのスマートフォンはサイズの大きい折りたたみディスプレイのコストも高く、まだまだ価格は割高だ。

それでもOPPOが2021年12月に発売した「Find N」は7699元(当時のレートで約14万円)とだいぶ価格を引き下げた。
ただしFind Nのおりたたみディスプレイのサイズは7.1インチで、サムスンなど他社モデルが8インチ前後であることと比べると小さい。横折りデザインで大型画面の折りたたみスマートフォンの価格が下がってくるにはもう少し時間がかかりそうだ。


横折りスタイルながら15万円を切ったOPPOの「Find N」


モトローラのrazr 2022はまもなく中国以外でも発売されるだろう。
日本でもモトローラのスマートフォンは数多く発売されており、10万円前半の価格でrazr 2022が登場すればユーザーは一気に増えるかもしれない。
そうなればサムスンもGalaxy Z Flip4や来年のモデルの価格を引き下げざるを得ないだろう。

2023年はスマートフォンを買い替える人にとって、折りたたみスマートフォンが選択肢に入る年になりそうだ。




執筆 山根康宏