節約のテクニックを紹介します(写真:マハロ / PIXTA)

物価高などによって生活が苦しくなる中、どのように支出を抑えるといいのでしょうか。経済アナリストの森永康平氏の著書『大値上がり時代のスゴイお金戦略』から一部抜粋してお届けします。

カット野菜は値上がり時代の味方

物価高や円安といったマクロ環境は私たち個人が何かをして変えることは不可能です。これはひとえに政府の仕事となるわけですが、だからといって何もしないわけにもいきません。賃金が上がらないなかで物価だけが上昇すれば、私たちの生活は苦しくなる一方です。そして、インフレが進めば日本人の多くが資産を現預金として保有しているわけですから、それらの価値も目減りしていきます。

ひとつの対策方法として投資があるわけですが、投資は必ず儲かるわけではなく、損をする可能性もあります。そして、投資は自己責任です。損をしても誰も助けてはくれません。さらに、投資をするにはそれなりの余剰資金が必要です。ここでは私たちが生活のなかでできる家計防衛について紹介したいと思います。

筆者自身も子ども3人を育てる現役の子育て世代であり、どこかの会社に雇われているわけでもない不安定な身分ですから、昨今の物価高の影響は大きく受けています。自分で食事も作るので、スーパーに買い物に行くこともしばしばありますが、本当にいろいろなモノの値段が上がっていることを実感します。

私事ではありますが、2022年の年始からダイエットを始め、半年で20圓慮採未棒功したのですが、その際に食事で欠かせなかったのが野菜です。子どもたちの栄養を考えても野菜抜きの生活は考えられません。


しかし、その野菜の値段も他のモノと同様に上昇しています。総務省が発表している消費者物価指数のデータから、全国と東京都区部における生鮮野菜価格の推移を見てみましょう。生鮮野菜は天候の影響を受けやすいため、価格変動が大きいのですが、2020年後半からは明確に野菜価格が上昇傾向にあることがわかります。

野菜価格の上昇はいわゆる子育て世代には大きな打撃になります。前述のように子どもが摂取する栄養を考えれば、野菜抜きの献立は考えられませんからね。しかし、もっと大きな打撃を受けるのは高齢世帯、特に年金だけで生活をしている世帯でしょう。総務省が公表している家計調査のデータをもとに、野菜・藻類の消費支出に占める割合を年代別にグラフ化してみたものが次の図です。年齢を重ねるほど、野菜・藻類が消費支出に占める割合が高くなることがわかります。


2022年度の公的年金支給額が前年から0.4%減額されたこともあり、所得の大部分を占める年金額が減少するなかで、生活必需品ともいえる野菜の価格が上昇するというのは他の年代以上にダメージは大きいはずです。野菜の価格が上昇するなかで、筆者が実践していたのは主に3つの方法です。

ひとつ目はすでにカットされた野菜を買うこと。買ってから数日のうちに食べることが決まっているのであれば、カットされた野菜で問題はありません。冷蔵庫に袋ごと入れておけば数日は保管できます。カット野菜は通常の野菜に比べて天候の影響を受けて価格が変動することもないため、出費を管理しやすくなります。

ふたつ目は冷凍の野菜を買うことです。こちらも冷凍されたものですから、価格は安定しています。味や栄養が落ちると気になる方もいるかもしれませんが、筆者の場合はカレーなどに利用していたため、それほど味は気になりませんでした。3つ目は合わせ技です。安いときに野菜を買ってきて、自分でカットして冷凍庫で保管します。節約できる金額はたかが知れていますが、塵も積もれば山となる。実際に筆者は自炊をするなかで、工夫をしながら生活することでわずかですが食費を浮かせることができました。

買い物での利回りを意識する

投資の世界で毎年20%のリターンを実現し続けられれば、あなたは世界有数の運用者になれます。メガバンクに預けても毎年0.1%も金利がつかない状況下で、毎年20%となれば日本中から運用してほしいとお金が集まってくるでしょう。ちなみに、毎年20%で増えていくなら4年後には倍になります。13年後には資産が10倍になりますからね。とてつもなく高い利回りです。

しかし、実は日常生活のなかで20%お得に買い物することはそこまで難しくありません。たとえば、最近よく耳にするプライベートブランド。いわゆるナショナルブランドと違い、小売店や流通業者、卸売業者など従来は商品を企画開発しない事業者が企画から販売まで一貫することで売価を大きく下げて売る商品ですね。有名なところだとイオンの「トップバリュ」や、西友の「みなさまのお墨付き」があります。

すでに足元の物価高から家計防衛をすべく、多くの方がプライベートブランドを利用しているようです。イオンが発表した2022年5月度の月次連結営業概況を見てみると、つぎのような記述がありました。

「生活防衛意識が高まる中、6月末まで価格据え置きを延長したイオンのプライベートブランドであるトップバリュにおいては、キャノーラ油やマヨネーズ、スパゲッティ等の食品主要単品計の売上が前期比約5割増、食品主要カテゴリー計でも前期比約3割増と、お客さまから強いご支持をいただいています」

プライベートブランドというと、かつては安いだけで質は悪いという印象があったかと思いますが、いまでは質も高くなってきています。筆者もトップバリュのヨーグルトや飲料を買うことが多いのですが、特に質が気になったことはありません。

省エネ家電にするだけで利回りは変わる!

また、ファミリーレストランで飲食をしたり、ドラッグストアやスーパーで買い物をする場合、アプリを活用すると20%程度の割引を受けられることも多々あります。アプリのインストール自体は無料ですが、5%程度の割引クーポンは頻繁に配布されます。稀に20%を超える割引率のクーポンもあるうえに、ポイントを貯めることでさらに会計時の金額を下げることも可能です。

ケチだと思われるかもしれませんが、実は省エネ家電に買い替えるだけでも電気代を大きく減らすことができます。経済産業省が公表しているデータによると、冷蔵庫は10年前と比べると約47%も省エネができます。テレビは9年前と比べて約42%、エアコンも10年前より約17%の省エネが可能。さらに照明器具は電球からLEDにすることで約85%も省エネできます。省エネできるということは、その分、電気代を節約できるということです。

それ以外にも、昨今ではフードロス削減の観点から、賞味期限間近の商品を格安の値段で販売しているスーパーやネットショップもあります。よく節約というと買いだめという発想をする人がいますが、飲食料品では買いだめできる品目は限られます。筆者は1カ月以内に食べるモノであれば、賞味期限間近のものを安く買うようにしています。

そもそも、賞味期限自体も美味しく食べるための目安であるため、生ものでなければ、多少は期限を過ぎていても気にせず食べてしまう質なので、お得な価値観を持っているのかもしれません。このコンセプトのネットショップですと、割引率は20%どころか、半額以下での販売もよくありますので、まずは確認してみるだけでも楽しいと思います。

サブスクの金額はバカにならない

節約を考える際に最初に思い浮かぶ方法に家計の見直しがあります。これは非常に典型的な方法ですが、ファイナンシャルプランナー(FP)さんに相談に行くと現時点での出費などを一緒に書き出して点検していくという作業をすることもあります。筆者はこの作業は地味ながら大事なことと考えています。マメに家計簿をつけている人や、アプリでレシートやクレジットカードの利用履歴をもとに出費の管理をしている人はいいのですが、多くの人は自分の出費に意外と無頓着なものです。

自分の出費を見直す際に、すべての出費を書き出せたら、それらを2つに区分けしていく必要があります。基本的には毎月支払う「固定費」と、そうではない「変動費」です。節約するためには、まず固定費を削減することを考えないといけません。なぜなら、変動費は名前のとおり、毎月の金額が大きく変化してしまい管理しにくいからです。

それでは、固定費にはどのような出費が該当するのでしょうか。家賃などの住宅費、水道光熱費、通信費、保険料、サブスク料金など数多く挙げられます。コロナ禍では旅行や娯楽のための外出機会が急減した結果、多くの方がサブスクを利用するようになりました。Amazon PrimeやYouTube Premium、Netflix、Huluなどの動画配信サービスがわかりやすいですね。これらの利用料金は基本的に毎月自動引き落としされます。徐々にコロナ禍が終わりに近づくにつれ、再び旅行や外食の機会も増えますから、サブスクの利用機会は減っていくはずです。

しかし、これらのサービスは一度契約してしまうと、ついつい契約の解除を忘れてしまいがちです。月額1000〜2000円程度ということもあり、利用機会が減っても「また使うかもしれないから」と、契約を解除しないままにする人も多いと思いますが、月1000円でも1年に直せば1万2000円です。しかも複数のサブスクを利用している場合、その年額が2倍、3倍と膨らむわけですから、意外とバカにならない金額になるのです。

つぎに水道光熱費の削減ですが、これには主に3つの方法があります。ひとつ目はそもそも使用量を減らすことです。筆者は実家でやっていましたが、お風呂のお湯を洗濯に再利用したり、節水シャワーヘッドに交換することで、年間で5000〜1万円程度の節約になります。

ふたつ目は電気代の契約プランや契約する会社を変えることです。2016年から電力会社を自由に選べるようになりましたから、電気とガスなどインフラに関する契約を一本化してしまうことも重要です。電話やケーブルテレビなどの通信事業者のセットプランに乗り換えるのも有効です。そして、3つ目は前述したとおり、省エネ家電に買い替えることです。

スマホの契約プランを見直す

いまとなっては生活に欠かせないスマホの通信料について契約プランの見直しをしてみるのもいいでしょう。意外と家にいる時間が増えて、Wi―Fiにつないでいる時間が増えたことで、スマホを外で使う時間が減ったにもかかわらず、必要以上に大容量のプランを契約したままになっている方も多いはずです。また、解約違約金がなくなったいま、格安SIMに乗り換えるのもひとつの方法です。


加えて意外かもしれませんが、いわゆるガラケー時代に契約していたコンテンツが依然として料金引き落とし対象になっていないかも確認しましょう。30代後半以降の方はよくわかるかもしれませんが、ガラケー時代に着メロや占いなどの月額300円ぐらいの契約をしていた方は多いと思います。大手の通信キャリアを利用している場合、郵送されてくる利用明細を改めて確認してみましょう。

最後に日本人が過剰なほど加入しがちな保険の見直しも重要です。保険の種類(掛け捨て、終身型など)や、保障内容と金額、保障期間、保険料などを見直してみて、過剰に加入してしまっていたり、ライフステージに適していない保険があれば解約すべきです。しかし、注意しなければいけないのは、実は必要だった保険を解約してしまうと、元に戻すことができなかったり、新たに入り直すことで保険料が上がってしまうこともあるので、解約の際には専門家に確認してもらうことも必要でしょう。

(森永 康平 : マネネCEO/経済アナリスト)