「#本田翼の演技」がトレンド入り。「#ちむどんどん反省会」に続き、ドラマ批判ハッシュタグはひとつの娯楽コンテンツになってしまったようだ。主演を務める「君の花になる」の演技について、「見てられない」「共感性羞恥が発動する」とさんざんな言われようである。一部には、「脚本のレベルには合っている」「ボーイズグループの演技の粗が目立たないためのキャスティングでは」など、理解を示す意見もある。とはいえ、一番目立つのは本田さんの名前だけに、損しているのは否めない。

【写真を見る】バラエティ番組で度々浮いてしまう「本田翼」

 以前から演技力についての指摘は多かったが、主演や準主演のオファーは引きも切らなかった本田さん。「恋仲」や「ラジエーションハウス」シリーズ。「絶対零度」ではベストアクション女優賞の優秀賞を獲得。映画でも「アオハライド」「鋼の錬金術師」など、話題作に名を連ねる。近年では声優として「天気の子」などにも出演。しかし、それでも厳しい評価が下されることはしばしばだ。彼女の登場シーンのたびに現実に引き戻される、といったコメントもよく見られる。

本田 翼

 一方で、CMや雑誌での評価はすこぶる高い。華のあるルックスを、素材の良さそのままに生かす場所だとダントツで光るのだ。スポンサーが多いから、ドラマ主演の話も多いという皮肉な作用も生んでいる。ただ最近のCMでは、歌ったり踊ったりオーバーアクションをさせるものばかり。彼女の演技力を極力感じさせない方向で演出されているのがわかる。

演技以前の問題? 昔から指摘されていた共演者も戸惑うマイペースぶり

 そもそも本田さん、華やかなルックスとは対照的に、オタク気質である。休日は朝から深夜までゲーム三昧といい、実況動画も大好評だ。好きなゲームやマンガとなると、早口ではしゃぐように喋る様子は、まさにオタクの話し方そのもの。そのギャップが人気だが、興味のないことには全く感情が乗らないし、気分の波をどう思われるかも気にしない人でもあるのだろう。

 彼女のマイペースぶりを共演者が暴露した例では、2013年に「ショムニ」メンバーで出演した「ビストロSMAP」がある。江角マキコさんやベッキーさんによると、本田さんは「台本を読まない」「昼休憩では車に戻ってマンガを読んでいる」「スタジオから一番先に帰る」「酔っぱらうと先輩にもタメ口、持ち物も全部忘れる」とのこと。要はオンでもオフでも緊張感がないことをやんわり指摘されていた。別のイベントでは「全員分のNG足しても追いつかない」ほど「毎日かんでる」とチクリ。それでも本田さんは、ふわふわとほほ笑むだけだった。今となっては江角さんもベッキーさんも過去の人だ。本田さんにとっては蚊に刺されたくらいの思い出かもしれない。

 映画「起終点駅 ターミナル」で共演した佐藤浩市さんは、本田さんがヒロインと聞いた時、「やばいな。大丈夫か?」と感じたと明かしていた。最後にフォローはあったものの、場を盛り上げるためのジョークではないことは彼の表情が物語っていた。

 さらにフジテレビが製作に名を連ねている映画「今夜、ロマンス劇場で」の舞台あいさつでは、「ピカチュウに出てきてほしい」とノリノリで発言した本田さん。MCから「他局(のコンテンツ)ですが……」と困惑した声をかけられても慌てるそぶりさえ見せず、「それが何か?」という顔つきで押し通していた。だから思う、本田さんが下手なのは演技というより、周囲とのコミュニケーションなのではないかと。初期のバラエティー番組への出演では、ワンテンポ遅れて笑ったり、かと思えば唐突なツッコミをしたり、面食らう振る舞いが多かったものだ。

本田翼が下手なのは演技ではなくコミュニケーション 演技力より飾らない素顔を武器にすべき転換期?

 受けの演技、という言葉もあるが、相手がいてこそ進む演技の世界。でもコミュ障気味の本田さんにとっては、最も苦痛な時間ではないか。だから、ある程度パターンを決めて負担なくこなそうとしているように見えてしまう。

 ドラマを見ていると、棒読みというよりはリアクションを先に決めている印象だ。喜怒哀楽の違いはあれど、彼女の表情や口調のパターンはほぼ同じ。口を尖らせふてくされたり、半目でダルそうにしゃべる天才役とか、どこかマンガキャラっぽい役作りも目立つ。よく言われる、「目を細めて笑う顔がわざとらしい」というのも、彼女の中で「楽しい場面はこの表情」と、機械的に決めているのではないだろうか。そして批判が続くのは、そうした「こんなもんでいいでしょ」というやっつけ感がうっすら伝わってしまうからだと思う。

 演技力はともかく、コミュニケーション力はなさそうな本田さん。恋人と仲が深まるのは「自分の生活を理解してくれた時」だと語っていたこともある。自分のスタイルは変えず、一方的に相手に求めるのは傲慢に見えなくもない。とはいえ芸能人は、自己中心的でナンボ。それに令和はリアルさと個性の時代だ。欲望のまま本性をさらけ出せる人が富と人気を得ている。むしろ体育会系や陽キャへの当たりが強い昨今、コミュニケーション下手なインドア派という素顔を出し続ける方が、共感を集めるのではないか。

 好きでも得意でもないことを、無理にやっても結果は出ない。一番そうわかっているのは、彼女自身のように思う。批判を浴びながら辛そうに仕事をしていても、ファンは心配するばかりだ。事務所が気にするべきは主演作の数ではなく、彼女が輝く環境を見直すことなのだろう。取り急ぎ「ショムニ」で江角さんが言っていた、「周りが休んでいないからって無理するから体も心も壊れるんだよ」という言葉を伝えたい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部