高卒新人捕手史上3人目の開幕スタメンの松川に「刺激をもらった」

 運命の1日から一夜、20日のドラフト会議でDeNAから1位指名を受けた大阪桐蔭・松尾汐恩捕手が即戦力としての活躍を誓った。21日、三浦大輔監督や担当の安部建輝スカウトらから指名あいさつを受けると「こうして来てくださって、やっと実感がわいてきた」と本音も。高卒捕手は育成に時間がかかるといわれるが、三浦監督は「(即戦力としても)良ければどんどん使っていきます」と断言した。

 球団としては、1988年谷繁元信(現・野球評論家)を以来となる高卒捕手のドラフト1位。中学時代は遊撃がメーンで、どこでも守れるのが魅力だが、三浦監督も「まずは捕手として。正捕手を目指してもらいたい」と期待する。

 今季は、昨年のドラフト1位で市和歌山高からロッテに入団した松川虎生が大活躍を見せた。当時、松川の一本釣りに驚きの声もあがったが、高卒新人捕手として史上3人目の開幕スタメン、4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)では、佐々木朗希投手とバッテリーを組み、完全試合を成し遂げた。オールスターにもファン投票で選出されるなど、チームでは佐藤都志也に次ぐ2番目の76試合に出場した。

 指名後の会見では、松尾も「去年、松川さんが1位で指名されて。自分も1年目から出れるようになりたい」と憧れを口にする。直接の面識はないが、同じ関西の高卒ドラ1捕手が躍動する姿に「刺激をもらいました」と話す。

目標はトリプルスリー、三浦監督も「良ければどんどん使っていきます」

 三浦監督も「良ければどんどん使っていきます」と断言する。DeNAの捕手は、嶺井博希が93試合出場(捕手で90試合)がチーム最多。戸柱恭孝や伊藤光らを併用した。嶺井は今季、国内FA権を取得。松尾にとってチャンスかもしれない。

 もちろん、DeNAとしては“将来性”を見込んでのドラフト1位指名。一番の課題は、捕手としての経験値か。高校1年秋に捕手にコンバートされ、未だ2年。肩の強さやブロッキングに定評はあるが、プロの世界で通用するために必要なスキルはまだまだあるだろう。

 松尾が思い描いているのは、走攻守3拍子揃った選手。捕手初のトリプルスリーも目指す。打撃では牧秀悟内野手を参考にしていることを明かしたが目指している捕手はなく「新しいタイプの選手になりたい」と言い切る。

 育成プランや計画はこれからだが、三浦監督も「人の真似をすることよりも道を切り開いていく。目標になれる選手を目指してほしい」と“走れる捕手”育成に意欲を示す。いずれチームの正捕手に――ではなく、すぐにでもDeNAを引っ張る選手になるのではないか。周囲の想像を超えるような活躍も期待させてくれる18歳だ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)