リモートワークが普及し、直接コミュニケーションをとる機会が減っている中で好印象を残すコツとは(写真:yoshan/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

コロナ禍は社会や経済に大きな変化をもたらし、個人レベルでも、意識や行動の変容が求められることになりました。ニューノーマルとなったテレワーク在宅勤務、オンラインミーティングなど、非対面型ビジネスシーンや短時間のコミュニケーションで「感じのいい印象」を残すことは、今後より求められるビジネススキルのひとつに。では周りの人から「感じがいい」と思われる人は何が違うのでしょうか。拙書『「感じがいい人」の行動図鑑』から一部抜粋、再構成してお届けします。

「伝えること」の難しさ

コロナ禍を経て、人とのコミュニケーションの大切さがよりクローズアップされるようになってきました。特にビジネスシーンにおいては、ウェブ会議やメールなど、オンラインワークが日常化。そこで課題となっているのが、「伝えること」の難しさです。


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そもそも人は会話の中で、相手のちょっとした表情の違いや仕草、その場の雰囲気などから、気持ちまでもを読み取るものです。それがオンライン上の文字のやりとりや画面越しの会話になると、受け取る情報が極端に限られることで、対面であればさほど気にならないことにも妙に敏感になって、不安を駆り立てられてしまうことも。そんな中でも相手に良い印象を持ってもらうためにはいくつかのコツがあります。

例えばウェブ会議であれば、画面上に映る映像と音声の情報がすべてですから、まずは、環境を整えることです。ビジネスの場ということを考えれば、背景も動画など、エンタメ性の強いものは避け、無地のシンプルなもの、バーチャル背景であれば、オフィスや会議室といった、ビジネスにふさわしい背景を選び、本題に集中できるようにすることが大切です。

そして、ぜひ導入していただきたいのが、雑音の入りにくいダイナミックマイク。PCに内蔵されているマイクは、集音力が弱いため、音が聞き取りにくくて、相手にストレスを感じさせてしまうこともあるからです。またウェブカメラの位置に目線がくるよう画面位置を調整し、カメラに向かって話しかけると、画面越しでも相手の目線に合わせた会話ができます。

オンラインで心掛けること

画面上では、大げさなくらいの身ぶり、手ぶりといったオーバーアクションを心がけることも重要です。相手の話を聞く時は、相づちの代わりに、上半身を使って大きくうなずく、手の動きを加えるなど、対面では、逆に落ち着きがない人に思われそうな動きでも、オンラインではしっかり話を聞いてくれているという印象を与えられます。

さらに自分が話す際は、対面時以上に、「ゆっくり、はっきり」を意識すること。話していると、つい夢中になって早口になりがちですが、オンラインでは言葉が聞きづらいことがあるため、口をいつもより大きめに動かすこともポイントです。これにより顔の表情も豊かに見え、相手にも安心感を与えられます。画面を通すとどうしても無表情に見えがちで、人は怒っている顔よりも感情のない無表情に恐怖や圧力を感じますから、にこやか、かつ、表情豊かに話すことを意識することです。そうすることで、動きのある表情や動作が生まれ、ポジティブ=感じがいい印象を持ってもらえます。

ちなみに、ウェブ会議にマスクをつけたままで参加する場合もあると思いますが、もっとも表情を出しやすい口元がマスクで隠れてしまうと、さらに無表情を助長します。「目は口ほどにものを言う」というのは、対面であればこそ。マスク着用のウェブ会議では、さらに大きな動きを意識してください。ただし、できれば、表情と発言のわかりやすさを考えてマスクを外して参加するのがベター。そのために配信場所は、会議室などマスクオフでもOKな空間を確保しておくことです。いずれもちょっとした工夫ですが、こうしたことの積み重ねで、信頼度や説得力が格段に向上するのです。

非対面ツールで言えば、今やメールも欠かせないビジネスツールのひとつです。そのビジネスメールでもっとも大事なのは、相手に内容、用件がしっかり伝わること。忙しい時に、近況を長々と書き連ねたメールを読まされるのはつらいもの。長文がゆえに、用件が埋もれ、何が言いたいのかわからないメールになってしまうこともあります。

メールは簡潔でわかりやすく

そうした事態を防ぐためにも、冒頭で何をお願いしたいのか、どんな対応をしてほしいのか、目的をきちんと記述しておくこと。最初の数行で大体の内容を把握できるようにしておけば、相手の時間を無駄にすることもありません。最近は、スマホやスマートウォッチにメールを転送してチェックしている人も増えています。受信方法が人それぞれであることを考えても、なるべく短文で、簡潔なわかりやすいメールを心がけたいものです。

とはいえ、メールで対面時のようなニュアンスを伝えることは、ほぼ不可能。文字面の印象を相手がそのまま受け取るということですから、いつもより丁寧な言葉づかいを意識したいものです。また、どのようにでもとれる曖昧な表現は排除し、内容を具体的に提示すると、相手も対応しやすく、無用なトラブルを避けられます。


それでも相手に伝わっていないように感じる場合や早く解決したいという場合は、電話で確認するのも手。電話だと相手の時間を邪魔するのでは、と躊躇する方もいらっしゃると思いますが、文字ではうまく伝わらないことも、話せば案外簡単に済むこともあります。

コミュニケーションは、相手にどう思われるかより、自分の意思が相手にきちんと伝わることのほうが重要です。特にオンラインワークでは、お互いの意思疎通が図りにくいので、「伝えたつもり」にならず、相手にきちんと「伝わっているか」確認することも大切です。

「感じのいい人」と思われるためには、まず自分のことを大切にできる「自分にとっての感じのいい自分」になることです。自分を大切にできる人は、周りの人も大切にできて、相手に対して思いやりを持った言説や行動ができます。そうした意識を忘れずに、仕事も、人間関係もうまくいく、よりよいコミュニケーション術を身につけてください。

(大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事)