災害の多い日本…キャンピングカーの利用目的に変化も

 ここ数年で市場が拡大しているキャンピングカーですが、新型コロナウイルスなどの影響からさらに需要が高くなっています。
 
 車中泊やキャンプなどを快適におこなえることが人気の要因といえますが、最近では防災用として購入を検討する人が増えているようです。

アウトドアや車中泊だけじゃない! いざという災害時にも活躍するキャンピングカー需要のイマ!

 ここ数年の自然災害は増加傾向にあり、気象庁によると、2022年1月から2022年9月までの期間で震度5弱以降の大地震が12回も発生しています。

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 とくに2022年3月に起きたM7.4の福島県沖地震に至っては、住家全壊204棟の甚大な被害をもたらしました。

 また、ゲリラ豪雨も頻繁に発生しており、全国各地で河川の決壊や冠水が相次いでいます。

 このような背景からも防災意識が高まっており、キャンピングカーを車中泊の利用以外に「動く家」として購入する人も増えてきました。

 一般社団法人日本RV協会が2020年3月に実施した「キャンピングカーで防災を考える」のアンケート調査では、「防災のためにキャンピングカーを購入したいと考えたことがありますか」という問いに対して、約8割の人が「はい」と回答しています。

 また、同様のアンケート調査において「キャンピングカーは災害時に活躍すると思いますか」という質問に対して、なんと97.5%の人が「はい」と回答しています。

 では、実際に災害用としてキャンピングカーを購入した人は増加しているのでしょうか。

 軽キャンピングカーやミニバンキャンピングカーなど、災害に安心して過ごせるさまざまなキャンピングカーを制作しているショップの担当者は、以下のように話します。

「震災やゲリラ豪雨など、実際に大きな自然災害が発生した時期には、キャンピングカーを買い求める人がいらっしゃいます。

 2011年に発生した東日本大震災や、2016年に発生した熊本地震の被害に遭われた人のなかには、東北や九州地域に住んでいる人が、『避難所に行くのがいやだ』といった理由から、購入された人もいます」

 一方で、前述のアンケートによる「災害用キャンピングカーを持っているとして、被災地にそれを身内以外に貸し出すことができると思いますか」という質問には、「はい」と答えた人が36.8%、「いいえ」が28.0%、「わからない」が35.2%と、大きく回答が分かれています。

「家族や身内で使用したい」「他人が利用するのには抵抗がある」「スマホの充電程度なら良い」という人が多くいることからも、自治体でキャンピングカーを導入する例が増えています。

災害時に役立つ! キャンピングカーでできることとは

 では、災害時にキャンピングカーはどういった点で活躍するのでしょうか。

 まず災害時に考えなければならないのは、休息スペースの確保です。

 雨風をしのげることはもちろんのこと、就寝するスペースも必要になってくるでしょう。

 普通乗用車でも雨風はしのげますが、就寝となるとなかなか厳しいものがあります。

 その点、キャンピングカーは就寝スペースが確保されていることが多いので安心です。

 また、カーテンなどでプライバシーを確保することができるため、就寝以外の着替えなどでも効果を発揮します。

 避難所の生活ではプライバシーの確保が難しく、とくに女性はキャンピングカーの恩恵を受けることができるといえます。

 また赤ちゃんや小さい子供がいる家庭では、避難所で周りに迷惑をかけないような静かな生活は困難です。

 その点、キャンピングカーは避難生活のストレスを最小限にすることが可能です。

従来の使い方の延長で災害時にも使える存在として認知されつつあるキャンピングカー

 さらにキャンピングカーには、断熱材が使用されていることが多いため、真夏や真冬でも普通乗用車に比べて過ごしやすいでしょう。

 また電力の確保も重要です。とくにライフラインの要でもある携帯電話は、停電の際には充電の確保は必須です。

 前出の担当者によると「災害時に役立ったキャンパー装備には、『サブバッテリーや走行充電器』『エアヒーター』『グリル』などの電化製品が役に立ったという人が多いです」といい、やはり電気の需要が非常に高いといえます。

 キャンピングカーの多くはサブバッテリーを積んでいることが多く、災害時でも電気を利用することができます。

 さらに、キャンピングカーの広大なスペースは、食料や水の備蓄にも適しているほか、犬や猫などのペットは避難所に連れて行くことは難しいですが、キャンピングカーであれば大事なペットを置き去りにすることなく一緒に過ごすことができます。

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 キャンピングカーは、車中泊以外にも災害時の強い味方となる存在といえますが、新型コロナウイルスなどの影響により、納期が長くなっているのが実情です。