マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界

第九十ニ回 まるか食品「ペヤング 超大盛 伊勢崎焼うどん」

文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。

「ご当地カップ麺」の連載の第九十ニ回目となる今回は、「ペヤングやきそば」でおなじみまるか食品から発売された、「ペヤング 超大盛 伊勢崎焼うどん」をレビューしていきます。

群馬県伊勢崎市には「ペヤング」を製造販売する「まるか食品」の本社や工場があり、今回はその本拠地の名を冠した、いつもの「やきそば」ではない「焼うどん」です。

「伊勢崎焼うどん」とは何ぞや?

町おこしの一環として、ラーメンや蕎麦、うどんなどがご当地麺として全国的に売り出されている例は昔からよく見られますが、鉄板で調理する「焼そば」や「焼うどん」をご当地麺化する動きも全国的に多くなってきています。

ご当地グルメのイベント「B-1グランプリ」ですっかりおなじみになった「富士宮やきそば」(静岡県)をはじめ、「横手やきそば」(秋田県)、「太田焼そば」(群馬県)、「なみえ焼そば」(福島県)、「ひるぜん焼そば」(岡山県)などご当地の「焼そば」は枚挙に暇がありません。

また「焼うどん」も、「小倉焼うどん」(福岡県)や「津山ホルモンうどん」(岡山県)などがご当地麺として定着しています。

「伊勢崎焼うどん」もそんなご当地麺のひとつなのでしょうか。

筆者は「伊勢崎焼うどん」の存在を知らなかったので調べてみましたが、調べてみても一向にその存在が確認できません。

伊勢崎のご当地グルメと言えば、昔から有名な「焼きまんじゅう」とか、目下売り出し中の「伊勢崎もんじゃ」とかがあり、それらを提供する店はいくつも見つけられましたが、「伊勢崎焼うどん」は発見できませんでした。

そこでメーカーのサイトを見てみると、「ペヤングオリジナル(Made in伊勢崎)」と書かれています。どうやら「伊勢崎焼うどん」とはペヤングの本拠地伊勢崎で作った製品という意味合いのようで、それなら探しても見つかるわけありませんよね。

ただ、嘘から出た真ではないですが、群馬県でも指折りの有名企業であるまるか食品が仕掛けたカップ麺がきっかけになってご当地焼うどんが誕生する......なんてストーリーも将来的にはあるかも?

「ペヤング 超大盛 伊勢崎焼うどん」の内容物

別添袋は、ソース、かやく、紅生姜、花かつおパックの計4袋。

カップに入っているのは麺のみで、「超大盛」なので麺ブロックが2個。90グラム×2個の計180グラムという大ボリュームです。

かつお節はヤマキの「花かつおパック」が用いられています。

まさかのブランドかつお節なので、ヤマキは伊勢崎とか群馬となにか縁があるのかもと思いましたが、どうやらあまり関係はない模様。

単純にかつお節に力を入れるべくコストを割いてヤマキ製を使用するようです。

「ペヤング」らしい甘濃い醤油味のソース

一般的な焼うどんといえば、お好み焼きや焼そばの延長線上にあるソース味とかつお節や魚粉などを組み合わせたイメージが強いですが、今回はほのかにかつおだしが香る甘濃い醤油味。

「ペヤング」からは和風だしのソースを用いた焼そばや「蕎麦風」(蕎麦粉を用いていない蕎麦を模した麺のカップ焼そば)の商品がたびたび発売され、一貫してかつおだしを効かせた甘濃い醤油味となっており、ファンにはおなじみの味。

「伊勢崎焼うどん」をご当地麺化しようとするならば、もちろん「ペヤング」のいつものソース味も良いですが、それはいつか出てくるかもしれない「伊勢崎焼そば」に回し、「伊勢崎焼うどん」には今回の甘濃い醤油味こそ相応しいように思いますがどうでしょうか。

麺は太くて縮れのついた幅広の油揚げ麺。麺量2個分の大ボリュームで、大盛カップ麺でも少ないと感じている方にはちょうど良いサイズではないでしょうか。

「伊勢崎焼うどん」をご当地麺化するなら、千葉のご当地ラーメン「竹岡ラーメン」ではお店でも乾麺が用いられていたり、韓国料理店で供されるラーメンは思い切りインスタント麺だったりする例もあるので、「ペヤング」らしく敢えて油揚げ麺を湯戻ししてから炒めるのもひとつの手かもしれませんね。

大量のネギが特徴的!

「かやく」の袋には大量のネギとチャーシューチップが入っています。

いつもの「ペヤング」なら大量のキャベツとチューブから捻り出したような鶏挽肉なので、それとはまったく異なるこだわりぶり。

大量のネギは他の焼うどんではあまりない特徴となっており、「伊勢崎焼うどん」の大きな特徴になりそう。

キャベツではなくネギなのはソースが和風醤油味だからこそですよね。

甘濃い醤油味のソースや大量のネギで特徴を出す一方で、かつお節や紅生姜といった、一般的な焼うどんに寄せた具も使われています。

かつお節は、ヤマキの「花かつおパック」が用いられており、かつお節へのこだわりがうかがえます。

合わせるのは一般的なソース味ではなく醤油味ですが、かつお節が合わないわけがありませんよね。

紅生姜もカップ麺でよく見られる乾燥タイプではなく、しっかり生タイプ。力を入れています。

カップ麺だと、紅生姜は、焼そばか豚骨ラーメンと合わせられていることが多いので、醤油味との組み合わせは多少新鮮です。

甘濃い醤油味に紅生姜は牛丼チェーンでよく見られる組み合わせなので、実際に狙っているのかはわかりませんが、お店で供することになった時にはファストフード感を高めるかもしれませんね。

「伊勢崎焼うどん」のご当地麺化が楽しみ?

「伊勢崎焼うどん」は今のところ「ペヤング」オンリーの商品ですが、今後ご当地麺化されるとしたら、その原型となりうる特徴をしっかり感じ取れる商品でした。

甘濃い醤油味のソース、敢えての「油揚げ麺」、大量のネギにブランドかつお節、醤油味に合わせる紅生姜など、いずれ具現化するかもしれない真の「伊勢崎焼うどん」を楽しみにしたいと思います。