セルフガソリンスタンドで給油が途中で止まることもあるのはなぜ?

 セルフガソリンスタンドで給油をする際、タンクが満タンになると、給油ノズルが自動的に停止する「オートストップ機能」が働くようになっています。
 
 しかし、そのオートストップ機能がうまく作動しないクルマもあります。なぜ、そのようなことが起きるのでしょうか。

ガツン!と給油が止まるのはなぜ? その後の継ぎ足し給油は問題ない?

 近年のガソリンスタンドでは、スタッフが給油してくれるフルサービス店舗に比べ、ドライバーが自分で給油するセルフサービス店舗が増えてきました。

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 セルフガソリンスタンドで給油をする際、ガソリンタンクが満タンになると、ノズルが自動的に満タンを感知して給油を停止させるようになっています。

 この機能は「オートストップ機能」と呼ばれますが、ときには、まだ満タンになっていない場合にも、給油が中断されてしまうことがあります。

 その理由について、ガソリンスタンドのスタッフは以下のように説明します。

「給油ノズルには、ガソリン噴出口と別に空気を取り込む小さな穴が空いています。

 タンクがガソリンで満たされると、その穴がふさがり給油が止まる仕組みです。

 ただ、給油の勢いが強かったり、ガソリンタンクの形状などによっては、まだ満タンになっていない段階でその穴がふさがり、給油が止まってしまうことがあります」

 満タンを感知する穴は、「検知口」と呼ばれるもので、主にノズルの先端部分にみられます。

 ガソリンタンクが満タンになると、検知口がガソリンに浸かり、給油が止まる仕組みになっています。

 一方で、ガソリンは、比較的泡立ちやすい液体となっており、勢いよく給油した際に泡が発生して検知口を塞いでしまったり、ガソリンタンク内の空気を排出するために設けられたブリーザーパイプから空気と共に出てきたガソリンが、検知口を塞いでしまったりすることがあります。

 また、ブリーザーパイプのレイアウトやガソリンタンクの形状によっては、スムーズにガソリンが流れずに、パイプ内やタンク内でガソリンが跳ね返り、それが検知口を塞いでしまうこともあります。

 ブリーザーパイプのレイアウトやガソリンタンクの形状については、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の第18条において、「堅ろうで、振動、衝撃等により損傷を生じないように取り付けられていること」、「燃料配管の継手、弁等は排気管、消音器等高熱を発する装置に近接して設けられていないこと」と定められてます。

 一方で、オートストップ機能などを考慮したパイプレイアウトやタンク形状については言及されていないのが実情です。

 そのため、パイプレイアウトが複雑な車両やタンク形状が特殊なクルマでは、ガソリンが空気と共に出てきたり、スムーズにガソリンが流れずに跳ね返ったりしてしまうことによって、オートストップ機能が満タンのまえに作動してしまうようになっています。

 なお、前出のガソリンスタンドスタッフによると、オートストップ機能が満タンのまえに作動してしまうケースについて「ノズルの差し込む角度などが関係している場合もある」とのことです。

 パイプレイアウトやタンク形状が特殊ではないクルマでも、ノズルを差し込む角度などによって、ガソリンの跳ね返りなどが起きやすく、検知口が塞がりがちになってしまうことがあるようです。

給油が途中止まってしまった場合の対処法

 もし、給油が途中で止まってしまった場合には、もう一度ノズルを挿し直すか、ノズルを差し込む角度を調整することでスムーズに給油できる場合があります。

 まれにオートストップ機能が間違って作動しないように、ノズルをしっかり奥まで入れなかったり、トリガーを浅く握ったりする人もみられますが、ガソリンが溢れ出たり、正しくオートストップ機能が作動しなかったりする危険性があるため、これは避けたほうが良いといえます。

 そもそもオートストップ機能は安全に給油するために必要な機能です。

 前述したように、クルマによっては例外として、途中で給油が中断されてしまうケースもありますが、安全のために正しい方法で給油することが重要です。

 どうしてもうまく給油できない場合は、ガソリンタンクの形状によるものかもしれないため、ガソリンスタンドのスタッフに相談してみるのが良いかもしれません。

セルフスタンドでは、不慣れなユーザーによる「油種間違え」などのトラブルも多いという

 前出のガソリンスタンドスタッフも「無理に給油しようとすると、誤ってガソリンを溢れさせてしまうかもしれません。危険なので、困った際にはスタッフを呼ぶようにしてください」と注意喚起します。

 何度もノズルを差し替えると、クルマや給油機を傷つける要因にもなるかもしれません。また、オートストップ機能の誤作動による給油の中断だと思っても、実際には目視できないだけで、ガソリンタンクが満タンになっている可能性もあります。

 クルマによっては、給油直後にガソリンメーターが満タンを指さないこともあるようです。給油が途中で中断されても、焦らずにスタッフを呼び、まずは状況を把握することに努めるようにしましょう。

※ ※ ※

 なお、前出のガソリンスタンドスタッフは、「オートストップ機能が正常に作動したあと、ノズルを持ち上げてタンクのギリギリまで給油することも危険なので、やめるようにお願いします」と話します。

 ドライバーのなかには、オートストップ機能の作動後、あえてノズルを持ち上げ、検知口がガソリンに浸からないようにしたうえで、タンクのギリギリまで給油しようとする人もいるようです。

 ガソリンは非常に可燃性の高いものとなっており、ガソリンスタンドでは厳重に扱われています。

 ガソリンタンクからガソリンがあふれてしまうと、火災の危険もあるうえに、スタッフが後処理をしなくてはいけないため、オートストップ機能が正常に作動したら、それ以上は給油しないようにしましょう。