「新しいことに挑戦する人へ」とツイッターに動画を投稿したのは、イラストレーターのうのきさん(@UNOKINOKI)。26万以上のいいねを獲得する話題となっています。楽しいマンガやミニアニメを日々発信し、2022年9月現在でTwitterのフォロワー数は7万人以上と、人気のイラストレーターです。

【アニメ】ショートアニメ「新しいことに挑戦する人へ」を見る

動画には、2人の男の子が登場。

左の子の前には小さなハードル、右の子の前には大きなハードルが。右の子は左の子の前のハードルの小ささを笑いますが、左の子は気にすることなくそのハードルを飛び越えます。すると、目の前には新しい小さなハードルが…一つ一つ飛び越えていく少年。

右の子もハードルに挑戦しますが、高すぎて越えられず、諦めて眠ってしまいました。しばらくした後に、起きてみるとビックリ。

何と、左の子は、すでにいくつものハードルをクリアして、はるかに高いハードルを難なく飛び越えているではありませんか。

2人の子の対比を描いたうえで、こんなメッセージで動画は締められます。

「自分へのハードルは上げすぎないようにね。まずは自分が出来ることをコツコツとやろう。成功への近道は小さな成功の積み重ねでしかないからね。難しく考えずにまずは簡単なことからやってみよう」

アニメーションは、うのきさんの実体験をもとに制作

まさに、何かに挑戦しようとするすべての人にエールを与えてくれるような、素晴らしい内容ですね。動画のラストも「応援してます」という皆さんに向けてのメッセージで締めくくられています。

“この動画をいちばん伝えたい人”についておうかがいしたところ、うのきさんはこのように話してくれました。

「もしかしたら“あの頃の自分”に対して伝えたかったのかもしれません」

あの頃の自分――それは、漠然とした夢や希望を抱きながら、何も実現ができなかった若かりし頃の自分自身でした。この動画のアイデアは、うのきさんのそんな頃の体験から生まれたものだといいます。

うのきさんは、デザイン系の専門学校を卒業し、フリーターや印刷会社勤務を経ましたが、28歳の頃にやっぱり絵の道に行きたいと仕事を辞めたそうです。

「プロの漫画家になる!」と大きな夢を抱いていたものの、高すぎるハードルに挫折。半年間引きこもりのようになり、お金もなくなってしまいます。そんな時、町の小さな画材屋さんのコンペを見つけ、受けてみたところ入賞。賞品としてもらったのは、お金でも大きな名誉でもなく、普通の色鉛筆。しかし、うのきさんはそれでも、「めちゃくちゃ嬉しかった」といいます。

そんな小さな成功体験は自信につながり、次の挑戦に向かう原動力にもなりました。

「(当時の自分は)まさに動画の右側の人!俺はちまちま仕事してる奴らとは違う!一発当てて有名になってやる!ということしか考えてなかったですから。人生をなめてたんですよね」

すべてを失くして気づくことができた――そのように語るうのきさん。しかし、誰もがそんな若かりし頃を経験するものなのかもしれません。もしかしたら当時の自分と同じ境遇の人がいるかもしれない…と思ったことが、今回のアニメ制作のきっかけになったと、うのきさんは言います。

アニメに登場する2人の子は、両方ともうのきさん自身を反映したもの。右側は失敗する前、左側が失敗した後の自分なのだそうです。

共感や感動の声もあれば、別の切り口からの意見も

小さな成功がのちの大きな成功に結びつく――実体験をもとに得た成功に対する人生哲学を、広い世代に伝わりやすいよう、陸上のハードルを用いて描いたうのきさんのアニメ。

リプ欄にも、勇気をもらえたという喜びの声が多数寄せられました。

「感動しちゃいました!!」
「永久保存版だわ」
「いま、まさに新しいことに挑戦していて、挫けがちな気持ちがスッとしました」
「ちょっとの勇気と、行動力が一番大事」
「何事もチャレンジあるのみですね」
「まずは小さなことからでもやってみようと思いました!」
「子供に分かりやすいアニメーションなので娘にも見せたいな!」

このような感動の声が続出する一方で、このようなコメントもありました。

「ハードルが高いならくぐればいい」
「ハードルは倒して進んでもいいんだよね」

あえてハードルを越えなくても良い、という意見。確かに、越えられない課題に直面している人に対して、よく用いられるたとえかもしれません。

さらには、うのきさんの挑戦の仕方について、真っ向からやや厳しめな意見を言う人も。

「無謀に思えるハードルに挑戦する人の方が出世することも多い」
「左の子が、何度も何度も失敗して『こんなの飛べない!』とあきらめかけた時、右の子と同じ態度を取ってしまうのが、実際の世の中だと思います」

リプ欄には、賛否両論の意見が続出しました。

さまざまな方面からのコメントについて、うのきさんはどのように思ったのでしょう?

――「ハードルをくぐれば良い」というコメントもありましたね。

うのきさん:絶対にくるだろうなと思っていましたが、見事にたくさんきてました。

――予想済みだったんですね。これについてはどう思われますか?

うのきさん:これが言えるのは人生経験値が高いか、器用な考え方ができる人です。僕がアニメで伝えたかった人たちは、それができないから困ってるんです。僕がそうだったように。だからくぐるという表現は最初からしないでおこうと決めてました。

――なるほど。“くぐれない人もいる”という前提で作られたんですね。さらに、「ハードルは最初から上げていた方が良い」というような、うのきさんのやり方とは相反する意見もありました。

うのきさん:それは十人十色。それぞれ目標の立て方、歩み方が違うのは当たり前のことなので。「僕は違う考えなんです」という意見には、「うん、それでうまくいってるならそれでいいじゃん!」と思います(笑)。

――個々人に合ったやり方を選ぶべし、ということですね。しかし、指摘にもあったように、小さなハードルを越えるだけでは、大きなハードルに直面した時に諦めてしまうリスクも、確かにあるような気はします。そんな場合はどうしたらいいでしょうか?

うのきさん:僕の経験から言うと、小さな目標をただこなすだけなら大きなハードルに直面した時あたふたして終わります。過程が大事ですから。1つの課題に対して、どう向き合い、考え、答えを導き出したのか。答えをしっかり言語化できるようにする。この積み重ねをしていけば大丈夫です。

  ◇  ◇

課題に向き合い、少しずつ答えを積み上げてゆく――それがうのきさん流の挑戦の仕方。自分が身をもって体験したことだからこそ、その言葉には説得力があります。

さらにうのきさんは、いま何かに挑戦しようとしている人に向けて、このようにメッセージを送られました。

「とにかく目の前の小さなことから始めてみてください!僕と同じ絵の道に行こうと思っている方なら『使ったコピー用紙の裏に毎日落書きをする』だけでもいいと思うんです。毎日描くことで何か気づくことがあるはずなので。僕もまだまだ道半ば!全然偉そうに言える立場ではありませんが、挑戦する姿はどんなに不格好でも傷だらけでもかっこいいです!応援しております!」

そんなうのきさん。一時期は漫画の道で挫折したものの、現在は漫画家としても活躍されています。

9月29日には、単行本『まんがでぎゅぎゅっとまとめたかんたん日本の歴史 人物編』が発売されました。

歴史上の人物59人を紹介した、118ページのフルカラー漫画で、今年の1月からコツコツ描き進めてきたとのことです。

「自身初の歴史ものに挑戦!長い旅でした!もぅぜひ見て!買ってください!よろしくお願いします!」(うのきさん)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))