いい成績がとれなかったとき、単に「できなかった」で終わらせず、具体的にその理由を考えて分析することが大事です (写真:Taki/PIXTA)

勉強に対する漠然とした苦手意識を持ったまま、大学受験を迎えてしまう生徒は少なくありません。その結果、「何から手をつければいいかわからない」と感じる人も。しかし、「成績が上がらない理由はシンプル」だと筆者は指摘します。

医学生ユーチューバーでスタディサプリ中学講座の講師でもある、藤白りりさんの書籍『いつも気分よく集中できる「必要なことだけ」勉強法』から一部抜粋・再構成してお届けします。

「そもそも勉強が苦手」「勉強って難しい」など、漠然とした苦手意識を抱いている方もいらっしゃると思います。「何から手をつければいいかわからない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

成績がよくないとは「いい点数をとれない」ということですよね。では、いい点数をとれないのはなぜでしょうか?

それは実に単純ですが、解けない問題があるからです。出題された問題が「解けない・できない」ことの積み重ねが成績が上がらない理由です。

できない理由は、状況によっても人によっても違います。いい成績がとれなかったとき、単に「できなかった」で終わらせず、具体的にその理由を考えてみるのが大事です。

・出題された問題のタイプを見たことがなかった
・見たことはあるけど解き方がわからなかった
・見たことも解けたこともあるけど本番ではできなかった
・計算ミス、ど忘れなどのケアレスミスをした
・時間が足りなくて手をつけられなかった

など、さまざまな理由がありそうです。

また、その背景には「必要な問題集に手をつけていない」「問題集のレベルが合っていない」「復習ができていない」「記憶が定着していない」「本番に弱い」といった、何かしらの課題も必ずあります。

成績がいい人は“考えながら”勉強している

「わかっていたのに」「いつもはできるのに」などで終わらせてしまう人は多いです。前向きなのはいいことですが、現実逃避をしたり結果についてあまりに楽観的であったりするのはよくありません。

いい点数がとれないのは「できないところ」があるからです。

何が原因で成績がよくないのか?

できなかったことをできるようになるためにはどうすればいいのか?

そういったことを“考えながら” 勉強すれば、確実に成績は上がります。

勉強の基本は「解法」をストックすること

世の中には「学問として掘り下げる」「知的好奇心を満たす」など、ゴールのない勉強もあります。しかし、中高生にとっての勉強の目的は「定期テストや試験でいい点数をとる」「志望校に合格する」が主ですよね。

この手の勉強で一番大事なのは、「覚える」ことです。

たとえば、「質量パーセント濃度10%の食塩水を水180gで作るとき、何gの食塩が必要か」といった、食塩水の濃度の問題がありますよね。

この問題を解くには、まず、「質量パーセント濃度(%)=溶質の質量(g)÷溶液の質量(g)×100」という用語の基本ルールを知っておく必要があります。また、だからこそ「食塩」と「水」と「溶液」を区別し、「食塩= x」としてルールに当てはめて計算する必要もあります。

つまり、「質量パーセント濃度(%)」のルールと、「『食塩』と『水』と『溶液』を区別して考える」という解き方を覚える必要があるということです。

これは単なる丸暗記ではなく、「理解の先にある暗記」といえます。

今回例に出した溶液の分野では、ほかにも「モル濃度」や「質量モル濃度」という用語も出てきます。簡単な例でご紹介しましたが、どんな問題にも必ずルールがあり、それに則った解き方があります。まずルールを整理し、そのうえで「だからこのような解き方をするのか」と背景や理屈をしっかり理解し、解き方を納得して覚えてください。

誤解を恐れずに言うと、試験・受験勉強の基本とは、つまり「解法の暗記」なのです。

特にこの傾向が強いのが「数学」です。

一見難しそうな問題も実は解法をいくつか組み合わせれば解けることがほとんどです。しかし、たくさんの解法をしっかり頭にストック(暗記)していなければ、本番では解き方の糸口を掴むことすらできません。

「この問題がわからない」とは、つまり「この問題の解き方を覚えていない」ということ。こう考えると気持ちも少し楽になってきませんか。

数学は「こうきたらこう解く」をストックすべし

数学は、とにかくたくさん問題を解くことが大切です。ほかの教科に比べて単元や分野が細かく分かれており、それぞれに「この問題形式にはこの公式を使う」「こうきたらこう解く」といったパターンを理解して整理し、問題を見たときにパッと解法を頭に思い浮かべられるようになる必要があります。

ざっくり表現すれば「解法を覚える」ということになりますが、もちろん、「なぜこの解き方をするのか」の背景の部分をしっかり理解する必要があります。私がよく使っていた数研出版の『チャート式○○(分野名)』シリーズは要点が随所に書かれており、理解しておくべき大切なポイントを把握しやすかったです。

普段の演習でできなかったときに解説の覚えるべきポイントを書き出しておいて、試験でわからなくなったときは、ノートにメモしたポイントを記憶からすべて呼び起こし、どれか使えないか考えるとたいてい上手くいきました。万が一うまくいかなければそれはそれで、ほぼ捨て問だと割り切れるのでおすすめです。

数学が苦手な人によくあるのが、公式や定理への拒否反応です。高校数学の公式ともなると難解になってきますので、「意味不明」「何をしているのかわからなくて気持ちが悪い」「何をすればいいのかさっぱり」などの声もよく聞きます。公式をうまく使いこなせないがゆえに問題を解けず、苦手意識を抱いてしまう方も多いようです。

数学の公式や定理をどこまで理解するか・暗記するかは人によって方針が異なりますが、個人的には、特に数機Ν兇聾式や定理の由来までしっかり理解したほうがいいと考えています。

公式とは問題を解くための前段階の知識を集約してくれているもの。だからこそ、「何も考えずに暗記すれば済む」という考え方もありますが、よくわからないもの・理解できないものを使いたいと思えない方も多いはずですし、由来が問われる問題もありますよね。何より背景がわかっていないと「その公式は何を問われたときに使うのか」がわからないと思います。

苦手な公式があれば、これらがなぜ成り立ち、どういう問題に使われるのか整理してみてください。抵抗なく公式を使えるようになれば、問題を解くときにも違和感を抱かずに済みます。

そして演習を重ねて「問題が解けた・わかった」という経験が増えていくと、数学のおもしろさを体感できるようになるはずです。

公式や定理を真に理解すると暗記量が減る

実は、公式をしっかり理解すると暗記すべきものの量を減らすことができます。

たとえば、数II・Bの三角関数の「2倍角の公式」。「sin2θ=2sinθcosθ」「cos2θ=cos²θ−sin²θ=2cos²θ−1=1−2sin²θ」は、よく使うので暗記することが推奨されますが、私は覚えていませんでした。その前段階の加法定理を使えば導ける公式であり、加法定理さえしっかり理解できていればこちらの公式を暗記していなくても解けるからです。「積和の公式」も同様ですね。


数学はやたらとたくさん公式や定理があり、一見、大変そうに感じます。

しかし、特定のものから派生している公式や定理も実は多いです。丸暗記に抵抗がある方こそ、由来や成り立ちの部分からしっかり理解し、暗記量を減らしましょう。

また、解き方のパターンを暗記するときには、ただ暗記するのではなく、納得することも重要です。

たとえば「漸化式」の解き方は10パターンくらいありますが、「最終的にn+1とnの話にするためにこう式を変形するのか」というところを納得できれば、覚えるのも自然と楽になってきます。

(藤白 りり : 医学生YouTuber、スタディサプリ中学講座講師(理科))