新車は4000万円以上も、中古なら10分の1のベントレーはお買い得か?

 世界でもっともラグジュアリーなブランドのひとつであるベントレーですが、中古市場では新車価格の10分の1程度で販売されている個体も見られます。
 
 一見手の届きやすいように見えますが、車検にかかる費用や維持費は、実際にどの程度のものなのでしょうか。

当時の新車価格4000万円のベントレー「コンチネンタルR」 車検に100万円という噂は本当なのか?

 自動車におけるラグジュアリーブランドを挙げたとき、ベントレーはその筆頭格であることはいうまでもありません。

【写真】その美しさ…本物! 当時4000万円の憧れる「コンチネンタルR」の実車を見る!(19枚)

「ラグジュアリー」とは、日本語で「豪華や贅沢であるさま」を意味しています。

 しかしこれは、単に高額であることを指しているわけではなく、歴史的背景やクラフトマンシップあふれるつくり、圧倒的なパフォーマンスなどが重なり合ってこそ用いられるべきものです。

 その点において、ベントレーは間違いなくラグジュアリーブランドであり、1919年のブランド創設以来多くの人々を魅了し続けてきました。

 筆者もまた、ベントレーの魅力に取りつかれてしまった人間のひとりです。

 世界を代表する超高級車に惹かれてしまった筆者の前に「ピーコックブルー」のエクステリアカラーを持つ、1996年式の「コンチネンタルR」が現れたのは2014年の冬のことでした。

 コンチネンタルRは、1991年から2003年にかけて販売された4シータークーペです。

 2ドアのモデルでありながら全長5370mmという圧巻のボディを持ち、2.4トンを超える巨体は、心臓部に鎮座する、伝統の6.75リッターV型8気筒エンジンによって軽々と動き出します。

 新車価格は4000万円にもおよぶコンチネンタルRですが、中古車価格は意外にも「新車のクラウン程度」であり、個体によってはそれ以下で見つけることも可能です。

 つまり、年収は400万円程度そこそこ、貯金もろくにない20代半ばの会社員であった当時の筆者でも、頭金なしの96回払いのローンによって、なんとか購入することは可能だったというわけです。

 清水の舞台から飛び降りる気持ちでコンチネンタルRを手に入れた筆者ですが、そこに至るまでには非常に多くの人々からアドバイスをいただきました。

 その多くが「維持費が高い」や「車検や修理代がバカにならない」ことを理由に、購入を思いとどまるようにすすめるものでした。

 もちろん、常識的に考えればそのとおりなのですが、その一方で、こうしたアドバイスを下さる方のなかで、実際にベントレーの中古車を購入したという人は皆無でした。

 若気の至りかもしれませんが「本当のところは、手に入れなければわからない」と考えた筆者は、コンチネンタルRの購入に踏み切ります。

 そして、コンチネンタルRを手に入れてからまもなく8年が経過し、96回ローンも終わりが見えてきました。

 この間、筆者は月々4万8000円ほどの返済に加え、月額2万円の駐車場代、車両保険込みで月々1万円程度の任意保険料を毎月支払っています。

 駐車場は屋外にある平面式の一般的なもので、相場から見ても平均的な価格帯のものです。

 任意保険については、車両保険の引受が不可であるか、月額5万円近い保険料を要するものがほとんどでしたが、根気よく探した結果、あるインターネット専門の保険会社でリーズナブルな金額で契約することができました。

 自動車税については年額12万7600円となっており、自動車税額としては最高レベルです。

 ただ、これはもともと見込むことができていたものであるため、ある程度の覚悟はしていました。

 燃費は平均すると5km/Lほどで、排気量が大きく、トルクフルなエンジンであるため、街乗りでも高速道路でも燃費は大きく変わらないのはコンチネンタルRの特徴です。

 使用燃料はハイオクですが、おサイフ事情に影響を与えたのは、燃費性能や使用燃料よりもガソリンタンク容量です。

 108リットルのガソリンタンクが備わっているコンチネンタルRでは、満タン給油1回で1万5000円から2万円近い出費となるため、タイミングによっては痛い出費でした。

「車検は100万円以上」は本当?コンチネンタルRの維持費の実際のところとは

「100万円はかかる」といわれてきた車検については、実際には法定費用を含めて20万から30万円程度でおさまっています。

 エンジンオイルやバッテリー、タイヤ、各種ホース類などは汎用品が問題なく適合するため「純正」にこだわらなければそれほど高額にはなりません。

 ちなみに当時のベントレーの場合、コスト面においても機能面においても「純正」にこだわるメリットはほとんどありません。

 また、ウィンカーフードなどの専用部品については、インターネット販売を利用して英国の専門店から輸入。こちらも、一般的な輸入車の部品と同様のコストでした。

 筆者の場合、車検は大手の自動車用品店に依頼していますが、上述のような方法で部品交換をおこなえば「100万円」に達することはまずありません。

 もちろん、お金に糸目を付けずにあらゆる場所を整備すれば、いくらでもお金がかけられるのは事実です。

 コンチネンタルRは工芸品というべき趣のあるクルマであるため、11層にもおよぶ塗装が施されたエクステリアや、最高級のバーウォールナットとコノリーレザーでしつらえられたインテリアを徹底して修復すれば、100万円どころではない金額をかけることができるのは事実です。

 しかし、「必ず100万円はかかる」というわけではないということは、実際に手に入れてみなければわからなかったことだと思います。

 車検以外での整備費用については、ほとんどかかっていないといっても過言ではありません。

「ピーコックブルー」のエクステリアカラーを持つ1996年式のベントレー「コンチネンタルR」

 少なくとも「走る・曲がる・止まる」といったクルマの基本的な要素に関する重大なトラブルはなく、エアコンやオーディオなども好調です。

 ただ、当時のクルマに乗っている人なら想像がつくかもしれませんが、室内灯が付かなかったり、センサーの不調によってオイル量が正確に表示されなかったりという程度のマイナートラブルはそれなりにあります。

 そのため「このクルマ、壊れますか?」と聞かれたとき、相手が愛好家であれば「壊れません」と胸を張っていうことができます。

 しかし、そうでない人であれば「そこそこ調子が悪くなるときはありますが、走れなくなったりすることはありません」と答えるようにしています。

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 イベントでコンチネンタルRを展示すると、訪れた人から「興味はあるのですが、維持費が心配で…」という声をよくいただきます。

 インターネット上を見ると「ベントレーはとにかくお金がかかるらしい」や「ベントレーに乗るならお金のことは気にしてはならない」という記述を見つけることはできますが、具体的な情報はあまり見られません。

 少なくとも、一般的なクルマよりもお金をかけることができるクルマであることは間違いありません。また、税金や保険料はかなり高額であることも事実です。

 ただ、車検や整備費用については、じゅうぶんな知識と工夫によって相応の金額とすることは可能といえます。