店に設置してある備品。その場で使用する分には問題ありませんが、あるだけ持ち帰るという不届き者もいるようです。弁護士ドットコムには、美容院に勤務している女性から「お客様がお店の備品を持ち帰ってしまう」という相談が寄せられています。

女性によると、備品を持ち帰っていくのはいつも同じ客。帰り際、毎回バッグをトイレに持ち込み、生理用品などの備品を5個以上持ち帰って行きます。

何回かスタッフ総出で確認したところ、そのお客が入った後に備品が減っていました。

直接注意するのは気が引けたため、まずは注意喚起の貼り紙をしたものの、お客の備品持ち帰りは止まりません。女性は「変なことをして、逆に訴えられるのも怖い」とどう対応すべきか困っています。

備品も大量に持ち帰れば、窃盗に当たるのでしょうか。清水俊弁護士に聞きました。

●店側の意思が問題になる

結論としては窃盗罪に該当します。

窃盗とは、占有者の意思に反して物の占有を奪うことです。今回は、生理用品などの備品の持ち帰りについて、店側の意思が問題となります。

店側としては、店内のトイレで使用してもらう目的で生理用品等を備え置いており、持ち帰って家で使うこと、まして大量に持ち帰ることなどは許容していないと考えられます。

そうすると、その場で使う分を超えて大量に持ち帰る行為は店側の意思に反して物の占有を奪う行為ですので、窃盗罪に当たるというわけです。もちろん、持ち帰る際に店側に同意を得ていたのであれば問題ありませんが、今回のケースではそういう事情もないでしょう。

さらに、今回のお店では、注意喚起の貼り紙までしていたということです。具体的にどのような注意書きなのかはわかりませんが、「お一人様1個まで」とか「その場で使用する分のみ」などと備品使用の個数や目的が明確にされていたのであれば、なおさら貼り紙後の大量の持ち帰り行為が店側の意思に反した窃盗であると言えます。

【取材協力弁護士】
清水 俊(しみず・しゅん)弁護士
2010年12月に弁護士登録、以来、民事・家事・刑事・行政など幅広い分野で多くの事件を扱ってきました。「衣食住その基盤の労働を守る弁護士」を目指し、市民にとって身近な法曹であることを心がけています。個人の刑事専門ウェブサイトでも活動しています(https://www.shimizulaw-keijibengo.com/)。
事務所名:横浜合同法律事務所
事務所URL:http://www.yokogo.com/