現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、マッチングアプリで彼女を作ろうと試みるも、ことごとく撃沈している26歳男性。モテないのはお金のせい、と嘆くが…。三松先生が恋愛成就に絶対必要なことと、ラブラブが長続きする秘訣を教えてくれます!

達也(26)年中お金レス。モテないのはお金がないせいかよ

【レスなひとびと】vol. 178

26歳の達也は、有料マッチングアプリを始めて半年。すぐ彼女を作って退会してやる、と思っていたものの思う通りにいかない。

確かに、これといってアピールポイントがない。身長も学力もルックスも平均値、いや、平均よりちょっと下かも。だからこそ、マッチした女性とはうまくいくよう努力している。旬の店を予約してちゃんとおごっている。正直、デートのたびに1万円ほどの出費はきつい。

月の手取り20万円の達也には、月2回のデートがやっとだ。アプリの利用料だってバカにならない。サブスクシステムなんて誰が作ったんだ。くっそー、いくらお金を積めば彼女できる?

土曜日「二度目ましてデート」の杏子ちゃんに会う。

杏子ちゃんは、胸下で切り替えのチェックのワンピースを着てきた。大きな胸が強調されていて、かなりエロい。こんな服着てくるってことは、もしかして向こうもその気ありか。ドクンドクドクンと鼓動と共に熱味を帯びるアソコをなんとか肘で抑え込み、買っておいたプレゼントを渡す。

「初めましてデート」がいい感じだったから、もう一押しするための戦略プレゼント。

「杏子ちゃん、このまえ欲しいって言ってた、『ジョー マローン』の香水。お店で試してみたら、ほんとに杏子ちゃんのイメージにぴったりで。つけてほしいなって思って」

「えっありがとう! ほしかったんだけど、ちょっと高くてしぶってたから、すごくうれしい。大事に使うね」

めちゃくちゃ喜んでくれて、大成功。1万円投資してよかった…と思いきや。会話が進むなかでわかった。杏子ちゃんの誕生日は再来週だと。ど、どうしよう、これよりいいプレゼント、準備しないと。ミスった。

ついにきた、杏子ちゃんの誕生日デート。

でも、家賃がヤバすぎて、予約できたのは地元のチェーンの焼き鳥屋さん。ひとまず用意した2000円くらいの入浴剤セットを渡す。杏子ちゃんのワンピースは、この前よりさらにかわいいツイードのミニワンピ。髪型もフワッフワ。地元焼き鳥屋さんなんて似合わない都会系ファッション。

マジかわいい。でも「かわいい」なんて恥ずかしくて言えない。「こんな安いお店でごめん、家賃がギリギリで」も言いたい。でも、言ったらお金ないのがバレる。

帰り際、杏子ちゃんは言った。

「やっぱ達也くんにとって私、そんな大事な存在じゃないよね。無理して誕生日、一緒にいてくれてありがとね。じゃ、また」

あっさり改札に消えていった。しかも小走りで振り向きもせず。杏子ちゃんの背中が「時間無駄にしたわ。ムカつく」と言ってるように見えた。

ああ、杏子ちゃん。俺にお金がないせいで、引き止められなかった。撃沈。来月もアプリにお金を引き落とされる。

【三松さんからのコメント】

達也さん。「お金があればモテる」と勘違いしていますね。そりゃあ、ないよりはあったほうがいいけど。でも、お金がなくても彼女ができてるメンズもいっぱいいるでしょう。

大事なのはお金の使いかた。額じゃない。「あなたのことを気にかけていますよ」「大切に思っていますよ」という姿勢をどれだけ相手にアピれるかです。

金欠ウィークであれば、散歩デートでもいい。ブランケットを持ち歩き、ベンチで肌寒そうにしている彼女にそっと差し出す。自販機であったかいココアを買ってくる。ベンチに横並びで座って、盛り上がる話題を惜しみなく出してゆく。

女性がほっこりして、キャラキャラ笑ってくれれば勝算あり。財力以外にも、アピールできるってことに気づいて。

「体力あるから、会いたいって言ってくれたらすぐ走って行くよ」でもいいし。「筋トレしてるからお姫さま抱っこ10分できるよ」と言って、公園で王子様になってみてもいい。「料理得意だから、安い食材でフルコース作らせて」だったり。「整体士になりたいくらいだから肩こりの女性には、1時間無料で肩揉みするよ」でもいい。

そして、何より大事なのは言葉がけ! 達也さんのデート内容だったとしても、ハートフルな言葉さえあれば結果は変わっていたかもしれない。

「かわいいね。その服似合ってる」の一言はもちろん、「杏子ちゃんを喜ばせたくって、無理して香水買って昼飯抜きで1週間過ごした。体脂肪減ってラッキー」とか笑かす。

「今日、焼き鳥屋さんになった理由を暴露するね」と物語を作るのも面白い。

素直に明るくぶっちゃける。そんな男性が好きな女性はたくさんいます。逆におごってくれるかもしれないよ。稼ぎが少ないことは、いずればれる。最初無理すると、嘘で固めた関係になり、破綻しやすいのです。

そうそう、私の知り合い男子は、都心から電車で1時間エリアに住んでいるのに「白金在住港区男子」と最初のデートで嘘ついてしまい、無理無理の冷や汗展開になってあえなく撃沈。

変なプライドを持たず「真実の俺」を知ってもらおう。「喜ばせたい気持ちはずっとある。だって好きだから」と直球投げるほうが潔くて高感度アップ。

「お金レス男子は結婚対象外と思う女性はもちろんいる。でもね、今はショボいけど、彼が頭角現して稼げる男になるよう成長させてみせるというアゲマン志向女子のほうが、結婚してからはラブが持続する傾向あり」

三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。

©DjelicS/Gettyimages©The Good Brigade/Gettyimages

文・三松真由美