葬儀委員長の岸田首相(写真・JMPA)

 安倍晋三元首相の国葬で、菅義偉前首相が述べた「追悼の辞」に感動したとの声が集まっている。

「菅前首相は、銀座の焼き鳥店で、安倍元首相に2度めの自民党総裁選出馬を促したところ、3時間後にようやく首を縦に振ってくれたことを『生涯最大の達成』だと述べました。昭恵夫人はこの追悼の言葉に涙を見せ、SNSでも絶賛するツイートが続々と投稿されました」(社会部記者)

 国葬のハイライトとして注目を集めた菅前首相に対し、官僚的だと批判されたのが岸田文雄首相の弔辞だ。SNSには以下のような投稿があった。

《岸田さんの弔辞が全然耳に入ってこなくて中継見続けるか悩んでたけど、菅前総理の弔辞で思わず泣いてしまった…》

《酷評されてる岸田首相の弔辞と絶賛されてる菅元首相の弔辞を比べると、岸田さんは事実ベース、菅さんは主観ベースの話が多いんですよね。で、人の心を動かすのは、実は主観の話》

《菅さんの弔辞には心があった。何度も「安倍総理」と呼ぶのも印象深かった。自民党は岸田を早く総理の座から引きずり降ろして、菅総理を再登板させれば支持率も上がるだろう》

 国葬実行委員会の関係者がこう話す。

「菅前首相に主役を持っていかれる格好になった岸田首相は、かなり落ち込んでいます。菅元首相のエピソードがあそこまで感動的なものだったとは知らなかったのでしょう。『完敗だ』と感じているようです。

 実際は、菅前首相は『友人代表』という立場でしたが、岸田首相は『内閣総理大臣』という立場でしたから、あまり私的なエピソードを盛り込むことができなかったのです。

 とはいえ、岸田首相の落胆ぶりはかなりのもので、関係者の間では『支持率より落ち込んでいる』と冗談めかして話しているほどです」

 一方、今回の “名弔辞” で、「次の首相は菅氏に」という声も高まっている。

「焼き鳥店のエピソードは政治部記者には有名でしたが、あの場で披露するとは菅前総理はさすがです。第2期安倍政権を誕生させたのは自分だと、手柄を完全に手中に収めました。

 安倍前元首相の周辺の議員はみんな歯ぎしりしています。『自分だって説得した』と、安倍元総理と会食した記録を漁っている人もいるほどです(笑)。しかし、菅前首相の弔辞は、ちょっと盛っていますね。

 本当は、安倍元首相と菅前首相が会食した時期には、すでに “安倍待望論” が出ていました。安倍元首相は出馬に乗り気で、3時間も固辞していないでしょうし、菅前総理は『背中を押した』くらいでしょう(笑)」(前出・国葬実行委員会の関係者)

 さまざまな思惑が渦巻いた国葬は終わり、新しいレースはすでに始まっている――。