クルマのホーンはなぜさまざまな音色があるのか

 自車の存在を音で周囲に知らせる役割があるホーンは、クルマにとって必要不可欠な部品です。
 
 そんなホーンの音色は、モデルによって異なる場合があるようです。

クルマのホーンはなぜ音色が異なる? メーカーの人に聞いてみた

 街中をクルマで走行中、まれに「ブー!」や「プー!」など、ホーンの音を耳にすることがあります。

【画像】パァーン!と鳴らせるのはどんな時? 「どこ」を押せば鳴るの? 画像で確認!(14枚)

 ホーンは、通称「クラクション」とも呼ばれ車検項目では「警音器」などと表記される、自車の存在を音で周囲に知らせるなど、クルマにとって必要不可欠なパーツです。

 おもに「平型」と「渦巻き型」の2種類に大別され、基本的に渦巻き型のほうが高価となっています。

 国産車のほとんどは平型を採用しており、そのメリットには、コンパクトな形状で取り付け場所を選ばないことと、比較的生産コストが安いことなどが挙げられます。

 一方の渦巻き型は、欧州車に採用されていることが多く、ホルンのような形状から音を共鳴させることにより、重圧感のある音色を出すことができます。

 そんなホーンですが、モデルによって音色が異なって聞こえることがあります。

 ホーンを製造する国内メーカーの担当者は、音色について次のように話します。

「ホーンの種類によって、中音や低音といった音色の組み合わせなどが異なり、違う音色が鳴るようになっています。

 音色の違いは、メーカー側がユーザーのニーズに合わせてあえて異なるように制作しているケースもあります。

 例えば、当社ではフェラーリのような高級感のある、音色に余韻がつくようなタイプも開発しています。

 なお価格は、高級なものは1万円ほど、安価なものは2000円とほどと、幅広く展開しており、高級なホーンと安価なホーンでは、やはり音色が異なります」

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 ユーザーのなかには、ホーンの音色が気に入らず社外品に切り替える人もいるようですが、重要保安部品なのでどんなものでも取り付けできるというわけではありません。

 道路運送車両法保安基準第43条ではホーンの音量が決まっており、前方7メートルの位置で112db以下87db以上であることとされ、音色が連続して鳴るうえに、音量や音色が一定であることとされています。

ホーンをむやみに使用するのはNG!

 そんなホーンですが、ドライバーによっては、進路を譲ってもらったときに「ありがとう」の合図で使用したり、信号待ちで前のクルマが進まず、注意を促すために鳴らしたりと、使用場面が異なるのが実情です。

 しかし、道路交通法第54条「警音器の使用等」では「法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない」とされており、以下のふたつの場合でのみ、鳴らすことができるとされています。

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 ・左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき

 ・山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき

昔と今では音域が違う? どのような変化があるのでしょうか?

 ただ、このほかにも例外ケースとして、「危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」とされており、交通に危険が生じそうな場合は、ドライバーの判断で使用しても良いものとなっています。

 そのため、前述したような、進路を譲ってもらったときに「ありがとう」の合図で使用したり、信号待ちで前のクルマが進まず、注意を促すために鳴らしたりという行為は道路交通法に抵触する恐れがあります。
 
 実際には、こうした場合で慣例的に使用しているドライバーも多く、その場で即取り締まりにはならないようですが、むやみにホーンを使用することはしないようにしましょう。

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 ちなみに、運転中にホーンが鳴らない状態だと道路交通法第62条「整備不良車両の運転禁止」に抵触する可能性があります。

 なかには、「ホーンを使用したことがない」という人もいるかもしれませんが、ホーンは自車や周囲のクルマの交通の危険を防ぐ重要な役割を持っています。