メルクバイオファーマ株式会社は妊活や不妊治療中の人々を支援・応援する「YELLOW SPHERE PROJECT」の一環として、YSPオンライン・シンポジウム「“ファミリーフレンドリーな社会”の経済学」を2022年9月7日に開催(※YouTubeで同時配信)。

【写真】YSPオンライン・シンポジウム「“ファミリーフレンドリーな社会”の経済学」に川崎希が出席。ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンにおいて日本を代表するリーディングカンパニー5社も集結

イベントには妊活経験者&ママタレントの川崎希が登壇し、不妊治療時の体験談などを語った。

■不妊治療を経た川崎希が考える少子化問題

イベント第1部には、3年以上に及ぶ不妊治療の末、2人の子供を体外受精で授かった川崎と、ベストセラー経済学者である東京大学の山口慎太郎教授が登壇。第2部では「YELLOW SPHERE PROJECT」シンポジウムの賛同企業で、多様な働き方の実現を目指すダイバーシティ&インクルージョンの先進企業5社が集結し、“一人ひとりができること”について考え、ファミリーフレンドリーな社会構築の推進に向け、意見交換を行った。

第1部では、ファミリーフレンドリーな社会構築が次世代のよりよい生活につながることを、経済学の視点で討論。まずは現在、日本では「合計特殊出生率」(女性が生涯に産む子供の平均数)が「1.30」であることや、出生数が2022年に80万人を割る可能性があること、また、「自国が子供を生み育てやすい国だと思うか」と問うアンケートで38.3%しか「そう思う」と回答しなかったこと(欧米で70〜90%台)などについて、データが掲示された。

この調査結果を確認した川崎は、「ヨーロッパに比べて日本は子供を育てにくいように思いました。少子化が進むと子供たちが将来、高齢者を支えるとか、そういう面でも大変になりそうで心配です」とコメント。

一方の山口教授は、少子化や人口減少は、経済規模の縮小や税収減少を引き起こし、社会保障制度の維持やGDPに影響を及ぼすことをデータを交えて解説。「少子化や人口減少になると、労働力人口が減少するし、年金額も減ってしまうかもしれない。この問題に無縁である人はこの社会にいないと言える。社会全体で取り組んでいかなくてはならない問題です」と説明した。これに川崎も「少子化と言うと子供がいる世代の問題かなと思ったりするけれど、ほかの世代にも関わることだと知って、より深刻に取り組んでいかないといけない問題だと思いました」と、納得の表情を浮かべていた。

イベントではさらに、「不妊治療」が今年4月から保険適用になったことで“患者の経済的な負担が軽減される可能性がある”ということを取り上げた。山口教授は、不妊治療を希望する社員が働き続けやすい職場を作ることは、労働力が確保できるだけでなく社員の安心感やモチベーションの向上など、「企業にとってもメリットがある」と指摘。社員の事情に応じてサポートする姿勢を示すことの意義を説いた。

企業による不妊治療支援のベネフィットを学んだ川崎は、自身の不妊治療体験を振り返り、「治療中は結構スケジュールが組みにくいというのがあって」と発言。「自分の周期もあるのでスケジュールがずらせないのですが、そこに仕事がかぶると治療に行きづらくなる。仕事の日程を調整できるのなら、治療に行きやすくなりますし、長く勤めることもできて、社員個人と企業の両方にとってメリットがあると思いました」と話し、“堂々と治療について話し合える環境”ができていくことに期待を寄せていた。

なお第2部では、「企業間および社会全体でのコラボレーション」の必要性について訴求。「YELLOW SPHERE PROJECT」シンポジウムの賛同企業として、オムロン、セイコーエプソン、ソニーピープルソリューションズ、日本航空、パナソニック コネクトの担当者が登場し、各社の取り組みや制度、企業としての思いを紹介し、メルクバイオファーマのアレキサンダー・デ・モラルト代表取締役社長、川崎と共に討議を展開。「企業間および社会全体でのコラボレーション」の必要性を訴求した。

不妊治療をサポートするため、「休職制度」「給付金制度」「フレックス・タイム制」「在宅勤務制度」を実施したオムロンでは、「不妊治療を続けながら働く社員が増加した」ことを報告。同社の丹羽氏は「これらの制度は育児中の社員にも活用されており、出産前から後まで継続的な支援が可能になった」とコメントした。

ジェンダーギャップの解消に向け、女性・男性両方への意識改革に取り組んでいるというセイコーエプソンでは、男女とも平等に育児に関わり仕事との両立ができるよう、「育休意向登録活動」や「両親学級セミナー」を実施。男性育休取得について2022年度目標を100%と設定している。

グループ全体でダイバーシティを推進しているソニーピープルソリューションズでは、2020年よりライフイベントと仕事の調和をはかる両立支援制度「Symphony Plan」を導入し、人生のさまざまな局面で自分らしくキャリアを継続できるよう支援。従前の育児や介護に加え、不妊治療やがんの治療など、個に寄り添う施策を用意し、継続的な支援を行っているという。

「全社員の物心両面の幸福を追求し、社会の進歩発展へ貢献する」という企業理念を掲げる日本航空では、不妊治療休職や産後パパ育休をはじめ、社員の幸せにつながるライフイベント支援策に注力。他企業との連携による施策の拡充を図り、「Femtechプログラム」を実証導入したり、女性の健康課題に関する職場の理解促進を図るべく、女性医師によるセミナーを開催したりしている。

そして、企業を存続させるための経営戦略の一つとしてDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進しているパナソニック コネクトでは、ファミリーフレンドリーな取り組みとして、妊活を行う社員の選択肢の1つになるよう「チャイルドプラン休業」(不妊治療のための休業)を導入。10月からは、性別を問わず出生時育休または育休のうち30日間を有給化するなど、制度の拡充も進めている。

また同社は、生理休暇の取得促進のため、この休暇制度の“新たな名称”を社員に向けて募集している。この施策について聞いた川崎は、「生理休暇という言い出しづらいような名前のところを変更しようという気持ちはありがたい。その名前を社員から募集して“みんなで決める”というのも、『会社全体で作っていこう』という感じがして素晴らしいなと思いました」と話していた。