○ ソフトバンク 2 − 1 ロッテ ●

<24回戦・PayPayドーム>

 5位・ロッテはソフトバンクに1−2で敗れ、敵地での4連戦に1勝3敗と負け越し。今季の成績が67勝71敗1分となり、残り4試合全勝すれば勝率5割に届くが、貯金生活の可能性はなくなった。

 22日のオリックス戦に山口航輝が1試合に3本塁打を放つなど、18安打13得点を奪い大勝し、敵地・PayPayドームに乗り込んだソフトバンクとの4連戦の初戦は2−1の7回にソフトバンクの4番・柳田悠岐に逆転2ランを浴びるも、9回に中村奨吾の本塁打で同点に追いつき、延長10回に郄部瑛斗の2点適時三塁打などで3点を挙げ、ロッテが延長戦の末6−3で勝利。

 22日のオリックス戦、23日のソフトバンク戦の試合を見れば、シーズン最終盤で勝負強さを見せるかと思われたが、24日は先発・二木康太が初回に三森大貴に初球先頭打者本塁打を食らえば、打線も先発・板東湧梧を捉えることができず、0−6で敗戦。これでリーグ優勝の可能性が完全に消滅し、わずかに残されたCS進出を目指し勝利を積み重ねたかったが、25日の試合が0−10で2試合連続完封負け、26日も接戦をモノにできず1−2で敗れた。

 26日の試合はソフトバンクが見せた攻撃を本来はロッテがやらなければいけなかった。特に5回の攻撃がそうだ。先頭の三森大貴が死球で出塁し、先発・佐々木朗希を足で揺さぶり二盗、三盗を決め、一死三塁から牧原大成が空振り三振に倒れると、捕手・松川虎生が弾いた隙に三塁走者の三森が先制のホームを踏んだ。相手の隙を突き、そして足を使ってノーヒットで奪った得点。本来、ロッテが得意とする攻撃だ。

 今季も5月13日のオリックス戦で、2−1の8回先頭の郄部が四球と盗塁、中村の遊ゴロで郄部が三塁に進むと、佐藤都志也のスクイズが決まり“無安打”で得点している。この日は先頭打者が出塁したのは、3回に茶谷健太がレフト前に安打を放った1度だけ。試合前まで2試合連続無得点だったことを考えれば、イニングの先頭打者が出塁し、盗塁を決め、送って、内野ゴロで1点といった“無安打”でも1点を取りにいく執念がみたかった。

 ロッテは0−1の6回に井上晴哉の適時打で同点に追いつき、試合中盤から終盤にかけて両チームともブルペン勝負になった。ソフトバンクは6回途中からマウンドにあがった泉圭輔が井上に適時打を打たれたが、松本裕樹、藤井皓哉は無失点に抑える。ロッテも6回まで1失点に抑えた佐々木朗希のあとを受けて登板した2番手・西野勇士が7回の1イニングをゼロで切り抜けた。

 しかし、1−1の8回に登板した東條大樹が今宮健太に勝ち越しの適時打を浴び、9回はモイネロの前に打線は三者凡退に抑えられゲームセット。ロッテも全くチャンスがなかったわけではなかった。7回、松本に対し2アウトから郄部の四球、角中の安打で一、二塁としたが、中村が3球三振。同点に追いついた6回も一死一、二塁と一気に勝ち越すチャンスがあったなかで、後一本が出なかった。

 結果的に勝負所での1本が出たソフトバンクと1本が出なかったロッテ、勝負所でリリーフ陣がなんとか踏ん張ったソフトバンクと踏ん張りきれなかったロッテの明暗がわかれた。もちろん143試合戦っていれば、その逆の試合もある。8月29日のソフトバンク戦は1点勝負の試合をロッテが3−2でモノにした。ただ今季のロッテに関していえば、先発が踏ん張り、打線が追いつくも勝ち越しまでいかず、踏ん張っていたリリーフ陣が試合終盤に打たれ敗れるという試合が多い。

 井口監督が就任してからは投手陣に球数を投げさせ、犠打や右打ちで走者を進め、さらには1本の安打で“1つ先の塁”を狙った走塁などで得点し、投手陣がそのリードを守りきる野球で2年連続Aクラスとなった。本塁打で得点する華やかさはないが、緻密な攻撃で1点を奪い、投手陣を中心にしたディフェンス力を武器に勝利を積み重ねるこれまでになかった嫌らしい野球ができるようになった。それだけに、今季は投打ともに物足りなさを感じる。残り4試合、勝利への執念、貪欲に勝ちにこだわる姿勢を見せて欲しい。

文=岩下雄太