「とても優しくて料理も好きで、私の意見をいつも尊重してくれる」。そんなステキな年下彼氏だが......。年収を聞くと、自分と同じ300万円。本音は、ショック?! 「結婚して子どもなんてとうてい無理、別の相手を探すべき?」......。

こんな投稿が炎上気味だ。「合計600万円なら何とかなる」「自分の年収を棚にあげる打算的なあなたに彼氏さんがお気の毒」「別れてあげて」というご意見から、「結婚は生活。早く別れて婚活を」と現実的(?)アドバイスも。

結婚は「愛かお金か」。根源的な問いを専門家にぶつけた。

「投稿者は打算的ではない。一途に彼氏を思っている」

<年下彼氏の年収、自分と同じ300万円と知りショック! 人柄とてもいいけど、結婚ムリ? 女性の投稿が炎上...結婚は「愛か?お金か?」...専門家に聞いた(1)>および<年下彼氏の年収、自分と同じ300万円と知りショック! 人柄とてもいいけど、結婚ムリ? 女性の投稿が炎上...結婚は「愛か?お金か?」...専門家に聞いた(2)>の続きです。

――また、彼氏の人柄の良さを絶賛する声が多くあります。貯金が200万円あり、真面目に結婚を考えていること。穏やかな性格で一緒にいて落ち着くこと。料理が得意なこと。投稿者の意見を尊重してくれること。年収を気にするなら婚活すればよいが、婚活の場ではこれほど素晴らしい人には巡り合えないだろう、という意見が大半です。

川上敬太郎さん「交際して5年とのことですが、20代半ばの彼氏が4年制大学卒だったとすると、学生時代からお付き合いしていたのかもしれません。仮に、彼氏が25歳であれば、大卒3年目の年齢。それで年収300万円の中から200万円も貯めているということになると、堅実な方のようにお見受けします。人の出会いはご縁ですので、今後、こんなに素晴らしい人には巡り合えないかどうかはわかりませんが、投稿されているさまざまな情報から察するに、投稿者さんの彼氏はとても素敵な人だと感じます」

「投稿者は打算的ではない。一途に彼氏を思っている」

――彼氏を応援するあまり、「あなたのような打算的な人と結婚したら、彼氏さんがお気の毒。別れてあげて」「もう川に放流して自由にさせてください」という意見もみられました。

川上さん「そうでしょうか。もし投稿者さんが本当に打算的な人ならば、彼氏と5年もお付き合いする間に、とっくに年収を確認していたのではないでしょうか。そもそも年収を確認してからお付き合いしているかもしれません。結婚を意識するようになって、投稿者さんが彼氏を見るポイントに変化があったのだとは思います。しかし、そのことで投稿者さんを打算的だと表現してしまうのは、適切ではないように感じます。むしろ、これまで年収などに無頓着だったような印象を受けますので、それはそれで、投稿者さんの人柄の良さでもあります。もし、投稿者さんが本当に計算高い人なら、自分の給料を全部母親に渡してお小遣いだけもらったり、自分の貯金額も知らなかったりすることはあり得ないと思いますから」

「家庭を運営する共同経営者として、話し合うことが大切」

――なるほど。そういう見方をする回答者はほとんどいなかったですね。ごく少数ですが、「結婚は生活だ」「料理が得意でも食材を買うお金がなければ...」「私ならもっと高収入の相手を探す」と投稿者に共感する意見もありました。

川上さん「極端な例にはなりますが、人里を離れて自給自足の生活に徹すればお金がなくても生活することは可能です。逆に、プライベートジェットに乗って世界各国を自由に行き来するような生活をしたいのであれば、並大抵の稼ぎでは実現不可です。お金は望ましい生活を営むための手段ですから、考える順番としては、まず結婚後にどんな生活がしたいのかをイメージしたうえで、結婚を意識している相手とそれが実現できるかどうかを検証する......という順序になるのではないでしょうか」

――そのとおりですね。投稿者に対して、自分のほうが年上なのに「自分と同じ年収なんてショック」という言葉はブーメランとして返ってくる。自分のことを棚に上げ、男性のほうが収入は上でないと、という考え方は、賃金の男女差別容認につながるのではという批判も寄せられています。

川上さん「その考え方にも、異論があります。年功賃金の観点からすれば、むしろ年上である投稿者さんのほうが年収は高くなると思います。一方、結婚したら男性が稼いで女性を食べさせるものだ、という考え方からすれば、年収300万円で子ども共々家族を養えるのか、という見方になるのだと思います。ただ、いずれも過去の価値観に囚われた見方だと感じます。年収額においても、家事や育児においても、夫婦対等な立場からどのように家庭を運営していくのがベストなのかを共同経営者として話し合うことが大切なのだと思います」

「お金か愛か」という問いは、どちらも大切だから

――「お金か愛か」という結婚に対する根源的な問いかけも多く寄せられました。「私はお金を選んだ。豊かな生活を手に入れたが、夫ともう一度結婚したいとは思わない」といった生々しい体験談や、「結婚とは好きな人と苦労することだ」という意見も寄せられました。「お金か愛か」という「究極の選択」を迫られたら、川上さんならどちらを選びますか?

川上さん「回答者さんたちからのアドバイスは、いずれも実体験にもとづいたものだけに重みがあります。それぞれに含蓄がありますが、人それぞれ置かれている状況も考え方も異なるだけに、どなたかのアドバイスだけが正解だと言えるものではないはずです。『お金か愛か』という選択については、どちらも大切だからこそ問いが生まれるのです。『愛がなくてもお金さえあれば』とか『愛があればお金なんてなくても』とか、感じ方や考え方は人それぞれです。当然、選択も人それぞれだと思いますが、どちらを選んだとしても、結局は幸せになれるかどうかという結果次第なのではないでしょうか。そう考えると少なくとも私個人は、お金がいくらあったとしても、愛がゼロの状態では幸せを感じることはできません」

「彼氏だって、お金持ちにはなったら人格が変わるかも」

――川上さんならズバリ、投稿者した女性にどうアドバイスをしますか? もし、彼氏と結婚するという選択をした場合、今後の結婚生活ではどうしたことを心掛けないといけないでしょうか? また、彼氏にもアドバイスがありますか?

川上さん「まず踏まえておくべきことは、誰にも未来は予測できないということです。仮に、彼氏の年収が1000万円だったとしても、勤め先が倒産して無一文になる可能性だってあります。逆に、いま年収が300万円だったとしても、コツコツと資金を溜めて一念発起し、起業して大企業の創業者になる可能性だってあります。ところが、彼氏が大企業の創業者になったとして、お金持ちにはなったものの、人格が変わってしまって人として尊敬できなくなる、なんてこともあるかもしれません。あるいは、2人の間に子どもが産まれ、そのお子さんがあまりにも可愛いので、投稿者さんの愛情がお子さんに集中し、彼氏のことを放ったらかしにすることだってありえます。それら、いま時点では予測できない未来を受け入れる、踏ん切りをつけられるかどうか。それが投稿者さんにとっても、彼氏にとっても、結婚するかしないか決断するカギになるのではないかと思います」

人生は「予測不能エンターテインメント」

――なるほど。現在放映中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のキャッチフレーズ「予測不能エンターテインメント」さながら、とくに若い世代にとって未来は「予測不能」の可能性に満ちていると言えるでしょうね。

川上さん「そのとおりです。繰り返しになりますけれど、投稿者さんを打算的と見る人もいるようですが、私はそうは思いません。むしろ5年もの間、彼氏の人となりの魅力を見続けてきた一途な方のようにお見受けします。ただ、いざ結婚を意識した時に初めて経済的なことを考えたり、その際にネットで見ただけの数値を基準にしたりと、ところどころに幼さを感じます。結婚後のお金が気になるのであれば、まずは想定される出費を洗い出してみて、具体的にいくら必要になりそうかを算出してみてはいかがでしょうか。また、彼氏もまだ20代半ばで、決して人生経験が豊富と言えるほどの年齢ではありません。投稿者さんも彼氏も、共に成長していこうと思えるのであれば、早いタイミングで結婚して一緒に人生経験を積んでいくという選択もあってよいと思います。もし、今その踏ん切りがつかないようであれば、焦らずお互いに人生経験を積みながら、一緒にほどよいタイミングを見つけていかれればよいと思います」

――彼氏を一途に好きだったことを思えば、すぐに「別れる」という選択はないということでしょうか。

川上さん「結婚し家庭を持てば、投稿者さんは独立した世帯の運営者になります。お子さんができれば、親として子どもの育成に責任を負うことになります。結婚されるか否かは別として、少なくともいまお付き合いされている彼氏は素敵な人で人生のパートナーになる可能性がある人です。結婚したらどんな生活がしたいのか、投稿者さんご自身が新たな家庭を築く主体者としてイメージしたうえで決断され、ぜひ幸せをつかんでいただきたいと思います」

(福田和郎)