限られたスペースでの車中泊では困ったことが起きがち
昨今のアウトドアブームのなかでも、とくに人気なのがキャンプです。なかでもクルマで出かけるオートキャンプの人気が高まっており、これにともなって「車中泊」をする人が増加しています。
ブームとなっている車中泊ですが、思いもよらぬトラブルや困りごとが起こりがちだといいます。車中泊経験者に、どのようなトラブルに遭遇したことがあるのか聞いてみました。
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●朝起きると体が痛い
「フルフラット状態にして車中泊をしたのですが、実際は足を伸ばすこともできず、シート形状の凸凹で快適な眠りからは程遠くて……。これなら安い宿でも取れば良かったです」(40代・男性)
昨今は豊富なシートアレンジをウリにしているクルマもあります。車内をフルフラットにできるクルマは快適そうではありますが、車内の出っ張りが邪魔になって足を伸ばして寝られないこともあります。
解決策としては、アフターパーツメーカーなどから販売されている車種別のシートマットがおすすめです。
車種専用なのでインテリアの形状にピッタリで、完全にフラットなベッド状態にできれば眠りの深さが段違い。
専用のマットがなくても、低反発のシートマットなどがあれば体の痛みはだいぶ軽減できます。
●暑さ・寒さで目が覚める
「夏の高原の夜は過ごしやすいだろうと、車中泊に挑戦。虫の侵入を防ぐために窓を閉め切った状態でエンジンを切り寝てみたら、あまりの暑さに飛び起きました。
スキーに行った友人は深夜にゲレンデに乗り付けて朝まで駐車するらしいのですが、大雪でマフラー付近に雪が溜まり、危うく一酸化炭素中毒になるところだったそうです」(30代・男性)
自然豊かな場所での車中泊は誰もがあこがれるところ。しかし実際は虫の侵入に備えて窓を閉め切ることも多く、また、深夜はアイドリング禁止のオートキャンプ場なども多いようでエンジンをかけっぱなしにはできません。
そこで強者キャンパーは、カーエアコンとは別のFFヒーターや家庭用エアコンをリアに装備するなどして快適な空調を確保しているようです。
また、ウインタースポーツでの深夜の車中泊は、騒音問題はともかく、雪が降っていたら定期的にマフラー周辺を雪かきしないと一酸化炭素中毒で死亡することもあります。
エンジンを切っても大丈夫なように、暑さ寒さをしのげる工夫はしておきたいところです。
●周囲の音が気になって眠れない
「オートキャンプ場で決められたサイト内に駐車していたのですが、隣のグループの会話がずっと聞こえてくるんです。
本人たちは楽しいのでしょうが、普通に話しているつもりでも深夜は周囲も静かなので、意外に会話って聞こえるんですね。おかげで次の日の午前中は眠かったです」(30代・男性)
騒音問題は車中泊ではよくあることで、逆にマナーが悪くて車中泊禁止になった場所も多いといいます。
深夜の会話は周囲に丸聞こえで、これでトラブルになることも多いとされますから、車中泊では早めの就寝がおすすめです。
また、気になる人は耳栓などを事前に用意しておくのも良いかもしれません。
●朝日が眩しすぎて眠れない
「友人たちと車中泊をしたときのことです。深夜まで会話が盛り上がり、寝たのが朝方になってしまったのですが、朝日が眩しくて眠ることができませんでした。
次の日はフラフラで帰ってきました。自宅のベッドがこんなにも恋しいとは」(40代・男性)
これも「車中泊あるある」のひとつで、周囲の明るさや朝日の日差しが眩しくて眠れないことが多いものです。
対処法としては、サイドウインドー用カーテンやサンシェードを取り付けること。やはり遮光できるものは車中泊には必要だといえそうです。
●停めた場所の近くにトイレがない
「ある砂浜の近くに絶好のスポットを発見して車中泊したのですが、トイレがそばになくてクルマで5分のコンビニまで行かなければならず……。
どうりで誰もクルマを停めていない理由が分かりました。次からはちゃんと施設のあるところで泊まります」(30代・男性)
トイレ問題は車中泊で困ったことの代表格。その点、オートキャンプ場には設備もしっかり整っているので、まずは安全かつ快適に車中泊ができる場所から始めて、キャンプのスキルを上げていくのが良いでしょう。
みんなどこで車中泊してる?
昨今の車中泊事情について、一般社団法人 日本RV協会が実施したアンケートによると、全国のキャンピングカーユーザーが車中泊で利用する場所では「道の駅」が78.3%とトップ。
同協会が認定する車中泊施設「RVパーク(全国274か所)」が59.3%、高速道路のSA/PAが54.4%となっています。
なお、道の駅は場所によっては車中泊を禁止しているところもあり、実際は深夜に到着して朝方までの仮眠や休憩を取るという利用がメインとなっているようです。
また、ホンダの純正オプションを開発・製造する「ホンダアクセス」が2021年におこなったアンケートによると、回答者(1000名)のうち車中泊経験者は全体の35.7%。男女や年代別では、20代男性が47.0%、20代女性が37.0%ともっとも多い結果になっています。
面白いのが、女性は年代が上がるにつれて車中泊経験者の比率が下がりますが、男性の場合は50代も43.0%と多いこと。時間的・経済的に多少余裕が生まれる50代男性は、ソロキャンプで車中泊を楽しんでいる傾向がありそうです。
ただし車中泊の経験数は「1〜2回」が39.4%、「3〜4回」が21.2%と初心者が6割を占めており、「20回以上」の車中泊上級者は9.9%という結果に。思ったよりリピーターが少ない印象を受けます。
車中泊のメリットは、旅行やレジャーに安く行けることです。また、宿の予約を気にすることもなく、時間に縛られず旅行できたり、急な予定変更に対応しやすいといった自由度の高さも車中泊の良いところだといえます。
たとえば温泉旅館などの宿泊費は1人1万円以上だとして、4名で行動すれば4万円以上。これが車中泊であれば、全部とはいかなくても予算的に安くあがり、食事や施設代などほかの楽しみに回せます。
そもそも連休などの宿の予約はかなり前からでないと押さえられませんし、思い立った日に動けるのは、アクティブなユーザーにとっては大きな魅力でしょう。
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車中泊はお手軽にできますが、より快適に過ごすためにはマットやカーテン、防寒装備などを準備する必要がありそうです。
また近年は車中泊する女性も増えており、防犯対策も必須です。外からドアを開けられないように、車中泊中はドアロックをして過ごしましょう。
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