写真・時事通信

 台風15号がもたらした大雨の影響で、東海道新幹線は9月23日夜から運転を中止した。3連休で影響を受けた人は多く、駅は払い戻しを求める乗客であふれるなど、大混乱となった。東京、名古屋、新大阪の3駅では新幹線の車両を開放。Twitterでは「列車ホテル」がトレンド入りした。

 この事態にSNSで多く見られたのが、「リニア新幹線」を望む声だ。

《こういう大雨で東海道新幹線が止まったときのためにも、リニア中央新幹線は早く開通してほしい》

《東海道新幹線が雨で止まってるの見ると、ほとんどの区間がトンネルのリニアってやっぱバイパスとして有効じゃんね》

《リニア新幹線って台風とか荒天の時に静岡区間でよく止まる東海道新幹線のバックアップ的な意味もあるってことを理解してる人は意外に少ないのかも》

 だが、期待のリニア実現はまだまだ先となりそうだ。JR東海ではリニア中央新幹線の東京―名古屋間の開業を2027年としていたが、現時点で開業のめどは立っていない。

「静岡県が着工を認めていないからです。2027年開業には、遅くとも2020年中ごろまでに準備工事を始める必要がありましたが、まったくめどが立っていません。

 静岡工区は大井川の上流にあたり、工事による水量低下が静岡側のおもな反対理由です。

 JR東海は、湧水は全量大井川に戻すと約束しているのですが、川勝平太・静岡県知事は『一滴たりとも渡さない』という強硬姿勢で、まったく聞く耳を持たないのです」(社会部記者)

 川勝知事の姿勢には以前から批判の声があるが、ここへきてさらに厳しく非難される事態となっている。

「9月22日におこなわれた定例会見で、リニア開業の遅れについて『神奈川県に責任がある』と発言したのです。神奈川・相模原市に整備される車両基地の用地取得が進んでいないことを指摘したのですが、これまで頑なに工事を止めてきた自らのことを棚に上げていると、強く批判されています」(同)

 SNSでも、

《リニアを妨害し続けてきていよいよ自分の責任を誤魔化せなくなりそうだからと露骨な責任転嫁に走る知事。呆れる》

《お前だよ原因は!駄々捏ねて、開業を不可能にしたのは。静岡県民として恥ずかしいわ》

 と、さんざんな言われようだ。

 川勝知事が批判されているのは、やたらめったらケンカを売っているように見えることも原因の一つだ。

 たとえば、2016年12月、静岡市長に対し「静岡市は政令指定都市の失敗事例」と批判。2017年1月には「(県議は)プロの職業政治屋で、権力欲と金銭欲しかないような表情が腐っている人たち」と指弾。

 2019年11月には、三重県知事に対し、「うそつきは泥棒の始まり」と非難、さらに2020年10月には「菅義偉首相(当時)の教養のレベルが露見した。学問をした人ではない」と発言(後に謝罪)。

 2021年の参院選では、野党系候補の応援に立った際「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない。こちら(浜松市)にはウナギがある。何でもある」と発言。こうした、県知事とは思えない言葉に非難が集中しているのだ。

 川勝知事は、9月18日にはリニア新幹線について、「(開業すれば)乗りたい人が出てくる」と部分開業でいいのではないかとも発言している。やはり、リニア新幹線が全線開通するのは、まだまだ先のようだ。