料金所の通行レーン数は多いのに…いつも一部閉鎖しているワケとは

 高速道路を利用する際に通過する料金所には、多くの通行レーンが設置されていますが、すべての通行レーンが開いていることはなく、一部が閉鎖されていることもあります。

 渋滞時にすべての通行レーンが開いていれば渋滞が低減されるように思う人もいるかもしれませんが、なぜ、高速道路の料金所では、すべてのレーンを開放せずに、一部閉鎖している場合があるのでしょうか。

なぜ料金所はいつも一部の通行レーンが閉鎖されているのか?

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 クルマを使って遠出をするときは、目的地までは高速道路を利用するのが一般的となり、料金所の付近では渋滞が発生していることも少なくありません。

 料金所には多くの通行レーンが設置されていますが、渋滞時でもすべての通行レーンが空いてない場合もあります。

 もともと、料金所の通行レーンが多く設置された背景について、NEXCO東日本の担当者は「高速道路開通当初にETCの概念がなく、料金の清算に時間がかかっていたことが関係しています」と話します。

 ETCは「Electronic Toll Collection System」の略で、高速道路における「自動料金収受システム」のことを指しています。

 ETC車載器にETCカードを挿入しておけば、ETC車載器と料金所のレーンに設置されたアンテナが無線で料金の清算をおこない、クルマを停車させることなく料金所を通過することができます。

 現在では、ETC利用率は約92%を超えるほどに普及していますが、ETCのサービスが日本で開始された2002年当初では、その利用率はわずか約4%しかありませんでした。

 ETCが普及する前までは、高速道路の利用料金は現金支払いが基本で、料金を支払うために、1台ずつ料金所に停車するかたちをとっていました。

 現金支払いでは、通過するのに時間がかかっていたことから、料金所のレーンはそのぶん多く設置されていたのです。

 さらに、料金所レーンをすべて開放していない背景について、前出の担当者は以下のように話します。

「現在ではETCが普及し、通過に時間がかからなくなりました。

 また現在の状況で必要なレーン数を計算し、その数が設置されているレーンより少なかったとしても、レーンを撤去することは難しいため、一部閉鎖というかたちになっています。

 そのうえで、当日の交通量によって変えたり、料金所の先の渋滞を防ぐためにあえて規制しています」

渋滞と通行レーンの数は関係なかった? ほかに考えられる渋滞理由とは

 実は、料金所付近で渋滞が起きるのには、開放されているレーンの数は関係ないといいます。

 前出の担当者は「ETCが普及したことで料金所付近での渋滞はほとんど解決しています」といい、前述したように高速道路の料金所では、状況に応じて必要なレーン数を計算し、開放もしくは規制をおこなっています。

 実際に、渋滞によるロス時間と影響を受けた台数の掛け算で算出する「渋滞損失時間」を見てみると、ETCが普及する前の料金所に起因する渋滞損失時間は、2002年では60万時間となっていましたが、2021年における渋滞損失時間は5万時間未満となっています。

 では、料金所付近で渋滞が起こっているのはなぜなのでしょうか。

 高速道路の渋滞の原因には、スピード低減によって車間距離が詰まってしまうことが挙げられます。

 これは、料金所付近でも例外ではなく、レーンの通過時にクルマ同士の車間距離が詰まってしまうことで、渋滞が発生しやすくなっています。

東名高速 東京料金所の渋滞模様(上り線)

 また料金所に差し掛かる直前で急ブレーキを踏むのではなく、ある程度手前から徐々に距離を落とすことで、後続車との距離が急激に狭まることはなく、比較的渋滞が起こりにくくなります。

 料金所の手前、および通過時でも、一定の車間距離を開けられるように、減速の方法を意識してみると良いかもしれません。

※ ※ ※

 ちなみに、料金所内のETCレーンには、20km/h以下の徐行で通過しなければならないという規制がされています。

 20km/hの規制は、前のクルマがETC読み取りで不具合があり停車してしまった際、追突事故にならないように設定されたものです。

 高速道路の渋滞防止対策だけでなく、危険な衝突事故を未然に防ぐためにも、高速道路のETCレーンでは速度を守って走行することを心がける必要があります。