写真・時事通信

 波紋を呼んでいる、才賀紀左衛門(33)による“違法連れ去り”問題。ことの発端は、2022年7月の「文春オンライン」での、元妻・あびる優(36)の告発記事だ。

 2019年12月に2人は離婚。当初、娘の親権は才賀が持つとされた。しかし同記事によれば2021年4月、東京家裁は娘の親権をあびるに変更し、娘の引き渡しを命じた。才賀は抗告したものの棄却され、親権者変更と引き渡しが確定している。

 にもかかわらず、才賀は引き渡しに応じず、直接強制執行にまで至ったものの、いまだに娘は才賀のもとにいるという。記事中では、娘が才賀による強烈な刷り込みを受けたと推察する、家裁の調査官の報告書についても触れている。娘は、あびるを「ママじゃない」と発言していたという。

「才賀さんは現在、格闘家としての仕事はほとんどない状況です。そんななかで、数少ない収入源のひとつがブログでした。娘との日常をコンテンツに、多くの読者を獲得していました」(スポーツ紙記者)

 しかし一連の報道を受け、ブログを運営するサイバーエージェントは、才賀のブログの投稿を規約違反として認定。9月2日を最後に、才賀のブログからは娘の写真が削除された。

 しかし、ここに至ってなお、才賀のもとに娘がいるという状態は続いている。離婚に伴う親権問題に詳しい、あおば法律事務所の橋本智子弁護士は、このケースの違法性を指摘する。

「離婚調停において、どちらかが子供を手元に置き続けようとする事例は頻繁に存在します。しかし、裁判手続きで決定が出れば、強制執行など、なんらかの形で解決されることが大半です。今回のように、娘に対する刷り込みなど、明確な妨害行為さえ見受けられる事例は、極めて悪質です。そもそも、強制執行が不能に終わったということは、その現場で何らかの妨害行為がされたことが考えられ、そうならば刑事事件にできる可能性さえあります。

 また、刷り込みなどの事例が明確に認められているのであれば、児童相談所が介入する余地もあります。虐待が立証しづらいとして、児童相談所が尻込みする可能性もありますが、今回のケースは明らかにさまざまな児童福祉機関が介入すべきものと思われます。

 ただし、子供を的確にケアしながら引き渡すというのは、非常に難しい領域ではあり、今後、法整備が進められるべきでしょう」

 子供が尊厳を失うようなことだけは、絶対に避けられなければならない。