近年、都市部を中心に利用が進んでいる「電動キックボード」。小回りが利く乗り物として人気が高まっており、利用経験者も増える中、運転中に危険を感じたことのある人もいるようです。そんな「電動キックボードの利用状況」に関する意識調査の結果が、弁護士ドットコム(東京都港区)から発表されました。

利用者「突然飛び出してこられると対処できない」

 調査は2022年6月、同社の一般会員を対象に実施。1380人から有効回答を得ています。なお、回答者のうち、1都3県の在住者の割合は49.3%です。

 電動キックボードは、最高速度が時速20キロ以下のものについては、16歳以上は運転免許がなくても乗れるとする改正道路交通法が成立し、2年以内に施行される予定となっています。今回の調査対象には、「シェア型電動キックボード」(政府の特例措置により、道路交通法上の「小型特殊自動車」にあたるもの)と、「個人所有の電動キックボード」(道路交通法ならびに道路運送車両法上の「原動機付自転車」にあたるもの)どちらも含まれます。

 まず、「電動キックボードを知っているか」について聞いたところ、「知っている」が92.0%と高い割合でした。一方で、「乗ったことがある」と回答したのは11%と、全体の1割程度にとどまっています。

 電動キックボードに「乗ったことがない」人の自由回答を見てみると、「車を運転する側から見ると本当に怖い。自転車ですらルールを無視した乗り方をする人は多く、事故が増えると思う」という車のドライバーから懸念する声が上がった一方で、「自転車と同じで、乗る人のマナー次第」など、自転車とさほど変わらないという意見もみられます。

 次に、電動キックボードに乗ったことがある人に、「運転していて危険を感じた瞬間があるか」を聞くと、「ある」と答えた人は60.8%という結果となりました。

 具体的には、「私が所有するキックボードは、操作性が甘く急停止ができないので、突然飛び出してこられると対処できない」(大阪府在住)、「スピードが出過ぎてしまうので、安定性に不安があった。また、ブレーキのかけ方も難しく、人とぶつからないように十分注意する必要がある」(東京都在住)といったコメントが寄せられました。

 また、「歩行者や自転車、車などと接触しそうになった」「思った以上にスピードが出るものの、段差や隙間の影響を強く受けるため転倒しそうになる」「急ブレーキでバランスが保てなくなる」などの意見も複数集まっています。

未利用者の3割強「今後利用してみたい」

 そんな電動キックボードですが、利用意欲を持っている人はどのくらいいるのでしょうか。電動キックボードの利用経験がない人のうち、「今後、電動キックボードを利用したいと思うか」を聞いたところ、「いいえ」が49.6%と半数近くに上りました。一方で「はい」と答えた人は34.3%と、未利用者の3割強は「今後利用してみたい」と考えているようです。

 「利用したい」理由を聞くと、「小回りが効いて便利そう」が68.9%と最多に。次いで、「乗っていて気持ちがよさそう」(55.3%)、「疲れなさそう」(33.5%)、「新しいツールが好きだから」(32.1%)と続いています。

 なお、「利用したくない」理由については、「危ないから」(71.4%)がトップとなり、以降は「その他の乗り物で事足りるから」(63.8%)、「使い方やルールが分からないから」(20.7%)、「恥ずかしいから」(14.8%)と続きました。

 調査結果を受けて、交通事故事件に詳しい平岡将人弁護士は「電動キックボードに乗ったことがあり、『危険を感じた瞬間がある』と回答した人の『急停止が難しい』というコメントは気になります」「そのような性質を持つ乗り物であるならば、見通しの悪い交差路などの前では速度を落とすなど、急停止をなるべくしない運転スキルが求められることになるでしょう」とコメントを寄せています。