ルノーと日産の間にヒビが? その経緯は…

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2022年1月27日に、ルノー・日産・三菱アライアンスは今後のロードマップを発表し、これまで通り3社協業でEV化を目指す方針を明らかにしていました。しかし2月に入ってからルノーは、エンジンとEV事業とを分離して新会社を設立する構想を急遽発表し、2023年にもIPO(株式公開)を目指す方針を明らかにしました。

その件に関して、日産の内田誠社長が「論議のうえで検討を重ねたい」とロイター通信のインタビューに答えたのが5月の出来事です。その後の7月、ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者は、ブルームバーグの取材に対して「日産と三菱が参加せずともEV事業とエンジン事業を分離する計画は断行する」と明言。

これまでは日産を牽引していく姿勢を見せていたルノーが、掌を返したように日産および三菱を引き離す言動を見せ、日産はそれに対していまだ公式の返答をしていません。

両社にとってお互いの存在はすでに必要なものではなくなっているのでしょうか。このような経緯から、ルノーと日産の関係悪化が噂されるようになりました。

関係悪化の真相は?

ルノーのルカ・デメオ氏はブルームバーグの取材時に「三社の関係は良好だ」と述べています。確かに関係は良好かも知れませんが、日産がEV事業の分社化に難色を示していることは、8月末時点でいまだ日産がルノーに返答していないことから想像できます。少なくとも何かしらの懸念事項があるのは確かなようです。

メリットあるいはデメリットしかなければ、日産はすぐに返答をしていることでしょう。現に2022年5月、日産の幹部は「EV事業を分社化するか判断するのは時期尚早」とロイター通信の取材でコメントしています。

もしEV事業の分社化を断ったら

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EV事業の分社化への返答次第では、ルノーが日産への出資比率を引き下げを検討する可能性が考えられます。

また、EV事業の分社化を共同で進めるということは、エンジン分野での日産の影響力は大きくなる一方、EV分野に関しては技術提携が図れる代わりに、アライアンス内での日産の影響力が小さくなる懸念もあります。

日産とルノーが共同開発しているCMF-EV プラットフォーム
(画像はルノー メガーヌEVのもの)

エンジン市場の衰退は決まっているようなものであるため、現状でそちらに多くリソースを割くことは、将来的な企業力の衰退を意味します。

EVシフトへ向けての技術力強化の名目で現在は、自動車メーカー各社が協業や提携強化に努めており、ライバル社と対等な力を確保するためには関係強化が必須といえるでしょう。しかし日産とルノーの両社にどのような思惑があるかは、現段階では当事者同士しか知りえません。

日産の返答次第では関係が大きく変化するかも

ルノーのルカ・デメオ氏の日産・三菱を切り捨てるような発言は、なかなか返答しない日産への単なる催促かもしれません。

仮に日産がルノーのEV事業の分社化に賛同すれば、これまで通りの関係がしばらくは続くことになるでしょう。もし反対すれば、ルノーは過去の取り決めにより事実上支配できない状態にある日産の株を売却し、新会社の設立資金にする方策も取れます。

主導権は相変わらず大株主であるルノーが持っているのは確かです。少なくとも日産の返答ひとつで、今後の両社の関係が大きく変化することは間違いないとみられます。