【AFP=時事】イラク南部のメソポタミア(Mesopotamia)湿地帯は、旧約聖書の「エデンの園(Garden of Eden)」があったとされるが、この肥沃(ひよく)な土地が干上がっている。3年にわたる干ばつと少雨、そして隣国トルコやイランを源流とする河川の水量減少が原因だ。

 チグリス川(Tigris River)とユーフラテス川(Euphrates River)に挟まれた地域は、生物多様性と考古学遺跡の両面から、2016年には国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録された。

 オランダの平和団体PAXが行った衛星データに基づく評価によると、2020年8月から今月までの2年間で、フワイザ湿原(Huwaizah Marshes)やチバイッシュ湿原(Chibayish Marshes)などイラク南部の湿地帯の46%で地表付近の水が完全になくなった。さらに41%で水位や湿度の低下がみられた。

 国連食糧農業機関(FAO)駐イラク事務所は、湿原地帯はイラクで最も貧しい地域の一つで、6000世帯以上が壊滅的な被害を受け、「生活のための唯一無二の資産である水牛を失っている」と指摘した。

 イラクの水管理当局の責任者は、さまざまな対策を講じているが、50度を超える気温の中で「蒸発量を補うことは不可能だ」と述べた。

 チバイッシュ湿原に住むアリ・ジャワドさん(20)は、水を求めて数十世帯が集落から出て行ったと話す。

「以前は湿原に来ると、緑があり、水があり、心が安らいでいた」が、「今は砂漠のようです」。

【翻訳編集】AFPBB News

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