ここまで逆風が吹くとは想像していなかったのではないか。

 自民党の生稲晃子参院議員は、元「おニャン子クラブ」という抜群の知名度もあり、7月10日の参院選前から、当選が確実視されていた。自身のガン闘病の経験から患者への支援モデルを提唱するなど、「単なるタレント候補ではない」と期待する声もあった。

 ところが、参院選が始まると、生稲氏の「政治家としての資質」を疑問視する声が相次いだ。

「最初のつまづきは、選挙前にNHKが実施した候補者アンケートで、26問中21問が無回答だったことでしょう。スタッフと情報共有されていなかったと説明し、改めてアンケートを公表しましたが、『誰もが働きやすく、自分らしく生きられる国へ』と主張していた生稲氏が、《同性婚を法律で認めること》に反対と回答。

 さらに、東京新聞の候補者アンケートでは、同じく東京選挙区から立候補した自民党の朝日健太郎氏と回答が酷似。『政治家として何がやりたいのかわからない』と批判を浴びてしまいました」(政治部記者)

 当初は東京選挙区(改選6)でトップ当選もありうるとされたものの、61万9792票で、かろうじて5番めで当選。だが、当選してからも批判がやむことはない。

「7月10日の投開票日、生稲さんは、すべてのテレビ局への出演を断りました。その際、テレビ東京系列で放送された『池上彰の参院選ライブ』で、インタビュー拒否の理由を陣営関係者の言葉として『生稲さんは国会議員としての資質、勉強が圧倒的に足りない』と伝えられたのです。

 この報道については陣営側が抗議してはいますが、世間からは『説明責任を果たそうとしないのは政治家失格』と厳しい意見が相次いでいます。

 さらに、記念すべき初登院もマスコミの目を避けるかのように正門ではなく、北門からこっそり行ったことなども批判に結びついています」(同)

 生稲氏は周りの指示に従っただけなのかもしれないが、その依存姿勢が “決定的な一打” をもたらしてしまう。生稲氏は、参院選公示前に、当時経済産業相だった萩生田光一政調会長とともに旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連施設を訪れていたことを認めたのだ。

 会場が世界平和統一家庭連合の「八王子家庭教会」だったかどうかを記者から尋ねられると、生稲氏は「暑かったので顔を直すこととか、自分が間違えないようにしゃべらないといけないとか、そういうことに必死で何も見ずで」と、化粧を直すしぐさもまじえて説明。その説明が、火に油を注ぐ形になってしまっている。

 実際、ツイッターでも、

《統一教会関連施設、化粧なおすのに必死で見ていなかった。だって……笑 何に力入れてんだか…》

《アイドル時代に通用する言い訳。政治家?》

 などと批判されており、ついにはハッシュタグ「#生稲晃子議員の辞職を求めます」がトレンド入りする事態に。

「萩生田さんら清和会に頼りきりだった姿勢が完全に裏目に出てしまいました。ただでさえ、参院選期間中も、清和会のゴリ押しに自民党内から反発が出ていたんです。旧統一教会との関係性で清和会がいちばんダメージを受けたことで、生稲氏は後ろ盾を失ってしまいました。

 結果、参院選で獲得した62万票はどこへ行ったのかというくらい批判一色。もはや、元おニャン子クラブという肩書が完全に足枷になっています。アイドル時代以来の “親衛隊” すら消え、完全に窮地に陥っています」(同)

 これまで政治家としてやったことといえば、8月15日、終戦の日に靖国神社を参拝したくらい。自身のTwitterは1カ月以上更新されず、四面楚歌に陥った生稲氏。はたして、今後の展望は――。