エンジンは冷却しないと壊れてしまう!?

 夏場のクルマのトラブルというと、「バッテリー上がり」とともに思い浮かぶのが「エンジンのオーバーヒート」です。

 クルマのオーバーヒートはなぜ起こるのでしょうか。

夏場はクルマがオーバーヒートしやすい

【画像】黒くなったらマズイ!交換するべきエンジンオイルを画像で確認する(13枚)

 エンジンにはその温度の過剰な上昇を防ぐために、冷却システムが備わっています。現行のクルマのほとんどは「水冷エンジン」が搭載されていて、冷却水を使ってエンジンを冷やしています。

 しかし、万が一この冷却システムに異常が発生しエンジンが冷却できないと、エンジン内部が異常な高温になり、エンジン内部部品にひずみや部品同士の焼き付きが発生してエンジンが故障してしまいます。

 「水冷エンジン」の冷却の仕組みは、冷却水が「シリンダブロック(ウォータージャケット)」でエンジン本体を冷却し、その後「サーモスタット(弁)」を介して熱くなった冷却水をクルマのフロント部分のラジエターで冷却、冷やされた冷却水はウォーターポンプで圧送され、再びシリンダブロックに戻ってエンジン本体を冷却するというものです。

 クルマのメーター内には「H」「C」という表示がありますが、これは「エンジン冷却水温度」の指針です。

 この水温計を見て、中間より「H」側に針が動いたり、エンジンの暖機運転が終了しているのに「C」付近でメーター針が停止している状態は「オーバーヒート」につながる可能性があります。

 新車時は問題ありませんが、車種・使用状況により異なるものの、走行距離がおおむね10万キロ付近になると部品の経年劣化が発生し、エンジンが冷却できなくなる恐れがあり、水温計が異常値を示している場合はディーラーや整備工場での点検をおすすめします。

意外と簡単! オーバーヒートの予防方法

 夏場のオーバーヒートを防ぐには早期発見が重要ですが、日常の簡易点検が有効です。

 ボンネット内には冷却水のリザーバータンクが存在しており、冷却水量のアッパーレベル(FULL)とローレベル(LOW)が簡易ですが目視で確認することができます。

 もしローレベル(LOW)になっている場合は冷却水を補充する必要があります。

冷却水が高温になると水温計の針が「H」に近くなる

 また、冷却水量の点検と同時に冷却水の錆や浮遊物についてもチェックすることをおすすめします。

 年数が経過しているクルマの錆や浮遊物は多少仕方ない部分はありますが、多量の錆や浮遊物が存在している場合は、冷却システムの配管やエンジンシリンダブロック(ウォータージャケット)に汚れが蓄積され冷却水が効率よく流れなくなっている可能性があります。

 このような状態もオーバーヒートの原因になるので、錆や浮遊物が多量に存在する場合は冷却水の補充ではなく全量入れ替えが必要です。

 その場合、ウォーターポンプからラジエター本体に繋がる「ロアホース」を外す大掛かりな作業になることから、整備工場や専門知識があるショップなどで交換すると良いでしょう。

 さらに、極端に冷却水が減っていたり、錆などが冷却水リザーバータンクに発生している場合は、冷却水の漏れや冷却水の品質不良などが考えられます。

 このような場合には冷却水補充と合わせて「クーラントブースター」「ラジエターストップリーク」などの冷却水添加剤で様子をみるのも良いでしょう。

 カーショップなどで販売されていて、冷却水リザーバータンクにそのまま入れるだけの簡易的な添加剤ですが、クルマにあまり詳しくない人でも取り扱いが簡単。手軽に作業できるのでおすすめです。

 冷却水のほかに、エンジン本体内部でエンジン部品を冷却するエンジンオイルが減ると、エンジン内部部品の冷却が充分におこなえず、オーバーヒートの原因になります。

 エンジンオイル量や汚れはオイルレベルゲージで確認するのですが、冷却水と同様に、エンジンオイルのレベルゲージにもアッパーレベル(FULL)とローレベル(LOW)が存在します。

 確認に注意したいのは、オイルレベルゲージをまっすぐ引き抜くということです。

 まっすぐ引き抜かないとオイルレベルゲージの筒などにエンジンオイルが付着してしまい、正確なエンジンオイル量が判断できなくなることから、慣れてない人はカーショップなどにオイルの点検を依頼すると良いでしょう。

 また、エンジンオイルを交換することで、エンジンオイルの量や質を正常に保つことができるので、こちらも定期的におこないたいものです。

※ ※ ※

 オーバーヒートしてエンジンが壊れると、修理費が高額になります。

 それを防ぐためにも、日頃の定期点検や目視点検で冷却水やエンジンオイルの量をチェックすることが重要だといえます。