木星の第2衛星であるエウロパは、水の氷からなる表面の下に海が存在すると考えられており、地球外生命が存在するかもしれないと期待を集めています。そんなエウロパの氷床がどのように形成されるのかを調べた研究チームが、「エウロパの氷床は『上向きに降る雪』で形成されている可能性がある」と主張しています。

Ice Shell Structure and Composition of Ocean Worlds: Insights from Accreted Ice on Earth | Astrobiology

https://doi.org/10.1089/ast.2021.0044

Underwater Snow Gives Clues About Europa’s Icy Shell - UT News

https://news.utexas.edu/2022/08/15/underwater-snow-gives-clues-about-europas-icy-shell/

Europa's icy shell may be made from pure underwater snow | Live Science

https://www.livescience.com/europa-ice-snow

NASAがエウロパの調査に用いる探査船「エウロパ・クリッパー」は、2022年6月に本体が完成したことが発表されており、2024年に打ち上げられる予定です。エウロパ・クリッパーに搭載されるレーダー装置の開発を主導するテキサス大学オースティン校の研究チームは、氷床を貫通してその下に広がる海を調査する方法を研究する中で、「エウロパの氷床はどのように形成されているのか?」という謎に目を向けました。

エウロパの大きさは地球の約4分の1程度で、表面の氷床は約15〜25kmほどの厚みがあり、その下の海は水深60〜150km程度だとみられています。これまでの研究では、エウロパの海は温度・圧力・塩分濃度といった点が南極大陸の氷底湖・ボストーク湖に比較的近いことが示唆されているとのこと。

研究チームは、エウロパの氷床が形成される方法について、南極の氷床が形成される主要な方法から推定しました。南極の氷床を形成する主な方法の1つは「Congelation ice」であり、これはすでに存在する氷床の表面から成長するタイプの氷です。もう1つの主要な方法は「Frazil ice(晶氷)」であり、これは結氷温度まで下がった海面の表層で形成される細かい針状・板状の氷です。晶氷の密度は周囲の海水より小さいため、形成された晶氷は海中を上方へと浮遊して氷床の底に定着するとのこと。

これら2つの方法について検討した結果、温度勾配が低く深さによる温度変化がほとんどないエウロパのような環境では、特に氷が薄かったり亀裂が入ったりしている場所で晶氷が一般的であることがわかりました。つまり、エウロパの氷床の多くは、海中から上方へと浮かんでいく「水の中の雪」により形成されている可能性が高いというわけです。

Congelation iceに含まれる塩分は周囲の海水の約10%ほどですが、晶氷の塩分濃度は約0.1%程度に過ぎません。そのため、エウロパの氷床は一般的に晶氷で構成された部分が多いという今回の研究結果は、氷床の塩分濃度が以前の推定よりも桁違いに低い可能性を示唆しているとのこと。氷床の塩分濃度は氷床の強度や構造、そしてレーダー装置の観測にも影響を及ぼすため、この知見は将来のエウロパ探査において重要なものといえます。

論文の筆頭著者で、テキサス大学地球物理学研究所の研究者であるナタリー・ウルフェンバーガー氏は、「エウロパを探索する時、私たちは海の塩分濃度と組成に興味があります。なぜなら、それは潜在的な居住可能性、あるいはそこに生息するかもしれない生命の種類を左右する要素の1つだからです」と述べました。

by Kevin Gill