救急車への「正しい道の譲り方」

 夏の季節は救急車の稼働率が上がっており、新型コロナウイルスのほか熱中症で搬送される人もいるなど、さまざまな要因からひっ迫状態になっているといいます。
 
 東京消防庁では、公式SNSにて救急車の救急出動増加のアナウンスをツイートし、救急車の出動率が98%を超えている日も少なくはありません。
 
 では、改めて緊急車両が近づいてきた際はどのように行動する必要があるのでしょうか。また高速道路の場合ではどうすれば良いのでしょうか。

救急車への「正しい道の譲り方」とは?

 道路交通法第40条「緊急自動車の優先」では、救急車などの緊急車両が近づいてきた際のドライバーの行動について、以下のように定められています。

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「交差点またはその付近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く)は交差点を避け、かつ道路の左側に寄って一時停止しなければならない」

 ただし道路が一方通行で、左側に停車すると緊急車両の妨げになる場合は、右側に寄って一時停止をおこなう必要があります。交差点付近では「一時停止」をした上で道を譲ることがポイントです。

 また、一般道路の交差点付近以外では、道路の左側に寄り、救急車に道を譲らなければなりません。交差点付近以外の場合、道を譲る必要はありますが、「一時停止」までは強制されていません。

 では、高速道路の場合ではどうなのでしょうか。

 高速道路は、緊急車両であっても100km/hの速度制限が定められているため、走行スピードは一般車両と同等です。

 そのため無理に停止したり、路肩に避けるなどの行動はする必要はなく、逆に高速道路走行中に無理な回避行動を取ろうとすると、二次的な事故を誘発する危険性もあります。

 ただし、救急車は基本的には追い越し車線を利用するため、自分のクルマが追い越し車線を走行していた場合は、焦らずに走行車線に移る配慮をするのがマナーといえます。

 道の譲り方については、交通状況に応じてケースバイケースの部分もあります。もし緊急車両側から拡声器などで譲り方に関する指示があった場合、そちらに従う必要があります。

※ ※ ※

 緊急車両に道を譲ることは、道路交通法第40条で法律として定められているため、マナーではなく義務として守る必要があります。

 また道路の左側に寄って一時停止をすることに加えて、ハザードランプについて点灯することが推奨されており、滋賀県の湖南広域消防局のホームページでは以下のように呼びかけられています。

「ハザードランプを活用し、救急車に気付いていることをお知らせいただけると、より安全に走行させていただけるものと考えています」

 最近もSNSでハザードランプの点灯についての投稿が話題となっており、推奨する動きが見られています。

 今後も暑い日は続き、救急車のひっ迫が解消の見通しが立たないといえるため、少しでもスムーズな搬送になるよう、ドライバーは運転時に心がけることが大切です。