駐車場からはみ出てる? 「はみ出し駐車」は問題ない?

 住宅街などでは家の駐車場にクルマが停められているのを目にすることがありますが、まれに歩道や車道にはみ出しているケースがあります。
 
 クルマが駐車場からはみ出ていると、歩行者や他のクルマの妨げになってしまう可能性もありますが、これについて問題はないのでしょうか。

はみ出し駐車は問題ない?(画像はイメージ)

 本来クルマを駐車する場所は、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」、通称・車庫法によって保管場所を確保しておかなければならないと決められています。

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 新しくクルマを購入した場合や、住所を変更する際は、書庫証明書と呼ばれる書類を発行してもらう必要があります。

 車庫証明書は、正式名称「自動車保管場所証明書」といい、その名の通りクルマを保管する場所が確保されていることを証明するための書類です。

 なお軽自動車の場合は、地域によって車庫証明書が不要になることがあるので、クルマを置く場所を管轄する自治体や警察署に確認すると良いでしょう。

 この車庫証明書は、クルマの保管場所の住所を管轄する警察署で取得しますが、その保管場所が、ある一定の条件を満たしていないと発行されません。

 条件とは、「クルマを停めるための駐車場、車庫、空き地などが、住所や事業所から2キロメートル以内にあること」、「自動車が通行できる道路から車両を支障なく出入りさせることができ、かつ、車両の全体を収容できる大きさがあること」、「保管場所を使用できる権原を有すること」というものです。

 簡単に言うと、そのクルマの所有者の所在地から2キロメートル以内にある、駐車スペースが十分に確保できる場所を選ばなければならないということです。公道や私道は保管場所として使用できません。

 車庫証明書の手続きに関して、元警察官のBさんは以下のように話します。

「車庫証明書の手続きを行うと、実際に警察の職員がクルマの保管場所を確認しに来て、条件に適合する場所なのかどうかを精査します。

 そのため、駐車場よりも明らかにクルマが大きい場合や、クルマが公道からはみ出る場合は警察署から車庫証明書を発行してもらえない可能性があります」

 また、車庫法第11条第2項1号及び2号「保管場所としての道路の使用の禁止等」では、道路上の同一の場所に車を12時間以上駐車することになる行為、夜間8時間以上駐車することになる行為など、道路を車の保管場所として使用することを禁止しています。

 クルマが駐車場から公道にはみ出るような状態であれば、上記規定に違反に抵触する可能性があるので、別の保管場所を検討した方が良いでしょう。

 「保管場所としての道路の使用の禁止等」に違反すると、車庫法第17条で「3か月以下の懲役又は20万円以下の罰金」が科される可能性があるため注意が必要です。

 そのほか、道路交通法の違反が成立する可能性もあります。

 道路交通法第47条第2項「駐車の方法」では、クルマを駐車するときは道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにすることが規定されています。

 ここでいう道路とは、歩道がある場所では車道のことを指すので、歩道に駐車されていれば「駐車の方法」の交通違反になってしまうケースも考えられます。

 さらに、道路交通法第45条第2項では、クルマを所定の方法によって駐車した場合、そのクルマの右側の道路上に3.5m以上の余地がなくなる場所では駐車をしてはならないとされています。

 このように道路での駐車に関する規定はさまざま設けられているため、状況によって適切な駐車場所ではないと判断される可能性もあるため、注意が必要です。

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 一方で、なかにはクルマの保管場所を偽って車庫証明を受ける「車庫とばし」をする事例もあり、警察庁交通局の「駐車対策の現状」の資料によると、2020年中の車庫とばし事件の検挙件数は40件となっています。

 ほかにも、道路を車庫代わりに使用し長時間駐車する「青空駐車」の取り締まり件数は768件となっており、悪質な違法駐車が続いていることが分かります。

 こうした事例は道路使用の適正を阻害するほか道路交通の安全面に影響を及ぼすことから、保管場所法違反等として取り締まりを推進しているといいます。
 このため、条件をきちんと満たした場所にクルマを保管するほか、保管場所に変更があればきちんと届出をすることが重要です。